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令和の手帳はどう変わっていくのか。文房具王・石津大さんが仕掛ける「マネキャリ手帳」を例に考えてみる

舘神龍彦デジアナリスト・手帳評論家・歌手

ヨガの先生が作ったCitta手帳が大ブレイク中

 以前も紹介したほこら系手帳。
 参考:昭和とは全然違うよ!ビジネスモデルや記入ページから見た令和の手帳の現在とは?

 その一つであり現在大ブレイク中の手帳が、Citta手帳。ヨガの先生青木千草さんが作ったものです。公式ガイドブックも発売されています。

この記事でも、現在を代表する手帳として紹介しました。

 こんにちは。デジアナリスト・手帳評論家・歌手のたてがみたつひこです。

 今回は、手帳の今後について。
 以前も手帳が昭和なのかどうかについて記事を書きました。
「手帳を昭和だと言ってる人のアタマが昭和なのだ!」では、今手帳とは?令和の手帳の姿を考える その1
「手帳を昭和だと言ってる人のアタマが昭和なのだ!」では、今手帳とは?令和の手帳の姿を考える その2

 今回は、今後手帳と呼ばれるジャンルの製品はどう変わって行くのかを、いくつかの事例から考えてみたいと思います。

大成功のCitta手帳

 個人の手帳マニアが、市販のものに飽き足らずに自ら手帳を作り、自らのビジネスやそのコミュニティを中心に販売する。それを私はほこら系手帳と名付けました。
 そういう例の手帳として、今やや大きめな地方都市の文具店店頭に並ぶほどの成功を収めている。それが、Citta手帳です。

 また、上記リンクで紹介したものが4月始まりであることにも注目です。

 手帳の業界では、人気のある手帳、定番的な手帳でなければ4月始まりのものは発売されません。

 逆に言えば、ほとんどの手帳は4月始まりが存在しないのです。

 そんな中で4月始まりがあるCitta手帳は、それだけで大ヒットしている証と言えるわけです。

Citta手帳仕掛け人の次なる挑戦とは

 そのCitta手帳の躍進に一役買ったのが、文房具王こと石津大さんです。

 Citta手帳の発売当初にすでに関西を中心に文房具をテーマとしてテレビなどのメディアに出まくっていた石津さん。バイヤーとしての経験も長い彼の作戦はたとえばお店のチョイス。最初の段階では、Citta手帳の扱いのお店を限定。その結果注文が集中したそうです。まさに策士ですね。

 それ以外にもいろいろ手を打ったそうですが、長くなるのでまたの機会に。

 石津さんは次なる挑戦として、現在もいろいろなプロジェクトを手がけているそうです。その中でとくに面白いと私が思ったのが、「マネキャリ手帳」です。

マネキャリ手帳。お金のリテラシーが身につく手帳。色バリエーションは3色
マネキャリ手帳。お金のリテラシーが身につく手帳。色バリエーションは3色

 これは、使っていくうちに、お金のリテラシーが身につく手帳だそうです。作ったのは、一般社団法人マネーキャリア協会 代表理事 笠井裕予氏。
 すでにクラウドファンディングサイトでは、2250%でSuccessしています。

 別の角度から見ると、これが従来のいわゆるビジネスパーソン向けの手帳とは異なることに気がつきます。ノートに時間軸を印刷して予定管理用に使う。それが従来の手帳(の中心)だとすれば、このマネキャリ手帳は、ひと味もふた味も違います。

 まず、予定記入欄。1ヶ月、1週間などの記入フォーマットはあります。ですが、日付は印刷されていません。つまりいつからでも使い始められるのです。
 また、予定記入欄は基本3ヶ月分(マンスリーのみ4ヶ月)。従来の手帳がほぼ必ず1年分(またはそれ以上)の予定記入欄があるのとはちょっと違います。
 また、制作者によるお金リテラシーを向上する講座もあります。上記クラウドファンディングサイトの応援購入のプランには、「マネキャリ手帳動画セミナー」を含む物もあります。

1ヶ月のページ。日付は記入式。いつからでも使い始められる
1ヶ月のページ。日付は記入式。いつからでも使い始められる

 さらにお金のリテラシーを身につけるためのワークブック的ページも何種類も含まれています。

手帳の冒頭文。「お金」という目的が明示されている。
手帳の冒頭文。「お金」という目的が明示されている。

人生で成し遂げたい目的とロードマップのページ。ゴールを最初に書くところが特徴的。
人生で成し遂げたい目的とロードマップのページ。ゴールを最初に書くところが特徴的。

それまでの手帳の主流も変わりつつある

 そもそも現時点での予定管理ツールとしての手帳も、曲がり角に着ていると言えます。デジタルシフトによって予定管理は共有サーバー上のデジタルツールに移行しつつあります。

 そんな現時点において、従来の大手メーカー製の手帳も変化しつつあります。

 そして、このマネキャリ手帳のように、特定目的に絞り、ワークブック的要素を入れた手帳がメジャーになってもおかしくないわけです。
 ビジネス的な側面からみても、いろいろな強みがあります。まず日付記入式である事で売ることができる期間に縛りがなくなります。また、専用の活用講座の存在は、ターゲットに対して新しい商品として認識されるはずです。

 ビジネスパーソン向けの手帳でも一部使い方活用の講座があるものがありました。そして「マネキャリ手帳」は、特定目的を達成するための考え方を理解するために、専用講座がある点が新しいと言えます。

 おそらく今後の手帳は、ビジネスパーソン向けの予定管理ツールという従来のフィールドから大きくかわっていくことが予想されます。その動きは少しずつですが始まっていると言えます。

 このマネキャリ手帳、3月21日に銀座伊東屋でイベントを行うそうです。

 興味のある方は是非とも行ってみてください。

デジアナリスト・手帳評論家・歌手

デジアナリスト・手帳評論家・歌手。著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)は日経新聞「あとがきのあと」登場ほか、大学受験の問題に2回出題。その他『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)等著書多数。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。講演等も行う。手帳ユーザーを集めた「手帳オフ」を2007年から開催する等トレンドセッター的存在。自ら作詞作曲して手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」をYouTubeで公開中。新曲「一般男性」も発表し、新知財プロジェクトも発表。人呼んで言葉のイノベーター。

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