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うつ病患者が抱える二重の苦しみ(周囲の無理解)

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

今日の記事は、うつ病患者の周囲の方に、ぜひ読んでもらいたい内容です。
そして、周囲の方に自分の辛さを理解して欲しいうつ病患者の方は、この記事をどうぞ紹介してあげてください。

私は、心理臨床家です。ほぼ毎日カウンセリングをしています。
そんな中、うつ病を抱えてらっしゃるクライアントに会う機会は少なくありません。

うつ病患者は、二重の苦しみを抱えています。
ひとつは、うつ病そのものの苦しみ。もうひとつは、周囲の病気に対する無理解です。

うつ病になると、身体が思うように動きません。
鉛の鎧をまとったように、身体が重くなるからです。
中には、立ち上がることもままならず、1日中寝てばかりの人もいます。

そんなうつ病患者に対し、心無い言葉を投げかける人は少なくないです。「いいねぇ、1日中、寝転んでばかりで」「辛いのは、あなただけじゃないんだよ」等々。

うつ病患者は言い返す元気もありません。自分を責め、激しく落ち込むばかりです。

どうぞ皆さん、うつ病という心の病を理解してください。
彼らは、好きでうつ病になったわけではありません。
1番辛いのは、本人なのです。どうぞそのことを、理解してあげてください。

皆さんだって、目の見えない人に向かって、「お前が、目が見えないせいで、どのくらい周囲の人に迷惑かけてるのか、わかってんのか!」とは言わない筈です。
よって、うつ病患者に向かって「お前が怠けてるせいで、どのくらい周囲の人に迷惑をかけているのか、わかってんのか!」等と言わないであげてください。

うつ病患者の持つ苦しみは、地獄のようです。
毎日が本当に、「生きるか死ぬか」なのです。

自死されてから後悔しても始まりません。
どうぞ、今してあげられることを精一杯してあげてください。
それが、毎日心理臨床を重ねる私の願いです。

追伸…
時おり、メンタルクリニックへ通っているとは思えないほど、元気なうつ病患者がいます。それは、間違いなく、「心配かけまい」と無理している姿です。決して、大丈夫なわけではないので、どうぞそのことをご理解ください。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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