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【橋本市(高野山エリア)】貴重な貴重な削り節屋さん。カツオブシ削りたてを買うという体験

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

橋本駅近くの、お店がまだやっているのかやっていないのか、非常に気になっていたので覗いてきました。

削り節屋「一番」土橋商店さん。

鰹節と削り節の違い
削り節(けずりぶし)とは、かつお節やイワシ、サバ、マグロなどの干した魚を薄く削ったものです。
かつお節は、カツオを加熱してから燻製にして乾燥させたものであり、削り節の原料です。「かつお節」を削ることにより「かつお削り節」になります。
<原料>      <削った後>
かつお節   →  かつお削り節
まぐろ節   →  まぐろ削り節
いわし節   →  いわし削り節
いわし煮干し →  いわし削り節
さば節    →  さば削り節
カネジョウHPより引用

車で前を通るだけだと、営業しているのかどうか非常に分かり辛いお店ですが、まだやっていました。
ただ、店主は現在78歳というお年のため、「あと何年できるか・・・」とのこと。

スーパーで市販の削り節が気軽に買える今だからこそ、非常に貴重な削り節専門店。残ってくれているだけでも有り難いお店。

大阪中央市場から節を仕入れて、お店で毎日削っています。

これが節。毎日お店で削ります
これが節。毎日お店で削ります

毎日削るから、削り節の鮮度は抜群!

削り機
削り機

削り機内部
削り機内部

自分で改造して30年くらい使い続けている機械で、歯の出す長さの微調整が難しいらしい。

ここから取り出して量り売りします
ここから取り出して量り売りします

保管箱を開けると、フワフワの削り節から美味しい香りが溢れてきます。

販売している種類

〇花かつお 

上品な味。出汁もとれますが、そのままかけても美味しい

花かつお(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)
花かつお(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)

〇だし用

濃い旨みが出る。味噌汁用

出し用(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)
出し用(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)

〇目近(メジカ)

宗田鰹のこと。
かつお節に比べ血合いが多いので、味、香りともに濃厚な出汁がでます。 麺類、煮物、みそ汁、おでんなどの比較的濃い味を求める料理に適しています。
サバ節とメジカをブレンドして、そうめんつゆやそばつゆに使うと美味しい。

目近削り節(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)
目近削り節(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)

〇鯖

さば節はゴマ鯖と呼ばれている脂肪分の少ない鯖から製造されます。さば節の香りはあっさりしていますが、 甘みがありコクのある濃厚なだしがでます。宗田節同様、麺類、 煮物、みそ汁、おでんなどの比較的濃い味を求める料理に適しています。

さば削り節(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)
さば削り節(ディスプレイ用のサンプルなので本物と色は異なります)

店主オススメの食べ方

①器にご飯を半量盛る、その上に削り節を敷く、醤油を垂らす、さらに上にご飯を盛る。こうすると全体に味が馴染んでお弁当に良く合う。

②冬は白菜の糠漬けに削り節かけて食べて見て欲しい

③お湯と削り節だけの吸い物も美味しい

削り節保管方法

こちらのお店では昔ながらの紙袋に削り節を入れてくれます。その袋ごと冷蔵庫内で保管がベスト。

酸化を避けるため、買えるなら削りたてを少量ずつ買うのがオススメ。

接客がすごい

実際に初めてきたお客さんに、店主は削り節の用途とお店に通えるかを確認して、「(ちょっと悩みながら)とりあえず100g欲しい」と言ってきたお客さんに、「うちの前をよく通るなら50gで買った方が絶対良いよ」と返してました。

お客さんとコミュニケーションをとりながら、お客さんのライフスタイルに合わせて最高の状態で提供できるように自社商品を提案し、目の前のお金にはこだわらない姿。
昔ながらの筋の通った正直な商売人、こだわりの商売人の姿を見た気がします。かっこいいなぁ。

まずは削り節だけ乗せたものを頂く。これだけでも美味しい
まずは削り節だけ乗せたものを頂く。これだけでも美味しい

とりあえず買ってきた夜にねこまんま。

醤油を回しかけて、改めて頂く
醤油を回しかけて、改めて頂く

温かいご飯に、削り節と醤油かけただけの、ねこまんまが美味しい。
何にもしなくても、美味しい。

昔ながらのその日削りたての削り節を是非一度食べてみてください。

子どもがいるご家庭でしたら、ぜひ一緒にお店に行って、削り節の種類の違いを感じたり、香りを感じたり、計り売りの姿を見せる機会にしてあげて下さい(お店の仕事の邪魔にならない範囲で)。
そして、自宅に買って帰ったら、今見てきた現物をそのまま食べたり、出汁を引いたりする姿も見せてあげて下さい。
そういう体験が他では学べない食育体験になり、脳や味覚の発達に対しても良い経験になるのではないでしょうか。

本物を経験できる、非常に貴重なお店が、身近にまだ残ってくれていて、行かないともったいないです。

スーパーの商品は(言葉悪く言うと)一方的に押し付けられるだけですが、魚屋・肉屋・八百屋・茶屋・豆腐屋など、昔のお店での買い物は店主と話をして本物を見ながら消費者側が様々な学びを得られる貴重な機会だと思っています。
なので、今もまだ頑張って生き残っておられるお店も大切に・・・。

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かつおぶし屋「一番」土橋商店

住所:和歌山県橋本市古佐田2丁目4−14
電話:0736321414
営業時間:8時ごろ〜18時ごろ
定休日:日曜日
※駐車場はありません。橋本駅前駐車場をご利用下さい(徒歩3、4分)

地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。

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