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おもてなしだけではない!? 温泉旅館にお茶菓子が用意されている深い理由

高橋一喜温泉ライター/編集者

先日、知人から宿泊した温泉旅館の感想を聞く機会があった。

「チェックインしたらすぐに抹茶とオシャレな和菓子が出てきてテンションがあがった!

」と興奮気味に話してくれた。

チェックインは宿とのファーストコンタクトでもあるので、チェックイン時のおもてなしは特に印象に残るようだ。人と同じで、宿も第一印象が大事ということだろうか。

ところで、チェックイン時のお茶とお菓子は何のために用意されているのだろうか?

温泉宿の部屋に通されると、必ずと言っていいほどお茶とお茶菓子が用意されている。宿によっては、ウェルカムドリンク・スイーツ代わりにロビーなどで抹茶とお茶菓子が供されることもある。

これらは「お着き菓子」と呼ばれることもある

お茶菓子と温泉の意外な関係

お茶菓子の定番は、温泉まんじゅうなど地元名産の和菓子であることが多い。宿のおもてなし表現という意味もあるが、単純に「宿の売店にも売っているので、気に入ったら買って帰ってください」という販売促進の役割もある。

もちろん、宿の「おもてなし」という意味合いもあるだろう。「はるばるお越しいただきありがとうございます。まずはお茶とお菓子で一服してください」という気持ちのあらわれだ。

だが、もうひとつ、部屋にお茶とお茶菓子が置いてあるのには意味がある。

カロリーと水分の補給である。

チェックイン後すぐにいただくのが正解

入浴前に食事をとると消化不良を起こす可能性があるので、最低30分は間を空けるのが原則だが、一方で空腹の状態で入浴すると、貧血や立ちくらみを起こす可能性もある。入浴は意外とカロリーを消費するものだからだ。

しかも、観光などで体を動かしたことによって宿に着いた頃には、血糖値が下がっている状態である場合も多い。

そこで、糖分を含んだお茶菓子で小腹を満たしておくことでカロリー補給ができ、入浴の準備となる。

また、入浴して汗をかくと、血液の粘度が上がり、血がどろどろになるとされている。その防止のためには、入浴前に水分を補給することが大切だ。

お茶をいただくことで水分補給になるし、緑茶は湯あたりを防止するビタミンCも含んでいる。

というわけで、お茶とお茶菓子はチェックイン後すぐにいただくのがよい。「入浴の準備運動」ととらえよう。

普段、なにげなく食べている宿のお茶菓子にも意味があることを知っておくと、いつも以上においしくいただけるかもしれない。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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