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【あら探しをする人の心理】を性格心理学に詳しい現役プロ心理カウンセラーが解説します。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「あら探しをする人の心理」というテーマでお話したいと思います。

では早速。

世の中には、あら探しをするのが好きな人がいます。

そういう人たちは、どうしてあら探しをするのが好きなのでしょうか?

実は、人間は、人のあらを見つけ、それを非難したり否定したりすると、ある欲求が満たされるのです。

だから、あら探しをするのが好きな人は、熱心に、人やモノのあら探しをするのです。

ちなみに「あら」とは、辞書を引くと、人の言動や作品のよくないところ、落ち度、欠点、と出てきます。

で、あら探しをするとある欲求が満たされる…、それって何?

ということなのですが、その答えは、後半で出てきます。

さて、

世の中には、さまざまな欲求論があります。

たとえば、マズローの欲求5段階説は、有名ですね。

マズローの欲求5段階説とは、人間には、5段階の欲求があり、1つ下の欲求が満たされると、次の欲求を満たそうとする、そんな基本的な心理的行動がある生き物だというものです。

第1段階は、生理的欲求。
第2段階は、安全欲求。
第3段階は、社会的欲求。
第4段階は、承認欲求。
第5段階は自己実現欲求。
と言われています。

実は、私(竹内成彦)は、マズローの欲求5段階説をあまり支持していません。というのは、人間は、生理的欲求や安全欲求より、承認欲求を優先させようとすることが少なからずあるからです。

だから、安全欲求が満たされると社会的欲求を満たそうとする、社会的欲求が満たされると承認欲求を満たそうとする、というマズローの考えには、私は賛同できません。

欲求論で言えば、私は、

無能唱元さんが説く欲求論が1番好きです。1番しっくり来ます。

無能唱元さんは、人間には、5つの欲求があると仰っています。

では、無能唱元さんの説く5つの欲求をご紹介したいと思います。

ひとつめは、生存欲求です。

安全欲求・食欲・睡眠欲は、これらに含まれます。

ふたつめは、自己重要感欲求です。

これは、「自分は生きるに値する、重要な人間なんだ」「自分は力のある強い人間なんだ」と思いたい欲求です。自尊感情も自己肯定感も自己効力感も、この欲求に含まれます。

みっつめは、群居欲です。

所属欲求と言ってもいいかもしれません。人と群れたい、仲間が欲しい、愛し愛されたいという欲求です。

よっつめは、好奇心欲です。

何か新しいことを経験してみたいという欲求です。

いつつめは、性欲です。

種族保存欲求と言ってもいいかもしれませんし、楽しみ欲求と言ってもいいかもしれません。
以上です。以上、5つが人間の持つ5大欲求です。

弱い強いはありますが、人間、誰もが、この5つの欲求を持っています。

無能唱元さんは、人間にとって、もっとも大切なのが、自己重要感欲求とおっしゃっています。この欲求を満たしたいがために、人は、ときに、自分の命さえも投げ出したりすると言うのです。

で、話を戻します。

あら探しをする人の心理ですが、人間は、人やモノのあら探しに成功すると、己の自己重要感欲求が高まるように出来ているのです。

人は、「○○君は、なっていないなぁ」「○○さんは、こんなところが欠けているなぁ」等、人やモノのあらをみつければ、さも自分が、賢くなったような偉くなったような気になる生き物なのです。

だから、あら探しをする習慣を持っている人は、あら探しがやめられないのです。

よって、手っ取り早く、己の自尊感情を高めたかったら、人やモノのあら探しをして、口に出して、または心の中で、悪口を言ったり、けなしたりするに限ります。
そうすれば、誰もが、簡単に、努力することもなく、自己重要感欲求である「自分は偉いんだ」「自分は賢いんだ」という欲求を、満たすことが出来ます。

長々とご説明してきましたが、いったんここで整理します。
あら探しをする人の心理は、あら探しをすることによって、人間の持つ根源的な欲求、自己重要感欲求を高めようとしているということです。

よって、あなたは、あら探しをする習慣を持っている人を見たら、「ああ、あの人は、あら探しをするという行為を通じて、自分の自己重要感欲求を満たそうとしているんだなぁ」と理解してください。

さて、今言ったように、あら探しをすると、己の自己重要感欲求が簡単に高まるのですが、この方法は、幸せに生きていきたいと思う人は、絶対に使ってはいけません。

何故なら、そんなことをすれば、人から嫌われるだけだからです。
人は、あら探しをする趣味がある人など、好きになれないものですし、さらに、あら探しばかりをしていると、自分の周りには、あら探しする人ばかりが集まって来くる…という残念な結果を招いてしまいます。

いかがでしょう? 人から嫌われる、もしくは、あら探しが好きな人に囲まれる…、そんな人生、つまらないと思いませんか?

さらに、
世の中には、アマゾンなどで物を購入した時に、良い商品だった場合は評価せず、気に食わなかった商品だった場合のみ、低評価のレビューを書く人がいますが、そういうことも、幸せに生きていきたいのなら、なるべくしないほうがいいです。

何故なら、人間は、悪口を言ったり書いたりすると、心の奥深くで、自分の心が傷つくように出来ているからです。
人間の心の奥底にある潜在意識というものは、自他の区別がつきません。よって、人の悪口を言っている行為は、イコール、自分の悪口を言っている行為に他なりません。だから、人の悪口は言わないほうがいいのです。

私は、63年 生きていますが、
人やモノのあら探しばかりをしている人、人やモノの悪口ばかりを言ってる人で、幸せそうにしている人を、1度も見たことがありません。

どうぞ、「人やモノのあら探しする」という安易な行為で、自己重要感欲求を満たさないようにしてください。その行為は、長い目で見ると、友だちや仲間を失い、自分の自己肯定感および自尊感情を低くする行為そのものだ、ということを忘れないでください。

私(竹内成彦)は、弱い人間です。
精神状態が悪くなると、人やモノのあらに目が向きがちな、か弱い人間です。
よって、これからも、自分の感情と言葉をしっかり見張り、考えおよび行動を上手にコントロールしていきたいと思います。

というわけで、今日は、「あら探しをする人の心理」というテーマで、お話させていただきました。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。

心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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