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全般性不安障害(不安神経症)の治し方

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、全般性不安障害についてお話したいと思います。
全般性不安障害とは、かつては不安神経症と呼ばれていたノイローゼのことです。

症状としては、いろいろなことが気になって、自分ではどうしようもないほど不安におちいり、夜も眠れない。そんな不安や心配が半年以上も続く、というものです。

恐怖症との最大の違いですが、
恐怖症はある特定のものに恐怖するというものなのですが、全般性不安障害は、不安になる対象がハッキリ特定されていない、いろんなことに不安を感じる、という点です。そこが違います。

全般性不安障害には、20人に1人以上が一生のうち1回以上なると言われています。決して珍しくない病気です。現在、身体の不調で、内科に通われている方の何割かは、全般性不安障害ではないかと言われています。

全般性不安障害に関しては、
どこからが病気でどこからが病気じゃないかハッキリしないのですが、今から言う症状に、いくつかあてはまるようであれば、お早めに、メンタルクリニック、もしくは、精神医学に詳しいカウンセラーの許を訪れることをおススメします。

1.仕事や学業など、多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配が、6ヵ月以上続いている。
2.心配や不安が、ない日よりも、ある日のほうが多い。
3.不安や心配を、自分でコントロールするのが難しい。
4.不安や心配は、次の6つの症状のうち3つ以上を伴っている。
 ① そわそわと落ち着きがなく、緊張したり、過敏になる。
 ② 疲れやすい。
 ③ 集中力がない、または心が空白になる。
 ④ 刺激に対して敏感に反応してしまう。
 ⑤ 肩こりがあるなど筋肉が緊張している。
 ⑥ 眠れない、または熟睡した感じがしない。
以上です。

身体の症状としては、「原因不明の頭痛やめまいがある」「のどにつかえがある」「吐き気がある」「手足が冷えたり熱く感じたりする」「冷や汗をかいたり、赤面したりする」「息苦しい」「動悸がする」などがあります。

私も今から10年ほど前に、この全般性不安障害に罹ったことがあります。
その頃は、毎日のように、「お客さんがカウンセリングルームに、全然来なくなったらどうしよう」「お客さんからクレームをつけられ、訴えられたらどうしよう」「電車の中で痴漢に間違われ、警察に捕まったらどうしよう」等と、わざわざ自分で不安を作り出して、悩んでいたものです。
今なら「どうして自分が全般性不安障害に罹ってしまったのか?」「どうすれば罹らずに済んだのか?」わかるのですが、当時は、「どうしてこんなに毎日が不安なのか?」よくわかっていませんでした。
精神医学に詳しいという自負を持っている私ではございますが、やはり自分のこととなると冷静に客観的に見られないものだなあ…と思います。


全般性不安障害になる原因とその治し方

まず原因ですが、大きく2つに分けることが出来ます。
ひとつめは、悩みが高じて、それで罹ってしまったというものです。
ふたつめは、脳の調子が悪くなって、それで罹ってしまったというものです。
もちろん、「どちらとも言えない」と仰る人、「混合方」と仰る人もいます。

順にご説明いたします。
「悩みが高じて全般性不安障害になってしまった」と仰る方につきましては、その悩みを解決しなければ、良くはなりません。よって、「自分はどんな悩みを持っているか?」「何が不安なのか?」と、しっかり自分と向き合って考え、それで悩みを解決していかなければなりません。

「悩みが高じて全般性不安障害になった」「不安を持ちやすい性格だから、心配性だから」という理由で「全般性不安障害になった」と仰る方は、カウンセラーなどの専門家の力を借りて、悩みを解決、性格改善に励めば、症状は回復に向かいます
カウンセラーは、全般性不安障害のクライアントに対しては、来談者中心療法や認知行動療法を用いることが多いです。

続いてふたつめですが、「脳の調子が悪くなって全般性不安障害になった」と仰る方は、脳の調子を整えれば、症状は回復に向かいます。

脳の調子を整える方法ですが、


1番目の方法は、お薬を飲むことです。
全般性不安障害の方は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬を飲むと、脳内神経伝達物質の働きが良くなり、症状が緩和します。

続いて、2番目の方法は、生活を整えることです。
早寝早起きをすること。睡眠時間を十分に取ること。身体にいい物を食べること。適度な運動をすること。規則正しい生活をすること。などです。そうすれば脳の調子が良くなり、全般性不安障害は回復に向かいます。

この記事を書いている私も、全般性不安障害になったことがあるのですが、私の場合は、仕事量を減らして、睡眠時間を十分に取るようになったら、自然に良くなりました。

他には、自律訓練法をやると良いかと思います。これは瞑想の一種なのですが、自律訓練法は、悩みが高じて全般性不安障害になった人にも、脳の調子を崩して全般性不安障害になった人にも効果があります。宜しければ、ぜひお試しください。

あと、アルコールについてですが、少量のお酒は、気分をリラックスさせ、ストレス解消にはなるのですが、間違いなく少しは脳にダメージを与えるので、脳が弱い方は飲まないほうが賢明です。

ちなみに、
脳が弱いとは、知的能力が低いという意味ではございません。
脳が弱いとは、脳内の神経伝達物質の量に異変が生じやすいという意味です。
どうぞお間違えのないようにお願いします。

世の中には、生まれつき虚弱体質という人がいるように、世の中には、生まれつき脳が脆弱という人もいます。脳が脆弱な人は、そんな自分の脳をいたわりながら過ごさねばなりません。どうぞ自分の脳の特性をよく知り、自分のためにも社会のためにも、自分の脳を上手に使っていってください。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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