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醜形恐怖症の治し方

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、醜形恐怖症についてお話したいと思います。
醜形恐怖症は、「自分の身体が醜い」「自分の顔が醜い」「だから人付き合いが出来ない」と思い悩む心の病です。

本当に醜いのであれば、整形外科に行って、手術して、不細工なところを治してもらえれば、悩みは解消するのですが、心の病である醜形恐怖症の人は、整形外科に行って醜い箇所を治してもらっても、なんだかんだと文句をつけ、不満を漏らし、少しも悩みは解消されていきません。

醜形恐怖症の方は、家族や友人・知人から、「あなたは全然醜くなんかないよ」と言われても、それを信じられず、悩むのを一向にやめようとしません。「自分は醜い。醜すぎる。だから人生がうまくいかないんだ」と信じて止みません。そのあたりが心の病である所以です。

私は過去、幾人もの醜形恐怖症のクライアントに会ったことがありますが、多くは、『決して醜くはない普通の人』というか、『どちらかと言うと美人の人』のほうが多かったような気がします。

「自分の顔に自信がある。この自信を失いたくない」と無意識で思っている。だから、自分の顔にこだわり、「醜いのか醜くないのか?」必要以上に気にするのかもしれません。

よく女子で「今日は、酷い顔をしているから外に出たくない」と言う方がいますが、たいていは自分の顔に自信を持っている美人だったりしますよね。もともと不細工な人は、そんなこと言いませんよね。醜形恐怖症の人は、そういうことなんじゃないかなあ…と、私は思う次第です。

私は、以前、「私はブスではないと思うのですが、とにかく笑顔が変なんです。笑うと醜くなってしまうのです。だから人前で笑うことが出来ません」と仰ったクライアントに会ったことがあります。あと「私の身体は変過ぎて、皆が顔を背けるのです。だから人とまともに会話することが出来ません」と仰ったクライアントに会ったことがあります。

そう、ここまで聞けばおわかりかと思うのですが、醜形恐怖症は、対人恐怖症社交不安障害の一種なのです。人から嫌われるを必要以上に恐れ、人と交わることに不安を覚える心の病なんです。

ここで「本当に醜い場合はどうなんだ?」という質問をくださる方がいるのですが、本当に醜い場合は、醜形恐怖症とは言いません。でも多くの方は、自分で醜いと勝手に思い込んでいるだけなのです。

だから、美容整形外科に行って、醜い部分を治したしても、根本的な解決にはいたりません。事実私は、美容整形外科に行って、何百万円も使って、何度も手術しておきながら、「自分の醜さをぬぐい切れない」と仰るクライアントに幾人も会ったことがあります。

皆さん、「この醜さを解決さえすれば、人生がうまくいくのに」と仰るのですが、そう仰るクライアントの醜さが解決することはなく、人生がうまくいくことはありません。


ここで、醜形恐怖症の治し方をお話します。

まずは、自分は醜形恐怖症なんだと自覚することが大切です。

なかなか自覚することは難しいのですが、そう簡単には出来ないのですが、
周囲から「全然醜くなんかないよ」」と言われているにも関わらず、また、美容整形外科に行って手術して成功に終わったにも関わらず、「自分は醜い…という思いが頭から離れない」「1日何時間も、自分の顔や身体のことを考えている」と仰るのであれば、あなたは高確率で醜形恐怖症であると言えます。

次に、
醜形恐怖症の人がやるべきことは、「自分が醜い」という理由でやっていることと、「自分が醜い」という理由で避けていることを、まずはやめることです。

どういうことかと言うと、例えば、「自分が醜い」という理由で、何時間も鏡を見て、自分の顔の手入れしているのであれば、まずはそれをやめてしまうことです。「やめられない」と仰るのであれば、鏡を見ている時間を人並み程度に減らすことです。

また、「自分が醜い…という理由で人に会えない」とおっしゃるのであれば、勇気をもって人に会いに行くことです。そうすれば、症状は緩和します。自分の醜さを理由にして自分の行動に制限をかけない、それが醜形恐怖症を治すコツです。

続いて、醜形恐怖症の人は、概して自己肯定感が低いものです。
事実、私は、自己肯定感が高い醜形恐怖症の人に会ったことがありません。
醜形恐怖症の人は、よく「この私の醜い顔が醜くなくなったら、悩みが解決する。自己肯定感がアップする」と仰るのですが、そもそも醜さは自分の思い込みから発生しているものなので、顔を整形したところで、醜形恐怖症の方の自己肯定感の低さが解消されることありません。そう、自己肯定感は向上しないということです。

世の中には、自己肯定感を高める方法が書かれた本が何冊も出版されていますし、私も「自分を好きになる方法」というメルマガを発行していますので、醜形恐怖症の方は、自分の醜さをどうこうしようと努力すのではなく、自己肯定感をアップさせることに取り組んで頂ければと思います。

もう1度言います。あなたが自己肯定感が低いのは、あなたが醜いわけではありません。そして、あなたの自己肯定感が高くなれば、それに伴って、自分の醜さも気にならなくなります。本当です。

醜形恐怖症を治すコツの2番目は、
自分の醜さの解消ではなく、自己肯定感の向上という訳です。

あと、醜形恐怖症の方には、お薬も効きます。
症状によって、抗うつ薬を処方されるのか? 抗不安薬を処方されるのか? 抗精神病薬を処方されるのか? は医師によっても違いますが、お薬は少なからず効きます。ぜひ1度、メンタルクリニックへ行くこともご検討ください。
そう、行くべきところは、美容整形外科ではなく、精神科・神経科というわけです。

最後に、カウンセリングに行くことも、ぜひご検討ください。
有能なカウンセラーなら、あなたが持つ自分の醜さの悩みに、きっと共感してくれることでしょう。頭ごなしに「あなたは醜くなんかない」と否定することはないでしょう。カウンセリングを受け、自分の悩みの理解者が得られたら、きっとあなたは、今までより力強く生きられることと思います。
私は、あなたが、精神医学に詳しく、性格心理学に詳しいカウンセラーに出会うことを、心から祈っています。どうぞお大事にしてください。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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