Yahoo!ニュース

自己臭症とPATM(パトム)

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


自己臭症とは、
本当は、臭いなど発してないにも関わらず、「自分は、周りの人から嫌悪感をいだかれるほど、口臭や体臭を発している」と思い込み、悩んでしまう心の病です。
性格的には、繊細な人や凡帳面な人、人によく気を遣う人に多くみられます。また、自分の臭いに関して、他の人から指摘されたことが、この病気のきっかけとなることもあります。

PATM(パトム)とは、
People (are) Allergic To Me の略で、2008年くらいから欧米で呼ばれるようになった疾患概念です。 この症状を持つ人は、身体から実際に皮膚ガスを排出させているため、自分の周りの人々を咳き込ませたり、クシャミをさせたり、鼻を啜らせたり、目をチカチカ痛くさせたり、「臭い」と言わせたりします。
よって、PATMの人は、自分の身体から、臭いガスが出ないよう、髪の毛や身体を洗うことや歯磨きに熱心なことが多いです。

私は、心理カウンセラーとして、自称PATMの人に幾人か会ったことがあるのですが、ほとんどの人は自己臭症でした。ひとりだけ、本当にPATMの人がいらしたことがあったのですが、その時の私は、目をあけていられないほど涙が出て、咳やくしゃみが止まらなかったです。

私は、HSP(過敏症)なので、PATMの人が来れば直ぐにわかります。私の身体が、激しく反応するからです。ですから、「ひょっとすると、自分はPATMかも?」と思われる人は、ぜひ私の許を訪ねて来て欲しいと思います。

私が自己臭症の人に向かって、「あなたはPATMでは、ありません。おそらく自己臭症だと思います」と伝えてみても、自称PATMの人は、それを信じてくれようとはしません。「そんな筈はない。現に私が外を歩くと、周囲の人が咳き込んだり顔をしかめたりするのですから…。自分はPATMに違いありません」と訴えます。

PATMの人は、「自分が身体からどのくらいガスを発生させているのか?」高いお金を出して検査に行ったりするのですが、ほとんどの人は「標準レベルです」と言われるようです。
まれに、「皮膚からガスを発生させています」と言われることもあるのですが、治療法は、サプリメントを飲んだり、食べ物に気をつかうことですから、「わざわざ高いお金を出して、検査する必要があるのか?」私には疑問です。

自称PATMの人は、自分が自己臭症であるとは思いたがりません。そのようなことを思ってしまうと、「どうして人が自分を避けるのか? どうして自分が人を避けるのか?」説明がつかなくなってしまうからです。
そう、自称PATMの人は、「自分は、人から嫌われるのを恐れている人間だ」とは思いたくないのです。そして、「自分は、心の病になるほど弱い人間だ」と思いたくないのです。

※心の病は、弱い人間がなる病気ではありません。

基本、自己臭症は治る病気です。
多くは、抗精神病薬を飲むと良くなります。「自分の身体から、人にアレルギー症状を起こさせるほどのガスを発生させている」という思い込みから解放されるからです。

でも、自己臭症は、もともとは、対人恐怖症および社交不安障害の一種ですから、治療は、薬物と共にカウンセリングを受けるのが一般です。薬物療法とカウンセリングで、自己臭症は良くなります。

自称PATMの人が、「自分は、PATMなのではなく、自己臭症なのだ」と認めるのは、容易いことではありません。認めることが出来れば、半分以上は治ったも同然です。

私は、自己臭症を克服して、爽やかな笑顔を取り戻した人を幾人も知っています。
あなたが自己臭症およびPATMで苦しんでいるのであれば、どうぞ1日も早く専門家の許を訪れて欲しいと思います。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

竹内成彦の最近の記事