【高野町(高野山エリア)】お寺の中の新しいいのち。お寺で自然保護を考える
高野山にある普賢院さんにお邪魔しました。
こちらには、貴重な仏舎利や人目を引く彫刻の楼門や赤門といった有名なスポットがあるのですが、今回注目したのは「お寺の庭園の池」。
ちょうど今の時期、モリアオガエルが産卵のために庭園の池にやってきていました。
モリアオガエル
山地で多く見られ、非繁殖期はおもに森林に生息するが、繁殖期の4月から7月にかけては生息地付近の湖沼や水田、湿地に集まる。モリアオガエルの生活史の特性は、特に産卵生態によって特徴付けられる。カエルは水中に産卵するものがほとんどだが、モリアオガエルは水面上にせり出した木の枝や草の上、地上などに粘液を泡立てて作る泡で包まれた卵塊を産みつける。約1週間ほど経って卵が孵化する。孵化したオタマジャクシは泡の塊の中で雨を待ち、雨で溶け崩れる泡の塊とともに下の水面へ次々と落下する。和歌山県では準絶滅危惧(wikipediaより引用)
取材ということで特別に中に入らせて頂いたところ、小さな池の脇と、池の7〜8メートルくらい真上の高木にもモリアオガエルの卵塊がついていました。
池との高低差がありすぎてビックリ!
孵化して泡から出てきても、水面に落ちる際にダメージを受けないのか心配になります。
一般人として移住して高野町の山村に住んでいる私の先入観で、日常の中でお寺は「命の終わり」に関してお世話になるところというイメージがありましたが、高野山の歴史の中で人により手入れされつづけて環境が守られてきた池と裏山で『新しい命』が生まれ、次の世代へと紡がれていくことに、自分の中で今までとは違う視点を得た気がします。
お寺の庭園という半人工的な空間の中で、人と自然が共生しつつ持続する繊細な生態系。
手入れがされないとたぶん異なる生態系になってしまう。
実際にお寺の外の環境は時代とともに変化し、昔からの住民に伺うと「昔はそこらへんにモリアオガエルが居て、道路にもたくさん現れたけど今は見ない」らしいです。
※和歌山県ではモリアオガエルは準絶滅危惧でもある。
古くからのお寺には、自然保護の側面もあるのを学んだ日でした。
他にも、高野山では街中にある貯水池(防災用?)でもモリアオガエルの卵塊は確認しましたが、どこも観察するには卵塊まで距離があり見えづらく、一方で普賢院では庭園の小さな池のためすぐ間近で観察できて、卵塊も成体も見ることができ、これもまた1つの有り難い経験になりそうです。
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「別格本山 普賢院」
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山605
電話:0736562131
公式サイト
※庭池は敷地裏側にあるのと、観光スポットではないため、見ることができるのは宿泊客限定です。