【高野町(高野山エリア)】大正時代からの地域色あふれる漢方薬・伝統薬屋さん。珍しい陀羅尼助置いてます
私はふるーい昔ながらの薬や漢方薬が好きです。体調が悪い場合は自分に使うこともありますが、基本的には飲むのが好きというわけではなく、それらを「学ぶ」のが好きです。
というのも、以前製薬会社で抗がん剤を販売していた時の経験で、科学的な研究に基づいて生まれた抗がん剤が、効果はあるものの副作用もある程度強く、その副作用で苦しんでいる患者に対して、「なぜ効くかははっきり分からなけど特定の漢方薬を使うと副作用が軽減される」という臨床現場での使用知見があり、社内で共有されていました。
大学病院、大病院でも勉強熱心な先生、患者のことをきちんと考える先生ほど、このような情報も経験済みだったり、必要性を感じておられました。
(薬の標榜している効果に対して本来の使い方ではないので一般には情報発信されません。あくまで医療関係者にのみ情報提供)
その時初めて私自身も「漢方」について実力や可能性を知りました。
それ以来、漢方薬や、昔ながらの薬に対しては、「未だ分かっていないことがあり、西洋薬と違って効能に書いていないことでも効くときは効く」「西洋薬が効かない症状で活躍することがある」「昔で終わった薬ではなく、今も使える薬」と考え、治療に関することは資格がないのでお伝えできないものの、どうやればその価値を伝えられるか、とコツコツ体験プログラム作りを準備しています。
と、前置きが長くなってしまいましたが、今日はそんな昔ながらの薬、さらには高野山の弘法大師にご縁のある薬を扱っている、大正時代からの漢方薬・伝統薬屋「高野山の薬屋 小滝弘法堂」さんにお邪魔しました。
店頭でも、「昔ながらの薬屋さん」感が漂っていますが、店内に入ると更にタイムスリップしたかのような昔ながらの商品がたくさん並んでいます。
最近はやりのドラッグストアとは全く異なる、「薬屋」さんです。
たくさん昔ながらの商品が置いてあるのですが、その中でも、ここ高野山にお店を構え、弘法大師や宗教に関するストーリーのあるお薬が特徴的です。
【陀羅尼助(ダラニスケ)】
オウバク(黄蘗、キハダ)を主成分とする。
陀羅尼助の由来は、強い苦みがあるため、僧侶が陀羅尼を唱えるときにこれを口に含み眠気を防いだことからと伝えられる。陀羅尼助は和薬の元祖ともいわれ、伝承によれば、1300年前(7世紀末)に疫病が大流行した際に、役行者(役の小角)がこの薬を作り、多くの人を助けたとされる。古くは吉野山(吉野町)および洞川(どろがわ、天川村)に製造所があり、吉野山や大峯山への登山客、行者参りの人々の土産物となっていた。
黒い板状の製品が本来の陀羅尼助だが、取り扱いや服用のし易さから、丸薬にしたもの(陀羅尼助丸)が次第に製造の主流となり、各地での入手も容易である。現在では丸薬のものが単に陀羅尼助と称されていることも多い。 (Wikipediaより引用)
陀羅尼助は各地で様々なメーカーが製造されており、地域性があって面白いです。
オウバクを主成分としていますがメーカーによってオウバク以外の成分が少しずつ異なり、そのため効能効果の文字は似ていても、使用者の体質により効きやすい会社のものとそうでないものがあります。私もお腹が下った際には陀羅尼助を飲んでいますが、5社飲んでみて自分に合うのを見つけました。これは自分で試すしかありません。
こちらで販売されているのは・・・
▼高野山の大師陀羅尼錠
効能・効果:
下痢、消化不良による下痢、食あたり、水あたり、はき下し、くだり腹、軟便
高野山の陀羅尼助の特徴は、古くから言い伝えられた製法である、黄柏と龍胆と青木葉の配合が特徴になっています。
※これは錠剤のカタチ
▼奈良県天川村の陀羅尼助 板だらすけ
陀羅尼助の主成分のオウバクは、苦味健胃薬ならびに整腸薬として用いる。漢方では消炎性収れん薬として、胃腸炎、腹痛、下痢などの症状に用いられます。
ガジュツは、芳香性健胃薬として家庭薬などの原料です。
ゲンノショウコは、昔から利用される民間薬。古くから止しゃ薬として用いられてきました。
効能・効果:
下痢・消化不良による下痢・食あたり・吐き下し・水あたり・くだり腹・軟便
※これは板状のカタチで、最も古来からのカタチを継承している。
▼奈良県天川村の陀羅尼助丸
効能・効果:
食欲不振、胃部・腹部膨満感、消化不良、胃弱、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、胃もたれ、胸つかえ、はきけ、嘔吐、整腸、軟便、便秘
※これは丸薬のカタチ。
▼陀羅尼助の成分が入った目薬
【その他の昔ながらの薬】
▼タイシー胃腸薬
弘法大師が見つけられたと伝えられる延命草(ヒキオコシ)を主薬とした胃腸薬です。タイシ―胃腸薬という名は、弘法大師のお名前にちなんで、命名されたものです。
延命草(エンメイソウ)は別名ヒキオコシともいわれています。
古くからあって新しい!ヒキオコシとは、その名前の由来は、その昔、弘法大師さまが山道を歩いていると、一人の行者が倒れていました。それを見た弘法大師さまが近くにある草をしぼり、その汁を、倒れている行者に与えたところ、その行者はたちどころに元気をとりもどして再び旅を続けることができたそうです。それから病人を引き起すという意味でヒキオコシと呼ばれるようになったといわれています。
苦味成分として含まれている、エンメインやオリドニンには、抗腫瘍作用、抗菌作用などが報告されており、日本では苦味健胃薬として配合され、消化不良、食欲不振、腹痛などの治療に用いられています。
効能・効果:
食欲不振(食欲減退)・胃部・腹部膨満感・消化不良・胃弱・食べ過ぎ・飲み過ぎ・胸やけ・胃もたれ・胸つかえ・吐き気(むかつき・胃のむかつき・二日酔・悪酔のむかつき・嘔気・悪心)・嘔吐
※我が家の庭にもヒキオコシを植えています。
かじると非常に苦く、良薬口に苦しを現したかのような薬草でした。
▼弘法灸、もぐさ、ほか
【和歌山で生まれた薬】
わかのうら薬として知られる和歌山のお薬です。
厳選された和漢生薬末15種類を配合した、体に優しい確かな効き目のお腹のお薬。
▼わかのうら薬 和歌保命丸
効能・効果:
下痢、消化不良による下痢、食あたり、はき下し、水あたり、くだり腹、軟便
※高野山とは異なりますが、お寺で生まれたお薬です(今はきちんとした会社で作られています)。
店内で治療の相談などは乗って頂けます。
今回紹介したお薬は家庭の常備薬系であり、体調が悪くなってから薬を用意していると間に合わないので、高野山に来られた際には一度店内を覗いてみてください。
本当にあなたに合う薬が見つかるかもしれません。
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「高野山の薬屋 小滝弘法堂」
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山728
営業時間:8:00~20:00
定休日:不定休・年中無休
電話:0736562455