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初めてのひとり旅!「ソロ温泉」の目的地を決める6つの視点

高橋一喜温泉ライター/編集者

温泉ライターという職業柄、よく「ひとり旅におすすめの温泉を教えてほしい」といったリクエストを受けることがある。

しかし、こうした期待に100%応えるのは難しい。なぜなら、筆者が理想とする温泉やひとり旅に求めるものは、その質問者と一致しているとは限らないからだ。

温泉自慢の宿をおすすめしても、相手が料理や施設の清潔感に期待しているなら、ミスマッチが起きてしまう。

温泉は千差万別。温泉地(温泉宿)にも個性がある。海の温泉地と山の温泉地とでは、まったく雰囲気が異なる。

また、にぎやかな温泉街と山深い地にある静かな温泉地とでは、現地での過ごし方も変わってくる。

「せっかく温泉に行くのだから多少値が張っても高級旅館に泊まりたい」という人もいれば、「ひとりだし、多少鄙びていても格安の宿がいい」という人もいるだろう。

あなたは、どんな温泉を求めているだろうか? ひとり旅の宿を決める前に、自分自身が求めるものを整理しておく必要がある。

「温泉の質」と「快適さ」どちらを優先するか? 

「温泉の質」と「宿の快適さ」は比例しないことがままある。「温泉が最高!」と評判の宿ほど、素朴な建物や空間だったりするものだ。逆に、広くて清潔な温泉宿でも「温泉はイマイチ」ということもある。自分がどちらを優先するかで、選ぶ宿も変わってくる。 

理想のロケーションは?

海の温泉地と山温泉地では雰囲気は異なるし、街中の賑やかな温泉地か、山中の一軒宿であるかで大きく環境は変わる。非日常から離れて、ひとりの時間を愉しみたいなら、人里離れた静かな温泉地がおすすめ。一方、「暮らすように旅をしたい」「周囲の観光も愉しみたい」なら街中にある温泉地がいいだろう。   

予算の許容範囲はどれくらいか?

ほとんどの人は予算に縛られる。「一人だし温泉さえよければいい」というのであれば、数千円で泊まれる湯治宿にして、外での食事に少し奮発してもいいだろう。反対に「宿はゴージャスさや清潔感が重要」なら、高めの予算を想定しておく必要がある。                

食事に何を求めるか?

「せっかく旅に出るなら地元の名産を使った料理を食べたい」という人は、料理自慢の宿を選ぶか、飲食店の充実した温泉街を選んで外食するのが正解だ。だが、「ひとりで食べるのは寂しいし、こだわらない」という人であれば、素泊まりにしてスーパーやコンビニで購入するという選択肢もあっていいだろう。 

交通手段は何を使うか?

現実的なことを言うと、温泉地は辺鄙な場所にあることも多い。車移動ができるなら、ドライブも兼ねて楽しめるが、公共交通機関オンリーで移動するなら、交通の便がよい温泉地のほうがいいだろう。 

ひとり旅の「耐性レベル」は?

最後に、大事なことをもうひとつ。ひとり旅というシチュエーションをどの程度許容できるかは、その人の経験値や性格によって差がある。ひとり旅に慣れている人であれば、徒歩でしかアクセスできない山の中の一軒宿のような、少々ディープな温泉宿も候補になるが、反対に、ひとり旅初心者であれば、飲食店や土産屋が並ぶ温泉街のように、あまり孤独を感じすぎないポピュラーな温泉が適しているかもしれない。

以上のような6つの視点から自分のニーズを把握しておけば、「こんなはずではなかった……」と後悔することを防げる。宿を予約する前に自分自身と対話し、自分の好みを探っておくことをおすすめする。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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