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美人になれる泉質とは?「美肌効果のある温泉」3選

高橋一喜温泉ライター/編集者

日本の温泉には「美人の湯」を謳うところが少なくない。

もちろん、容姿そのものが美しくなるわけではなく、「美肌」になれるという意味合いで使われているわけだが、本当に美肌になれるのだろうか。

美肌に興味のある女性客の注目を集めるために、温泉地や旅館がPRしている面はあるが、泉質的にも根拠がある。

泉質の面から特に美肌効果があるとされているのが、3つの泉質だ。これらは「三大美人泉質」と称されることもある。

①炭酸水素塩泉
②硫酸塩泉
③硫黄泉

①炭酸水素塩泉

角質が分解されやすいという特徴がある。いわば「クレンジング効果」である。肌に水分が吸水されやすく、ツルツルになるのが特徴だ。ただし、入浴後は角質が落ちて乾燥しやすいので、保湿剤などでケアすることが大切である。

②硫酸塩泉

肌を蘇生する効果があるとされる。入浴すると皮膚に皮膜がつくられ、しっとりとした肌になる。

③硫黄泉

いわゆる硫黄臭を放つ湯である。メラニンを分解を促進することからシミなどを予防する効果があるとされる。

これら3つの泉質に加えて、「アルカリ性」の湯も美肌効果があるとされるので、覚えておくといいだろう。

①炭酸水素塩泉と同様に、古い角質層の新陳代謝を促す働きをもっているので「クレンジング効果」が得られる。

ちなみに、pH7.5以上が弱アルカリ性、pH8.5以上がアルカリ性で、基本的にpHの値が高いほどクレンジング効果が高いとされる。

これらの泉質名については、脱衣所などに掲示されている「温泉分析書」で確認できる。小さい文字が並んでいて難しく感じるかもしれないが、必ず泉質名が表示されている。

温泉分析書の読み方

泉質に詳しくない人は、戸惑う人も多いだろう。泉質名には長いものも多いからだ。たとえば、「ナトリウム・カルシウム‐炭酸水素塩・硫酸塩泉」などと表記されている。

それぞれに意味があるのだが、ここではあえて簡易的な読み解き方をお教えしよう。

ポイントは、中央の「‐」より右側に注目すること。

「炭酸水素塩・硫酸塩泉」と2つ以上の単語が並んでいるときは、左側にある「炭酸水素塩」のほうが成分として多く含まれていることになる。

したがって、この泉質はクレンジング効果のある「炭酸水素塩泉」と理解して差しさわりない。ただ、この泉質の場合、硫酸塩泉の成分も含まれているので、同時に肌の蘇生効果も期待できる。

硫黄泉については、「単純硫黄泉」「含硫黄」などと表記されていることが多いので、とにかく「硫黄」という名が泉質名に入っていたら、シミ予防効果などがあると判断していいだろう。

なお、pHについても温泉分析書に必ず記載されている。

これらを参考にして、自分の肌に合った「美肌の湯」を見つけてみてはいかがだろうか。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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