Yahoo!ニュース

【橋本市(高野山エリア)】準絶滅危惧の貴重なツバメが車で行ける便利な場所ですぐに見れます

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

3年前に「あ、変わったツバメの巣がある」と気づいてからは毎年観察しています。

私は乱視がひどいので、素早く動く鳥の観察は全く得意ではありませんが、このツバメの巣は非常に分かりやすいので、一回見れば誰でも気づくと思います。
※営巣場所は本文最下部に記載

「コシアカツバメ」の巣
「コシアカツバメ」の巣

普通のツバメの巣はお椀型ですが、このツバメ「コシアカツバメ」の巣は細長く、横向きに入り口があります。

コシアカツバメとは、
日本で見られるツバメは、スズメ目に属するツバメ、イワツバメ、コシアカツバメ、ショウドウツバメ、リュウキュウツバメの5種類で、その中で最も体が大きく、尾羽も長め。名前のとおり、腰の部分が赤いのが特徴。
日本で繁殖するツバメ科5種のうちツバメと同様に昆虫を餌にしますが、翼を広げたまま、尾も拡げ、空中を滑るようにゆったりと飛行し、ツバメよりも空中の高いところで餌をとります。
巣はお椀型のツバメに比べ、入り口の狭い、縦半分に割ったとっくりを横にしたような形をしているのが大きな特徴です。
一般家屋よりも、ビルの天井や橋などコンクリート製の建造物に泥や枯草などで営巣します。
ツバメと違い集団営巣する傾向があります。
株式会社エドバンコーポレーション様HPより引用)

この巣がトックリに近いかも
この巣がトックリに近いかも

施設周辺でたくさん飛んでいます。尾が長い
施設周辺でたくさん飛んでいます。尾が長い

和歌山県レッドデータブックより抜粋

コシアカツバメ
県カテゴリー 準絶滅危惧(NT)

九州以北に、夏鳥として渡来する。家屋等にとっくり型の巣を作り、繁殖する。
和歌山県内では、山間地のコンクリートの建物等に営巣している。以前は、もっと海岸近くの地域でも繁殖していたが、現在は山間地に限定されている。
そのため、個体数が減少している。渡りの時期には、農耕地や海岸付近でも見られる。

和歌山県有田川町HPより抜粋

夏鳥として九州以北に渡来するが、ツバメより少なく、繁殖はツバメより遅い。コンクリート製建造物などに徳利型の巣をつくる。四国、九州などでは越冬例もある。本種はコンクリート製の建造物の壁などに営巣するが、昭和50年代前後に建造された建造物に営巣例が多く、近年にリホームされた建造物には巣材である泥の定着が悪いためか営巣は行わない傾向がある。その理由のためか、県下においても本種の繁殖地が激減し、平成 23 年度の改訂で和歌山県レッドリストに記載された種である。有田川町役場清水行政局周辺のコンクリート建造物が今後改築され、新しい建材による建築物にリホームが進むと、周辺から絶滅する可能性のある種であると言える。

今回現場である橋本市の橋本市民会館(鉄筋コンクリート建)は昭和43年5月に建設されているので、上記有田川町の記載内容に確かに該当しており、老朽化してきている橋本市民会館の改修や建て替えが行われるとコシアカツバメはもう戻ってこないことが考えられます。

せっかく市民が気軽に見られる場所に巣を作ってくれて、貴重な種でもあり、環境教育のきっかけにもなると思うので、橋本市に住民票の無い私が言うのははばかられますが、出来れば既存の生態系も加味した都市計画・管理計画の検討をお願いしたいです。

3年間見守り続けているものの、そういった事情で市民会館からはいつ居なくなるかも分からないので、良ければ一度このツバメ(の巣)を間近でご覧ください。

――――――――――――――――――――――――――

コシアカツバメ営巣場所:
橋本市民会館の軒下(橋本市役所の裏にあります)
和歌山県橋本市東家1丁目6−27

※つついたり、巣の下で騒いだりせず、静かに見守って下さい

地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。

田中寛人の最近の記事