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自閉スペクトラム症とアスペルガー症候群とカサンドラ症候群

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、「自閉スペクトラム症とアスペルガー症候群とカサンドラ症候群」というテーマでお話したいと思います。

先日、〇〇新聞を読んでいたら、記事の中に、アスペルガー症候群という言葉があるのを見つけて、ちょっと驚きました。というのは、専門家の間では、もうアスペルガー症候群という言葉は使わなくなったので、こんな大きな新聞社が、まだ堂々とアスペルガー症候群という言葉を使っていることに、軽い違和感を覚えたからです。

今、専門家の間では、アスペルガー症候群という言葉を使わず、自閉スペクトラム症という言葉を使っています。自閉スペクトラム症という言葉を使うようになって、アスペルガー症候群の人を、もっと大きな概念で捉えることに成功しました。

ちなみに、アスペルガー症候群という言葉は、一部の人の間では、「アスペ アスペ」と、蔑視用語で使われているように感じているのですが、それは私の気のせいでしょうか?

ちなみに、〇〇新聞には、「アスペルガー症候群は、発達障害である。臨機応変に対応するのが苦手である。同じような行動パターンを取り、自分のペースややり方を守ろうとする傾向が強い。自分の話ばかりをするなど、うまくコミュニケーションを取ることができず、集団生活に馴染めないことがある。生まれつきの脳機能障害である。感覚過敏を伴うこともある」と記されてありました。この記述に関しては、私は、間違ってないと思います。

以前は、アスペルガー症候群と呼ばれていた自閉スペクトラム症の人ですが、現在は、100人に1人か2人は、自閉スペクトラム症だろうと言われています。さらに、グレーゾーンにいる人、自閉スペクトラム症っぽい人は、その数の10倍、よって10人にひとりぐらいは、自閉スペクトラム症っぽい人に該当するのではないかと言われています。

自閉スペクトラム症と自閉スペクトラム症っぽい人の最大の違いは、社会生活に適応できているか否かです。何とか社会生活を営んでいる人、人の助けを借りず日常生活を営んでいる人は、自閉スペクトラム症とは言えません。

続いて、カサンドラ症候群とは、家族やパートナーなど、生活の身近にいる人が自閉症スペクトラム症であることが原因で、情緒的な相互関係を築くことが難しく、心的ストレスから不安障害や抑うつ状態、心的外傷後ストレス障害などの心身症状が起きている人のことです。

私は、アスペルガー症候群やカサンドラ症候群という言葉は、野波ツナさんによって有名になったのではないかなあと思っています。野波さんは、「自分の夫はアスペルガーである、そんな夫を持った私はカサンドラである」という類の本を10冊近く出しており、いずれも売れています。実際、この記事をご覧の皆さんの多くも、野波さんの存在によって、アスペルガー、カサンドラという言葉を知ったのではないでしょうか。

私のカウンセリングルームにも、「私の夫はアスペルガー症候群です」とおっしゃる、自称カサンドラ症候群の女性が訪れることがあるのですが、お話しを伺っていると、単なる性格の不一致であることが少なくないです。

夫婦というのは、生まれた場所も育った環境も違っている、所詮は他人なので、互いにわかりあうことは、誰もが簡単じゃぁないです。互いが互いのことを理解し、相手を思いやることは、相当に骨が折れるものです。
よって、「自分のことを理解してくれない」「自分の思い通りに旦那が動いてくれない」という理由で、自分の旦那をアスペルガー呼ばわりし、自分自身をカサンドラ症候群と決めつけるのは、如何なものか? と思う次第です。

でも、そのいっぽうで、本当に、自分の旦那さん、自分の奥さんが自閉スペクトラム症である人もいらっしゃいます。自閉スペクトラム症の方は、相手の気持ちを察するのが大変に苦手です。それで、悪気なく、人を傷つけることを平気で言ったりもします。そんなパートナーを持ってらっしゃる方は、心を通わすことが出来ない、さぞ辛い思いを持つだろうと思います。

けれど、それだからこそ、「自閉スペクトラム症の人は、どんな症状の持ち主なのか?」と、正しく理解して欲しいと私は思う次第です。自閉スペクトラム症の人とつきあうコツは、「理解してもらおう、察してくれるだろう」という期待を手放すことです。

言ってみれば、当たり前のことですが、自閉スペクトラム症の方の中にも、いい人悪い人がいます。好ましい人、好ましくない人がいます。それは定型発達者・健常者と同じです。
よって、「自閉スペクトラム症の人と結婚したから不幸になった」とはとても言えません。実際、落胆したり嫌悪感を持ってしまうのは、自閉スペクトラム症の特徴そのものではなく、性格の部分が大きいかと思います。

自閉スペクトラム症の人と結婚した人は、パートナーの特徴を個性と捉え、パートナーの性格をよくよく理解し、上手につきあっていって欲しいと思います。そうすれば、互いに気持ち良く結婚生活を送ることができる筈です。

というわけで、今日は以上です。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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