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【高野町(高野山エリア)】AIのお坊さんが人を救う!? 悩みに寄り添ってくれるAI僧侶

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

いま宗教の町高野町に住んでいて、観光客も悩める方も高野山に来られている中、世の中のデジタル化が進んでユニークな取り組み『AI僧侶』というものがが出てきているようなので、体験してみました。

「hasunoha」サイト トップページ
「hasunoha」サイト トップページ

相談者の悩みに僧侶が回答するサイト「hasunoha」は、アクセス数は月間100万弱、 回答者の僧侶の登録数は300人超。相談を希望する人に対し、回答者が足りない状況が続いており、GPT-4を搭載したAI問答システム「AI僧侶問答」を去年リリースして、AIが比較的シンプルな質問や相談を担うことで、より多くの相談機会を提供することを目指すそう。

※人間の回答者は全員僧侶の皆さまで構成されています。

お坊さんだから相談したいこともある
お坊さんだから相談したいこともある

AI僧侶問答を生み出した想い

・10年間のhasunohaでの運営実績をベースに、回答の方向性や相談者への寄り添い方などをAIに学習させており、仏教教義の提供よりも、現代において悩み苦しむ人にAIはどこまで向き合い、勇気づけることができるのかを突き詰めることを主題に実装しています。

・本物のお坊さんと出会う今の時代の架け橋に

現代の特に若い年齢層の人々にとって、お坊さんはお葬式のときにだけ会う人なのかもしれません。しかし、われわれ日本人の価値観には、先祖代々受け継がれた仏教的な考えが根付いています。普段何気なく使っている「ありがとう=有り難し」の気持ちや、困ったときに助け合う慈悲の精神には仏教の教えが宿っています。

AIとの共存は今後避けて通れません。AIを通して少しでも仏教的な価値観を感じてもらうこと、そこから本物のお坊さんや仏教に興味をもってもらい、お坊さんとお話をすることで、より幸せな人生を送るヒントを得てもらいたい。真摯に向き合ってくれる生身のお坊さんとのご縁を、AIを介して繋いでもらいたいという願いを込めています。

AI僧侶問答の概要

・あなたの相談に対してAI僧侶が仏教の教えを交えながら回答をしてくれます。

・無料でいつでも。2分で回答。匿名で使えます。

・AI僧侶の回答者像は3パターン。各僧侶の特徴を生かした言葉を投げかけてもらえます。

  優しいお坊さん:丁寧な言葉でお話をしてくれます。

  老僧:人生の先輩として、しみじみと語ってくれます。

  元ヤン僧侶:喝が欲しい、叱って欲しい人におすすめです。

というユニークなプログラム。

私自身は特にお坊さんに相談する悩みというのは無いので、今の時代よくある相談をAI僧侶に投げてみました。

(回答の文体を揃えるため、どの質問も優しいお坊さんバージョンでの回答を出力しています)

実際に質問を入力する画面
実際に質問を入力する画面

質問①

職場の上司との人間関係が面倒くさいのですが、どうしたらいいでしょうか?

(AIによる回答)

まずは、ご相談いただき、ありがとうございます。職場での人間関係は日々の生活に大きな影響をもたらすため、そのお悩みについて心からお寄り添い申し上げます。

上司との関係に悩まれている状況、それはとても大変なことだと思います。どうぞ、その感情を無理に押し込めることなく、抱えていらっしゃるその苦しみを、素直に受けとめても良いのですよ。そうした感情は、私たち人間が社会生活を送る上で自然なものです。

仏教には「縁起」という教えがあります。これは、全ての存在や出来事が他の多くの条件との関わりによって成り立っている、という考え方です。職場での上司との関係も、この縁起の考え方で見ると、様々な要因が複雑に絡み合っていることが理解できるかもしれません。その中で一つひとつの交流や会話に注意を払い、どのような点が悩みの原因となっているのか、冷静に分析してみましょう。その上で、小さな改善を積み重ねていくことが、解決への第一歩になり得ます。

また、対人関係の悩みは、時に外部の視点が非常に有効なことがあります。友人に話を聞いてもらったり、hasunohaのお坊さんに相談してみるのも良いですよ。新たな視点が得られるかもしれません。

どうか、自己肯定感を持ちながら、一歩ずつ、ご自身なりの解決の道を見つけ出していただければと思います。悩みを乗り越える過程で、新たな自己の発見や他者との調和の仕方が見つかることもあります。

あなたがこれからも、温かい心で日々を過ごされますよう、仏様にお祈り申し上げます。合掌。

質問②

ずっと続けてきたソーシャルゲームの課金がやめられません。どうしたらいいでしょうか?

