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HSPは、自意識過剰の人ではありません。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「HSPは、自意識過剰の人ではありません」というテーマでお話したいと思います。

HSPとは、ハイリー・センシティブ・パーソンの略で、「ひといちばい敏感な人」という意味です。

私は、生まれた時からHSPでした。ひといちばい敏感な子でした。そのせいで、私は、幼稚園を中退しております。同級生が発する声や音がうるさくってかなわなかったからです。

HSPという言葉および概念については、私は、2018~2019年頃に知りました。

さて、自分の持つ敏感さゆえに、幼稚園を中退した私ですが、私の場合、HSPの症状は、小学校・中学校と、身体が成長するにつれ、少しずつ良くなっていきました。

でも、50歳を過ぎる頃から、HSPの症状が、また酷くなってきてしまいました。そう、また小さい頃のように、敏感になってきてしまったのです。
この事実は、私を大いに失望させました。私は、年寄りになったら、鈍感になって、細かいことが気にならなくなるのではないかと、ひそかに期待していたからです。

実は私のような人は少なくないです。
加齢と共に、ますます過敏になってしまう人が…。

さて、HSPという概念が世の中に知れ渡るようになってきたのは、悪いことではないのですが、最近は、困ったことに、自意識過剰の人、社交不安障害の人が、自分のことを「HSPだ」と発言するようになってきました。これは、HSPの私からすれば、結構迷惑なことです。HSPが正しく伝わらず、誤解されてしまう恐れが大だからです。

ちなみに、これは、もう数十年も前からなのですが、気分変調症の人や全般性不安障害の人が、自分のことを「うつ病だ」と言うようになり、本当のうつ病の方が迷惑を被っているという事実が世の中にはあります。このことは、特に専門家の方は、ぜひ知っておいて欲しいと思います。

話を戻します。

最近、自意識過剰の人や社交不安障害の人が、よく、「私は、自分が人からどう思われているかが非常に気になるので、HSPだ」なんてことを仰っているのを、目にしたり耳にしたりすることが多いですが、HSPは、人目が気になる人のことではありません。

HSPは、人の出す音がうるさく感じて、人の出す臭いがくさく感じて、それで困る人なのです。そう、HSPは、人からどう思われるかが気になって、それで思い悩むような人のことではないのです。

実際、私は、強烈なHSPですが、人からどう思われるかなんてことは、特にHSPの症状が強く出るようになってからは、ほとんど気にならなくなりました。そんな余裕、「人目を気にする余裕」などないのです。今の私は、人が出す音や人が発する臭いが突き刺さり、そっちのほうで辛さを感じます。

私のカウンセリングルームにも、本当のHSPの方が訪れますが、中には、「人目が気になる」とか、「人間関係が苦手」とか、仰る人もいますが、「そんなこと全然ない」と仰る人のほうが多いです。

だから、HSPではない、自意識過剰の人および社交不安障害の人は、自分のことを「HSPだ」と発言するのは、「控えて欲しいなあ」と、心理カウンセラーとして当事者として、私的に思う次第です。

HSPは、病気ではないので治りません。上手につき合っていくより他ありません。でも、自意識過剰や社交不安障害は、本人に治す気があれば、改善されていきます。

よって、「人目が気になる」と仰る自意識過剰の人は、「自分はHSPなんだから仕方がない」等とHSPの概念に逃げ込まず、努力して自分の苦手を克服していって欲しいと思います。

自意識過剰の治し方は、

1.ありのままの自分を受け容れ、自分に目を向け過ぎるのをやめること。
2.他者を信頼し、他者に暖かい関心を持つこと。
3.他者に貢献すること。

以上です。

HSPは治るものでも治すものでもありませんが、自意識過剰は治るもので治すものです。何故なら、自意識過剰が高じると心の病になってしまうからです。

というわけで、今日は、
「HSPは、自意識過剰の人ではありません」というテーマでお話しさせて頂きました。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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