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新しい魚種は42年ぶり! シーチキン4種類を食べ比べしてきた

田窪綾フードライター

そのまま食べても、料理の具材にしてもおいしいシーチキン。3種類の魚が原材料として使われていましたが、今年なんと42年ぶりに新たな魚種「ぶり」が加わったんです。これまでのシーチキンと味はどう違うのでしょうか?10月10日の「缶詰の日」にちなみ、はごろもフーズで開催された試食セミナーで実際に食べ比べてきました!意外と知らないツナ缶とシーチキンの豆知識を交えてお伝えします。

「ツナ缶」と「シーチキン」の違いとは?

料理はもちろん、おにぎりやサンドイッチなど幅広く使えるツナ缶。その市場規模はなんと年間800億円!では、「ツナ缶」と「シーチキン」の違いとは何でしょうか?

試食セミナーの会場には歴代のシーチキンがずらりと並べられていました
試食セミナーの会場には歴代のシーチキンがずらりと並べられていました

「ツナ缶」は、まぐろ、かつおなどの魚を使った缶詰のこと。諸説ありますが、1903年にアメリカで製造されたのが始まりです。対して「シーチキン」は、はごろもフーズが手がける製品名なんです。

静岡の清水港で、大量に水揚げされても使い道のなかったびんながまぐろを有効活用したいという想いから1931年に創業したはごろもフーズ。当初はアメリカへの輸出用としてツナの油漬缶詰を製造していました。1958年からは日本国内での販売を始めますが、ツナ缶になじみのない日本人にもわかりやすく伝わるような名前をと辿り着いたのが『シー(Sea)チキン(Chiken)』。蒸したびんながまぐろがとり肉の食感に似ていたことから名付けられたそうなんです。

シーチキンの原材料が42年ぶりに追加!全部で4種類に

最初に少し触れましたが、シーチキンはこれまで「びんながまぐろ」「きはだまぐろ」「かつお」の3種類が原材料として使われていました。魚種によって製品を分けており、それぞれのシーチキンとして販売されています。

画像提供:はごろもフーズ
画像提供:はごろもフーズ

しかし近年、漁獲量の不安定さや世界的な需要の増加などにより原料の調達が難しくなってきたそう。そこで魚種を増やそうと、2023年からは新しい魚種として「ぶり」が登場。その名も『シーチキンEvery(エブリ)』です!

8月21日から発売開始した『シーチキンEvery(エブリ)』。左は定番の油漬タイプ、右はオイル不使用タイプ
8月21日から発売開始した『シーチキンEvery(エブリ)』。左は定番の油漬タイプ、右はオイル不使用タイプ

ぶりは刺身や切り身など、日本の食卓にもよくのぼる人気魚のひとつ。まぐろやかつおと同様にたんぱく質やDHA、EPAを多く含んでいるのが特徴です。さらにぶりは日本近海に広く分布していて、水揚げされたらそのまま国内で消費されるのがほとんど。世界的な変動の影響を受けにくく、そして何よりシーチキンとしておいしいことが決め手になったといいます。

油漬タイプは大豆油とオニオンエキスを使用、オイル不使用タイプはオニオンエキスと独自の調味液を使用
油漬タイプは大豆油とオニオンエキスを使用、オイル不使用タイプはオニオンエキスと独自の調味液を使用

「シーチキンEvery」は3~5月に九州・四国で水揚げされる天然ぶりを使って製造されるとのこと。

ここで運ばれて来たのが4種類のシーチキン!一度に食べ比べすると、それぞれの違いがはっきりわかりました。

「シーチキンEvery」は和食に合いそうな味付け

左から「シーチキンEvery」「シーチキンLフレーク」「シーチキンマイルド」「シーチキンフレーク1本釣」。いずれも油漬タイプ
左から「シーチキンEvery」「シーチキンLフレーク」「シーチキンマイルド」「シーチキンフレーク1本釣」。いずれも油漬タイプ

きはだまぐろのシーチキンに「L」と入っているのは、きはだまぐろのことを「ライトミート」と呼ぶことから。またかつおを使っているシーチキンは「マイルド」と名が付いています。サイズや味の違いではないので注意が必要ですね。

一番右の「シーチキンフレーク一本釣」は、ツナ缶の中でも最高級原料であるびんながまぐろを使用。以前、テレビ番組のツナ缶ランキングでも1位を獲得したそう。

以下は私が実際に食べてみた印象です!

■シーチキンEvery(原料:ぶり)
しっとりしたやわらかい口当たりでうまみが濃く、噛むほどに魚の甘い脂が出てくる印象。しょうゆなど和の素材に合いそう。フレークがそぼろのように細かいので、ぶりそぼろを作ってみたい。

■シーチキンLフレーク(原料:きはだまぐろ)
シーチキンと言えばコレ!と思わせる食べ慣れた味。名前の通り、確かにとり肉のような食感。クセがなく、何の料理にも合いそう。

■シーチキンマイルド(原料:かつお)
4種類の中では一番赤身がかった色合い。うまみが濃く力強い味。シーチキンを生かしたい、主役にしたい料理に合いそう。

■シーチキンフレーク1本釣(原料:びんながまぐろ)
白っぽい身でふわっとしたやわらかい食感。まろやかな口当たりで、噛むとゆっくりと魚のうまみが感じられるような繊細な味わい。

ぶりの缶詰「シーチキンEvery」
ぶりの缶詰「シーチキンEvery」

初体験のぶりの缶詰「シーチキンEvery」。実は製品化までに5年も掛かっているんです!まぐろやかつおと違い、頭が大きく骨の付き方や血合いの入り方が違うぶりなので、製造工程も見直す必要があったといいます。

食べてみると大豆油やオニオンエキスとの相性も良く、そのままでもしっかりおいしさが感じられました。はごろもフーズの方は「ぶり大根にしたり、玉ねぎやトマトと合わせてサラダにしたりするのもおすすめです」とのこと。

防災食アドバイザーの今泉マユ子さん
防災食アドバイザーの今泉マユ子さん

さらにこの日は防災食アドバイザーの今泉マユ子さんによる、缶詰の活用術や防災レシピの実演も!いずれも混ぜるだけや加えるだけ、耐熱ポリ袋に具材と調味料を入れてお湯でゆでるだけと、非常時でも作りやすいものでした。

今泉さん考案の3品。左から「シーチキンEveryサラスパ」「シーチキンマイルドチャンクと生姜の味噌汁」「シーチキンLイタリアンサラダ」
今泉さん考案の3品。左から「シーチキンEveryサラスパ」「シーチキンマイルドチャンクと生姜の味噌汁」「シーチキンLイタリアンサラダ」

ぶりを原材料にした「シーチキンEvery」は、全国のスーパーやネット通販などで購入できます。新しく仲間に加わったシーチキン、ぜひ試してみてくださいね!

はごろもフーズ

フードライター

調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成、レシピ提案などを行っています。

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