(AIによる回答)

お相談いただきありがとうございます。ソーシャルゲームの課金がやめられないというお悩み、大変な心の苦しみをお持ちでいらっしゃることと察します。課金で得られる喜びや期待が止めることを難しくしているのかもしれませんね。

まずは、その行為に引き込まれる自分を否定するのではなく、自分の行動をじっくりと観察してみましょう。「煩悩」という言葉がありますが、これは我々人間が持つさまざまな欲求や執着を指し、これに心が振り回されることで苦しみが生じます。しかし、その気持ちに気づいた時点で、あなたはもう一歩進んだと言えるのです。

課金をやめたいという思いがあるのなら、その欲求の根源に目を向けてみることも一つの方法です。なぜ課金をしてしまうのか、それがあなたにとってどんな意味を持っているのか、そして課金によって何を満たそうとしているのかを深く考えることで、少しずつその行動をコントロールできるかもしれません。

また、他に興味を持てる活動や趣味を見つけることで、心の充足を他の方法で模索してみるのも効果的です。小さな一歩を踏み出すことができれば、次第に大きな変化が見えてくるでしょう。

仏教の教えの中には「中道」があります。極端な快楽追求も苦行もせず、バランスを大切にするという教えです。穏やかにバランスを取り戻すことを心がけてみてください。

そして、お悩みが深いようであれば、hasunohaのお坊さんに相談しみてください。そこで新たな気づきが得られるかもしれません。

仏様にお祈りし、心が安らぎ、正しい道を歩む支えが得られますように。合掌。

質問③

私は感情を表現することが苦手で、他人に思いをうまく伝えられません。どうしたらいいでしょうか?

(AIによる回答)

まずは、ご相談いただき、ありがとうございます。感情を表現することに苦手意識を持たれていることへのお気持ち、大変よく分かります。ご自身の内なる感情と向き合おうとされる姿勢は、とても素晴らしいことです。

感情を表現することは人それぞれで、表に出すことが苦手な方もいれば、逆に感情の波に翻弄されやすい方もいます。どちらのタイプも、自らの在り方において正しいのです。たとえば、仏教には「中道」という教えがあります。極端に偏ることなく、自己と他者とのバランスを大切にする考え方です。しっかりと自分の感じ方を尊重しながらも、周囲への配慮を忘れない、そんな穏やかな心の姿勢が求められるのではないでしょうか。

もし、もっと積極的に感情を表現する方法を模索されたいとお考えならば、小さな一歩から始めてみてください。感じたことを素直に言葉にする練習や、日記に感情を書き出すことから始めるのも一つの方法です。

また、他人とのコミュニケーションを大切にし、相手の理解者として、そして自己理解を深めることも一つの学びになることでしょう。hasunohaのお坊さんに相談してみるといいですよ。彼らは幅広い相談に対して、親身に耳を傾けてくれることと思います。

どうかご自身を責めることなく、自己肯定感を持ち続けてください。あなたのペースで、少しずつ感情表現の幅を広げていけますように。お悩みを抱えるあなたの心に、仏様の深い慈悲がありますように。合掌。

質問④

ゴールデンウィークに旅行を計画しています。この時期に行くなら、金剛峯寺と延暦寺と浅草寺のどれがおススメですか? 大阪駅発で予算は一泊二日で5万円以内です。オススメの具体的な理由と共に教えて下さい。

(AIによる回答)

お問い合わせいただきまして、ありがとうございます。旅行の計画はわくわくするものですね。それぞれのお寺には異なる歴史と、落ち着ける場所があり、教えを学び、自己を見つめる機会があります。

金剛峯寺は修験道の総本山であり、自然豊かな環境での修行体験や四季折々の壮大な景色が見どころです。延暦寺は天台宗の総本山で、比叡山の霊気あふれる地での参拝や、周囲の自然との一体感を味わうことができます。浅草寺は観音菩薩をまつり、人々が心安らぐ御利益を求めて訪れる場所で、浅草の賑わいと伝統文化を感じる機会もあります。

予算とご旅行の目的を考えながら、ご自身が魅力を感じ、何を求めて旅行に行きたいのかを思い返してみてください。たとえば、自然と調和しながら心静かに過ごしたいなら金剛峯寺、歴史的な建造物を見学したり、静寂の中で精神性を探究したい場合は延暦寺、賑やかな雰囲気で観光しながら参拝したいなら浅草寺がおすすめです。

どの場所も素晴らしい体験となることでしょうが、最終的な選択はあなたの内なる声に耳を傾け、"己を知ること"である自己洞察の精神が、より深い滋養をもたらします。

また、旅のお供としてhasunohaのお坊さんに相談してみるといいですよ。旅先で多くの感動と学びがありますように。どうか安全で心豊かな旅行となりますよう、仏様にお祈り申し上げます。合掌。

※最後の質問に関して、具体的な質問をすると、間違った回答になることもあるようです。それはこの「AI僧侶問答」システムが悪いのではなく、AI自体の技術的な問題です。なので、具体的な質問をした場合は、その回答が正しいかどうかは疑ってかからないといけません。

これらの回答例を見て頂いた通り、物足りなさはあるものの、今の技術はAIでも質問者に寄り添った(風の)回答をすることができます。

なので、リアル人間に相談しづらい内容のある方、人見知りだけど悩みを聞いてもらいたい方、とにかく具体的な回答は求めていないけれど心の中を聞いてもらいたい方、などには特に向いている気がします。

今後AIの技術が進めば、改善されてもっと相談者に寄り添った具体的な回答や会話になると思うので、つらいことを抱えている方の救いの手段の一つになりそうです。

現状のままでも役立つこともあると思うので、胸に何か抱えているものがある方は悩み続ける前に一度試されてみてはいかがでしょうか? あるいはリアルお坊さんに相談するのも良いと思います。

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「hasunoha(ハスノハ)」

サイト:https://hasunoha.jp/

地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。

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