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身近な外来種ぜんぶ食う①-1:全国各地で増える侵略的熱帯魚・ナイルティラピア

茸本朗

野食ハンター

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外来種絶対食べるマン

最近、某水抜き番組の人気もあり「悪の外来種を滅殺する!」みたいな物騒な思想が流行っているようです。かの番組は生物学クラスタの人たちからその手法について批判が集まっており、個人的にも引っかかるところは多々あるのですが、それはそれとしていま国内で増えている外来生物を捕獲するのはぼくも好きです。なぜならその多くは「食用価値が高い」から。

ブラックバスも元々は食用のために移入された
ブラックバスも元々は食用のために移入された

いま日本にいる外来生物には、ホンビノスガイのような「たまたま日本に入ってきちゃったもの」もいますが、ほとんどは「利用価値があって日本に連れてこられたもの」が多いです。中でも動物、とくに魚は「食用にするために」持ち込まれたものが多く、そういうものはやっぱり食べて美味しいんですよね。

全体的に減少傾向である日本の野生動物の中でも、彼ら外来種は数が増えているものが多く、結果として捕まえる・食べることに心理的抵抗感を感じずに済むということもあります。そういうわけで「どこどこで外来種○○が繁殖してる」と聞くと、捕まえられるかな、食べて美味しいかなということを考えます。

日本各地で熱帯魚が繁殖している!

さて、そんな外来生物の中で最近気になっているものに「ティラピア」があります。ティラピアとは観賞魚として人気の「シクリッド」と呼ばれる魚の一種で、本来は南米などの温暖な地域に生息する熱帯魚です。

シクリッドには、アクアリウムで絶大な人気を誇るエンゼルフィッシュやディスカスといった魚もいるのですが、ティラピアは彼らとは一線を画し「重要食用魚」として高い需要があります。日本ではかつて「イズミダイ」の名前で切り身が市販されており、いまでも素性を明かしたうえで、安価な白身魚として市販されています。

ナイルティラピア
ナイルティラピア

このティラピアが今、日本各地の河川で増殖しています。食用に移入されたものが流出したとみられています。前記の通り熱帯魚なので、普通に考えたら南日本の話のように思われますが、残念なことに中部日本以北でも生息している場所があります。

なぜ彼らが日本の冬を越せるのか、それはいま全国的に家庭排水・工業排水の高温化が著しいから。人口密集地では、下水処理場から河川や海に放出される排水の温度は年間を通して30前後あるといい、河川や内湾の温暖化につながっていますす。そのため、自然環境下ではティラピアが暮らすには寒すぎる場所でも、排水口の近くであれば定着でき、繁殖もできるのです。

今後、大問題になるのは間違いない

ティラピアは現状、ブラックバスやブルーギルのようなすでに社会問題になっている外来魚とは違い、積極的な駆除が推進される「特定外来生物」には指定されていません。これはティラピアが本来の日本の自然環境下では繁殖できないためですが、しかし今後も河川の温暖化が続いていけば早晩、全国各地で当たり前に見かける外来魚となるでしょう。

こんな小場所にもいる
こんな小場所にもいる

彼らの繁殖力は異常なほど高く、一度定着するとあっという間にその水域の最大勢力となり、既存の在来種のエサを横取りする、繁殖場所を破壊してしまうといった問題を引き起こす可能性が高いです。そのため、環境省はティラピアを「生態系被害防止外来種」に指定し、その現状や被害について観測を続けています。

今回、そんなティラピアが大繁殖しているという中京圏某所に行き、実際に捕獲することができたので、調理・試食の様子と合わせてレポートしていきたいと思います。

続く

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