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【統合失調症を治す方法】についてを、精神医学に詳しい心理カウンセラーが語ります。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「統合失調症を治す方法」というテーマでお話したいと思います。

はじめに…、
統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患です。
脳の病気です。心の病気ではなく、心というモノを作っている脳という臓器の病気です。
統合失調症は、100 人に約1 人がかかるといわれている病気です。決して特殊な病気ではありません。思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気です。

続いて、治し方ですが、
統合失調症には前兆期、急性期、休息期、回復期、安定期の5段階があると言われています。症状5段階の現れ方や経過は人によってさまざまですが、一般的には、前兆期急性期休息期回復期安定期という5つの段階で経過します。

続いて、この5つの段階を、
治し方と共に、順にご説明したいと思います。

前兆期とは、
気分障害やうつ病のような症状が前兆として現れはじめる時期です。焦り、不安、感覚過敏、集中力の欠如、意欲低下、不眠、食欲不振、頭痛などの症状です。統合失調症という診断ができないことも多い段階ですが、優れた医師なら、この時点で、目の前の患者が統合失調症であることに気付きます。

前兆期の時点で、早めに受診いただくと、高い治療効果が期待できます。よって、目安としては、2週間ぐらい精神的な不調が続くようでしたら、1度メンタルクリニックへ行かれることを、私はお勧めしたいと思います。

続いて、急性期ですが、
統合失調症特有の症状が現れはじめます。前兆期にあった不安や緊張、感覚過敏といった症状が激しくなることもありますし、幻覚や妄想という症状が出始め、周囲とうまくいかなくなるなど日常生活への支障が大きくなります。

急性期になると、逆に受診が難しくなります。自分が病気だという自覚が持てなくなりますし、病院に行くことに対し、疑心暗鬼になるからです。よって、繰り返しになりますが、早め早めの受診が大切です。

続いて、休息期ですが、これは治療を受け始めてからの話です。
入院・通院による薬物治療によって、患者さんは、幻覚や妄想などの陽性症状が治まって、感情鈍麻や意欲低下などの陰性症状が起こるようになります。ただし、気持ちが不安定で、ちょっとしたことで陽性反応を起こして急性期に戻ってしまうこともよくあります。よって、休息期では、長期的に回復へ向かうことを考えて、焦らないことが重要です。

続いて、回復期ですが、
治療効果が現れはじめて、回復・安定に向かいます。症状が落ち着いたことで今後の不安や焦りなどに注意が向きやすいため、注意が必要です。統合失調症で自殺してしまう患者さんは、回復期に多いです。

続いて、安定期ですが、
状態が安定してくる時期です。病気になる前の状態に戻ることもありますが、急性期症状が少し残るケースや、回復期の陰性症状がある程度続くケースもあります。

そして、安定はしていますが、再度前兆期がはじまることもあります。そうさせないためにも、しっかりとコントロールをし続ける必要があります。治療開始から適切な薬物療法によって安定まで導いたら、それ以降は必要な薬を絞って処方することで再発率低下につながります。

統合失調症は、きれいサッパリ治るということが難しい病気です。
少量の薬物服用により、再び前兆期にならないよう、薬を飲み続ける必要があることが少なくないです。よって、安定期では、自分で勝手に通院や薬の服用をやめないよう、主治医とよくご相談なさってください。

 ↑ ↑ ↑
ご安心ください。少量の薬物を飲みながら、しっかり家事やお仕事をなさってらっしゃる方は、大勢います。

私のカウンセリングルームにも統合失調症のクライアントが訪れることがあります。私は医師と違って、長時間 クライアントと話をすることが出来るので、精神科医が気付いていない前兆気や急性期の段階で、目の前のクライアントが統合失調症であることに気付くことが多いです。

統合失調症は、カウンセリングでは良くなりません。
治療は、基本、薬物となります。

けれど、統合失調症でも私のカウンセリングルームに通うクライアントも少なくありません。彼らが通う理由は、「竹内先生と話すと気分が落ち着く」「竹内先生に会うと、しばらく調子がいい」という理由です。本人の希望はもちろん、家族も私のルームに通うことを応援してくれていることがほとんどです。

私は、統合失調症のクライアントに対しては、使う心理療法を厳選して、非常に慎重な態度でカウンセリングに臨んでいます。ええ、精神科医の治療を邪魔しないという態度も非常に重要です。

私は、カウンセリングルームを持たない、オンライン専門の若いカウンセラーに言いたいのですが、クライアントからお金を貰うのであれば、「メンタルクリニックへ通ってらっしゃる方のカウンセリングはお断り」なんてことを恥ずかしげもなく謳うのではなく、もっと精神医学の勉強をしてから、カウンセリングルームの看板をぶらさげて欲しいなあ…と思う次第です。

薬は依存するモノでも忌み嫌うものでもありません。
大切なのは、薬を飲んでいるか否かではなく、自分の人生をどう生きるか? です。
この記事をご覧の皆さんには、どうぞ、薬や精神科医、カウンセラーとは、上手につき合っていって欲しいなあと思います。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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