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【橋本市(高野山エリア)】壊れたオモチャを無料で修理。おもちゃ病院はとても社会的意義のある仕組み

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

今回は、気になっていた「はしもとおもちゃ病院」、覗いてきました。

おもちゃ病院は伊都・那賀エリアではココだけ。
(橋本市内の住民に限定せず、おもちゃ修理してくれます。隣の奈良県・五條市でも可)

壊れたおもちゃを原則無料で修理します。予約は要りません 持ち込み数制限もありません。
次回診察日 7月8日(土)

公式サイトから以下、引用

午前中(9時〜12時)教育文化会館3階で診療活動をしています。
原則無料(部品代として100〜200円ご負担いただく場合があります)で修理活動していますので壊れたおもちゃありましたら気軽にお持ち下さい。

修理に長時間必要だったり、修理時間が足りなかったり、交換部品の手持ちがなかったりで当日にお返しできない場合には次の診療日まで入院となりますのでご了解お願いします。  

また、お近くにおもちゃ病院もなく 遠方ではしもとおもちゃ病院 まで診療を受けに来られない方はおもちゃを送って頂ければ診ることも可能です。

詳しくは公式サイトの「お問い合わせ」からご連絡お願い致します。

どこに問題があるのかを探して・・・
どこに問題があるのかを探して・・・

目星を付けたら、修理
目星を付けたら、修理

修理する「ドクター」(ボランティア)の経歴はみなさんバラバラ。
おもちゃ業界にいた専門家ではなく、定年退職後に何かできないか、ということで参加された方も多いそう。元々文系だった方もドクターで参加されていて、今は10人のおもちゃドクターで頑張っておられます。
※代表の柏木さんは和歌山で初めてのおもちゃ病院を立ち上げられて、15年目。

ドクターのみなさんにお話を伺うと、
「修理のやり方の正解は無い」
「故障の原因が分かれば、あとはどう対処するか?」
例えば、折れたパーツを接着する方法はいくらでも考えられる。
どんなやり方でも、おもちゃの元の機能をとりもどせば、それが正解になる。
修理する側としては、「故障の原因を見つけ、修理方法を考え、やり方を工夫するところが楽しい。」

おもちゃの構造は基本的にはシンプルで、長年の経験でどこが悪いのか分かる。
最近のおもちゃでも、壊れる箇所はアナログの部分が多い(電池切れや液漏れ、断線・接触不良、スイッチ故障など)。
「修理にそんなに特殊な技術は要らない、慣れれば大丈夫」

素人が集まって修理しているが、今のところ、預かったおもちゃの95%は直っている。
(次回返却の預かり修理「入院治療」含む)

修理済みで引き取り待ちのおもちゃ
修理済みで引き取り待ちのおもちゃ

修理済みで引き取り待ちのおもちゃ
修理済みで引き取り待ちのおもちゃ

はしもとおもちゃ病院では、今使っているこどものおもちゃだけではなく、大人の大切な想い出のおもちゃも修理可能です。諦めて放置している方は一度相談されてみてはどうでしょうか。

修理をお引き受けできないおもちゃもあります。ご了承下さい

 ・エアガン、ガスガン、電動ガン等
 ・浮き輪、浮き袋、子ども用プールなど生命にかかわるおもちゃ
 ・AC100Vにコンセントに繋げて遊ぶおもちゃ
 ・骨董的・工芸的な価値のあるもの
 ・法的に規制のあるもの
 ・防犯ブザーの修理
 ・最近のゲーム機
 ・リチウムイオン電池使用のおもちゃ など

以下、個人的感想です。

作業をしばらく拝見していると、シニアのおっちゃん達が、目を細〜くしながら虫メガネを使って非常に小さなパーツを扱っておられます。一生懸命修理されています。
「ものを治すのが好き」「細かい作業が好き」「修理して渡した際の子どもたちの笑顔が嬉しい」「頭を使うのが好き」なみなさんが集まって、分からないことは仲間内で協力して足りない知識や技術を補い合われていました。

電源部分がアヤシイ
電源部分がアヤシイ

小さなパーツの中のさらに小さな部品を目を凝らしながらいじる
小さなパーツの中のさらに小さな部品を目を凝らしながらいじる

背景の異なるシニアの男性陣が集まって協力しながら何かする場、活躍できる場というのがなかなか少ない中でこの「おもちゃ病院」という取り組みは非常に良い仕組みだと感じました。
何かを自慢するわけではなく、自己を磨きながら、楽しみながら、頭を使いながら、人の役にも立ち、話ができる仲間もいる。生きがいにつながっています。

この日のメンバーのみなさん。女性もおられます
この日のメンバーのみなさん。女性もおられます

そして、橋本市は子育て支援の一環でこども食堂の開設や運営を支援して力を入れていますが、こども食堂が必要な家庭はおもちゃを買ってもらう機会が充実しているとは思えないので、こども食堂の関係者と連携して、行政支援の下で不用なおもちゃを集め・修理し、必要な子どもたちに貸し出しして、循環を生み出し、おもちゃと触れる機会を増やすのはどうだろう・・・。

このおもちゃ病院という仕組みが子育て支援の中で有用な枠組みであるともっと公的に認知され、支援が拡充され、子どもたちの知的好奇心の発達に役立つ機会を増やせば、さらに子育て支援の充実した橋本市になるのではないかと感じました。

修理されたおもちゃは次の世代の手へと渡り、橋本市の掲げるSDGs、サステナブルな社会構築にも該当すると思います。

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「はしもとおもちゃ病院」

開催場所:橋本市東家1-6-27 教育文化会館3F
診察日:毎月第2土、第4日曜日9:00~12:00
次回 7月8日(土)
   7月23日(日)
   8月12日(土)
   8月23日(日) 

お問合せは以下の公式サイトから。
公式サイト

地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。

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