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ひとり旅は直感に頼る!?「ソロ温泉」の食事を充実させる方法

高橋一喜温泉ライター/編集者

ひとりでの温泉旅(ソロ温泉)を愛する筆者の場合、素泊まりで温泉宿を利用することも多い。

あくまでひとりなので、温泉の質さえ高ければよく、豪華な料理は求めていないからだ。

とはいえ、たとえひとり旅であっても温泉旅行での食事は楽しみのひとつだ。せっかく遠出したのだから、その土地ならではのグルメに舌鼓を打ちたい。

そこで、温泉街のグルメを求めて街へ繰り出すわけだが、そのお店選びがなかなか難しい。

何度も経験しているので店選びにはある程度、自信をもっているが、ときどき失敗する。つい先日もある温泉街で、店選びで後悔することとなった。

数軒の飲食店に目星をつけ、地元の人が通っていそうな居酒屋を選んだ。外観は古くて鄙びているが、長く地元で愛されてきた証拠でもある。きっと料理はおいしいと踏んだ。

だが、メニューは居酒屋定番のもので、地元の味と言えるものは見当たらない。とりあえず、酒の肴になりそうなものをいくつか注文してみたが、そのほとんどが業務量と思われるものを温めただけであった。

ひとまず出されたものは完食して店を後にし、観光客に人気のある蕎麦屋に入り直した。

というように、直感に頼ると店選びで失敗する可能性もある。

それゆえに、多くの人がネットの情報を頼りにすると思う。なかでも大手グルメレビューサイト「食べログ」などの存在感は群を抜いている。飲食店を探すときは「とりえあず食べログを開く」という人もいるだろう。

実際、ほぼ必ず検索結果として上位に表示されるのが食べログなどのグルメサイトである。

グルメサイトはどこまで信用する?

食べログはユーザーの評価が星やランキングの形で表示されるので、とてもわかりやすい。

筆者も食べログで飲食店を検索することはあるが、ほとんどは都市部の飲食店の場合である。都市部の店舗はユーザーのレビュー数も多いので、新店でないかぎり、星の評価と店舗の実力はおおむね一致する傾向にある。だから極端な話、「星3.5以上なら間違いない」といった判断も可能になる。

だが、地方の温泉地では、食べログの評価はあまりあてにならない。

まず、都市部の店舗に比べてレビュー数が少ないので、星の評価をそのまま信用するわけにはいかない。レビュー数が少なければ、星の評価もブレやすい。また、口コミの数も少ないので鵜呑みにはできない。

そのうえ、観光地の店舗だと地元の人が応援の意味で評価を高くすることもあるし、旅という非日常の空間で食べたものはポジティブに認識されやすい。

極端なことをいえば、都内の飲食店と同じレベルのものが出てきても、旅に来ているという非日常性がスパイスとなり、高評価につながりやすい。つまり、旅先で食べるものは、「わざわざここまで来たのだからおいしいに違いない」というバイアスがかかりやすいのだ。

だから、筆者は地方の温泉に行くときは、ネットの情報も頼りにはするが、食べログを鵜呑みにすることはない。

「行き当たりばったり感」を楽しむ

食べログに頼らなくても、ネット上にはたくさんの情報が眠っている。個人のブログを丹念に拾っていくという手もあるし、インスタ検索で気になったお店に狙いを定めるという方法もある。

もちろん、どの方法も否定しないし、筆者自身もある程度はネットを通じて情報を拾っている。

たしかにネットで情報を検索するのは便利だが、弊害もあるように感じる。それは、旅の醍醐味である行き当たりばったり感が薄れてしまうことだ。

ネット検索をして情報を頭に詰め込んでから食べにいくと、どうしても「確認行為」になってしまう。「ネットで見た通りおいしかった」と。筆者も一時期、ネットで事前に調べまくっていたことがあるが、「おいしかった」という印象のみで、あまり思い出として残らない。

そこで、食事選びに関しては旅の行き当たりばったり感を大事にしている。ネット検索では、その土地の名産を調べるくらいにとどめて、あとはできるだけ自分の勘に頼るようにしている。

その温泉地で蕎麦が名物であれば、いくつかの蕎麦店の店構えを見て決める。言葉で表現するのは難しいが、筆者なりに「この店はおいしいだろう」となんとなく察しがつく。

あえて具体的に言えば、店舗が大きすぎず、看板などがごちゃごちゃしておらず、少し控えめな店である。でしゃばりすぎず、「味で勝負しています」という心意気が伝わる店構え、とでも言おうか。

もちろん、直感が当たることもあれば、先述のように外れることもある。それでも直感が当たれば、それを食べたときの感動は大きくなり、記憶にも刻まれる。

反対に外れたとしても、その場では「やっちまった~」と後悔するものの、長い目でみれば忘れがたい旅の思い出となる。旅は失敗も含めて愉しむものである。

自分の直感に頼ることはリスクもあるが、トータルでみれば得られるものが大きい、というわけだ。

次回のひとり旅では、自分の直感に頼って店選びをしてみてはどうだろうか。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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