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【発達障害とは?】ADHD(注意欠如・多動症)と LD(限局性学習症)と 発達性協調運動症(DCD)

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日の記事は、昨日の記事の続きです。

ASD(自閉スペクトラム症)の方は、言語性コミュニケーションの特徴(言語能力の遅れ)や、非言語性コミュニケーションの特徴(表情の乏しさや語調の不自然さ、他者の示す表所の理解の難しさ)は早期に発見されていなければなりません。早期に発見されていない場合は、ASD(自閉スペクトラム症)とは呼べないということです。

ASD(自閉スペクトラム症)のこだわりには、
習慣をかたくなに守ろうとしたり、反復的な行動を好んだり、儀式的な行動するといった、興味が限定的で執着が強いことなどが含まれます。また常同運動(手の平をひらひらさせる)がみられる場合もあります。特定の能力(例えば、カレンダーを何年も先まで覚えているとか計算が非常に速いが、他の能力と比較して非常に高い能力の人のことをサヴァン症候群と呼びます。

その他、ASD(自閉スペクトラム症)の特徴として、
共同注意の乏しさが目立つ。視線が追従できない。言語の遅れが目立つ。相手に合わせて会話を展開していくことができない。場の雰囲気に合わせられない。他者の考えや感情が理解できない。共感能力の欠如、などがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の認知仮説として、
人間が自然にもつ、他者の感情や考えを推測し、その行動を予測する能力が欠けているのではないかという「心の理論」があります。実際、「サリーとアンの課題」を、ASD児は解けないことが多いです。

ここでまとめます。ASD(自閉スペクトラム症)の特徴として、次のことが挙げられます。         
 1.人との関係が苦手
 2.感情のコントロールが苦手
 3.想像することが苦手
 4.曖昧なこと、目に見えないものが苦手
 5.関心事が狭くて深い
 6.過集中を起こすことがある
 7.手順ややり方などへのこだわりが強い
 8.感覚が敏感もしくは鈍感である
 9.時間が伸び縮みする
10.生活リズムが乱れやすい
11.ワーキングメモリ機能が低い
等です。以上で、ASD(自閉スペクトラム症)の説明を終わります。

続いて、発達障害である、注意欠如・多動症(ADHD)の診断基準についてお話いたします。ADHDとは、注意の欠如,多動,衝動性という3つの行動を必須とする行動的症候群です。通常は、これらの行動が発達水準に不相応な状態で、社会的,学業・職業的になんらかの困難が生じていることで診断が下されます。

不注意としては、注意力をコントロールできない,興味のない課題を先延ばしにする,集中が困難、などがあります。多動としては、そわそわする,不適切な場面での行動や多弁などがあります。衝動としては、見通しを立てずに性急に行動することや熟慮せずに重要な決定を即断してしまうことがあります。

ADHD(注意欠如多動症候群)は、幼児期から、じっとしていない、気になるものがあると車の走る道に飛び出すなど、親からは「目が離せない」「何度注意しても同じ危ないことをやる」「育てにくい子」と思われることが多いです。本人は強く叱られることが多く、親は周囲から、「躾がなっていない」「甘やかしている」など非難されることが多く、親子共に精神状態が悪くなります。

ADHDの子は、就学しても、黙って座っていられず、忘れ物や無くしものも多く、よく喧嘩もするので、周囲から「悪い子」と称され自己肯定感が下がりがちです。約束を守れないし、仕事にも集中できず、部屋の片付けも苦手で、仕事も結婚生活も長続きせず、気分障害などの、二次的な障害を持ちやすいというのが特徴です。

ここでまとめます。ADHD(注意欠陥多動症候群)の特徴として、次の2点が挙げられます。
1.不注意
2.多動・衝動性が目立つ
以上です。

続いて、同じく発達障害である限局性学習症(LD)についてお話いたします。
はじめに、学習障害(LD)は、限局性学習症という診断名になりました。視力や聴力などの感覚障害や教育歴に問題がないにも関わらず、知的能力から期待される読み,書き,算数(計算)の学業成績に、著しい遅れを示す場合を「限局性学習症」とみなします。
学習症は就学後にあきらかになることが多いです。器用に鏡文字を書いたり、同じ行を何度も読んだり、計算の概念が何度教えても理解できなかったりします。

続いて、同じく発達障害である発達性協調運動症(DCD)についてお話します。
協調運動とは、手と手、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動のことを言います。
発達性協調運動症(DCD)の方は、視知覚・触覚・固有感覚・位置覚などの感覚入力をまとめて、運動意図に基づき運動計画を生成,運動として出力し、それらの結果をフィードバックに基づき修正・学習を行うという一連の脳機能が未発達と考えられています。
ボールを投げる,歩くといった粗大運動や、ボタンをはめたり縫物をするといった手先を使うなどの微細運動、こうした協調運動に非常に困難がある人を発達性協調運動症と言います。一般的にはひどい不器用ということになり、人口の5~6%います。発達性協調運動症(DCD)の人は、自動車の免許を取得するのにも大変な困難を覚えます。

次に、発達障害に関する法律についてお話いたします。
1960年に成立された知的障害者福祉法に遅れること44年、2004年にようやく、国会で、自閉スペクトラム症やADHDなどを支援する発達障害者支援法が成立されました。そして、2016年に法が改正され、「発達障害および社会的障壁により日常生活または社会生活に制限を受けるもの」と位置付けられました。ちなみに現在は、軽度発達障害という用語は停止されています。
こうした法整備に伴い、発達障害者支援センターが都道府県、政令指定都市に設置されるようになりました。2006年には、特別支援教育が学校教育法に位置付けられ、2007年より特別支援教育が始まりました。

というわけで、昨日・今日は、「発達障害とは何か?」というテーマで、
自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習症(SLD)、運動症群(DCD)のお話をさせていただきました。

次回は、「周囲の人は、発達障害者をどう支援していったらいいのか?」そして「発達障害者本人はどう改善していったらいいのか?」についてお話いたします。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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