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【国内の大会に来るランナーが増えるかも?】実は大会が爆増中。今、マラソンブームが到来している国は?

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

今シーズンも、全国各地でマラソン大会が開催されています。2007年の東京マラソン開催に端を発した日本のランニング人口の増加は、第二次マラソンブームと言われています(笹川スポーツ財団の調査より)。ですが新型コロナウィルスの流行以降は、人気の都市型マラソンも募集倍率の低下がみられ、大会によっては定員を割り込むこともあります。コロナ以降は、様相が変わったのかもしれません。

そんな日本に先立って世界的には、2010年台の後半からランニング人口が減少傾向に転じています(RunRepeatより)。訪日外国人旅行者の増加に伴って、マラソン大会で海外の方を見かけることが多くなった印象があります。ですが、今後は少しずつ外国人参加者は減少するかもしれません。ですがそんな中、マラソンブームが急成長している国があります。

1.2010年以降マラソンブームが到来している中国

中国は2008年の北京オリンピックの翌年、8月8日を国家体育の日と定めました。そして国民の健康を維持し、体力を向上させる効果的なスポーツとして、マラソンは急速に発展しました。中国というと大気汚染という印象を持つ方もおられると思いますが、2010年以降は都市の大気の質が改善されてきて、それとともにマラソン大会の開催が増えてきているのです。

大会数は出典元によっても異なるのですが、最も大手のChinaMarathonを資料とした2019年の中国からの文献によると、2010年18件、2011年22件、2012年33件、2013年39件、2014年51件、2015年129件、2018年342件のレースが行われたようです。つまりはコロナ前の9年で、18倍にレースが増えたわけです。そして多くの資料で、マラソン大会に参加したランナーは2016年には100万人を超え、コロナ前には500万人を超えたとあります。

2.コロナの感染拡大のダメージは?

2020年以降、中国はゼロコロナ対策で社会的に大きなダメージを負いました。ではマラソンイベントはどうなのでしょうか。中国では2023年初めに第一波、夏に第二波の新型コロナウィルスの感染拡大がおこりました。そんな中でも、マラソン人気は高かったようです。中国陸上競技協会の発表によると、2023年度は合計580のイベントが開催され、参加者は計550万人であったそうです。感染が拡大する中、マラソン大会と参加者数は、コロナ前の水準以上に増加しているようです。

中国の大気汚染の変化と、中国内のレースの推移:中国及びインドにおける大気環境規制等に関する動向(野村総合研究所のHPより)
中国の大気汚染の変化と、中国内のレースの推移:中国及びインドにおける大気環境規制等に関する動向(野村総合研究所のHPより)

3.日本は中国のマラソンブームの恩恵を受ける?

中国の市民ランナーは所得水準が高く日本を含めた海外の大会への関心が高いようです。さらに昨年12月の福岡国際マラソンで、中国のフルマラソンの国内記録2時間7分9秒を出した楊紹輝選手は、国内でも大々的に報道されたそうです。

2007年の東京マラソン以降、日本国内は魅力的な醸成されたマラソン大会が増加しています。それは中国の方にも魅力的に映るのではないでしょうか。今後の中国のランナーの動向に注目です。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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