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演技性パーソナリティ障害とは?

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、演技性パーソナリティ障害についてお話したいと思います。演技性(えんぎせい)パーソナリティ障害とは、人間関係のなかで無意識に自分に何かの役柄を決め、それを演技するかのように行動するパーソナリティ障害(人格障害)のひとつです。

一般人口の1.5~3%が、演技性パーソナリティ障害を有していると推定されています。
割合としては、男性よりも女性のほうが若干多いです。
他のパーソナリティと同じ、多くは成人期初期までに発症します。

この障害の特徴に、対人関係で相手となる他者に対し、自分の身体的外観を用いて、過度に注意を引こうとするという点があげられます。また全てのものを実際以上に重要に感じ、考え方や感情を誇張する傾向があります。演じる役柄は、例えば「自分は犠牲者である」などといったものです。

症状としては、注目されようと目立つ行動をします。
大きな物音を立てる、突然泣くなど、周囲からは、演技しているように見えます。感情表現が表面的で、誇張されていることが多いです。集団のなかに存在する時、自分が中心であること、注目されることを求め、自分が注目されていないと気が済みません。注目されていないと不快になります。注目されないとうつ気分になります。

この障害の方は、日頃から、注意を引こうとして、露出の多い服装や、性的なアピールを、場所や状況などをわきまえずにすることが多いです。また、強い主張をして気を引こうとしたりしますが、主張の内容自体は、薄いことがほとんどです。

目立ちたがり屋との違いですが、演技性パーソナリティ障害の方は、ただの目立ちたがり屋と違って、社会生活に支障を生じさせるほど、症状が強いというのが特徴です。

ほかにも、人間関係が実際よりも親密だと思い込むことがあり、他人を信用しやすい傾向があり、「騙された、裏切られた」と言っては泣いたりします。

行動や考え方、ストレスによって身体的な症状があらわれることもあります。うつ病や気分変調症など、ほかの精神にかかわる病気を合併することもあります。演技性パーソナリティ障害は、年齢を重ねると穏やかになり、目立たなくなることが多いです。

次に、原因ですが、今のところハッキリとはわかっておりませんが、
幼少期に保護者からの愛情が不充分であったことなどが原因になる可能性があります。
また、両親や身近な人の中に、演技性の強い大人がいる環境で育ったといったことも考えられます。他には、性格的要因や、教育環境なども考えらます。

多くの場合、演技性パーソナリティ障害の本人は、自分のことを正常と認識しています。よって、治療につなげるのは難しいです。けれど、抑うつ状態や自傷行為などの症状が強くあらわれている場合には、本人も苦しんでいるので、周囲の人は無理強いせず、メンタルクリニックやカウンセリングルームへ行くことを勧めてあげると良いでしょう。

病院では、薬物療法が中心になりがちですが、主は、精神療法・心理療法となります。
医師が行うのは精神療法、カウンセラーが行うのは心理療法を呼ばれることが多いです。

カウンセリングでは、カウンセラーは、本人が、注目を集めるようなやり方をせずに、他者とコミュニケーションが取れるようになること、を目的として援助していきます。演技性パーソナリティ障害は、直ぐには良くなりません。本人も周囲も根気が必要となります。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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