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【ビジネスの考え方】若年層女性をターゲットにしたフリクション新シリーズ「Waai」はどんな媒体展開?

舘神龍彦デジアナリスト・手帳評論家・歌手

 「かわいい!」
 フリクションの新シリーズ「Waai」を知り合いの女子大生に見せた時の第一声がこれでした。若年層の女子をターゲットとしたパイロットの戦略は、商品の見た目の段階でも成功した。私がそれを目の当たりにした瞬間でした。

 フリクションの新シリーズ「Waai」先日の発表会に出席した私が面白いと思ったのは、メディアでの展開です。ターゲットたる若年層に製品をきちんと届けるために、デザインや広告展開、ネット戦略などがどうなっているのかが興味深かったのです。

 今回はこれを考えてみたいと思います。

フリクション新シリーズ「Waai」のコピー。若年層向けになっている。
フリクション新シリーズ「Waai」のコピー。若年層向けになっている。

丸みのあるオフホワイトのボディでアプローチ

 まず製品自体のデザインです。
 オフホワイトの丸みのあるボディ。インク色は、ノック用ノクリップ付近の色リングで表現。これは大胆な方針変更と言うべきです。

 それまでのフリクションのデザインは、主に、インク色=ボディ色でした。
 「Waai」ではこれを大胆に変更。メインターゲットたる若年層の女性に響くようなテイストのオフホワイトのボディにしたわけです。それが冒頭の第一声を生み出しました。デザイン面での戦略はまずは奏功した。筆者はそれを実感しました。

 さてでは、パイロットは若年層の女子に対してどんなメディアで、この新フリクション「Waai」を企画・展開しようとしているのでしょうか。

オフホワイトのボディのデザインも一新。
オフホワイトのボディのデザインも一新。

YouTuberとのコラボ

 まず、YouTuberの各チャンネルでの発信があります。

 今回のターゲットは、大学生女子や、社会人若年女性だそうです。これらのターゲットとの親和性を考えると、SNSでの展開は、順当といえます。

 とくに、パイロットの公式のチャンネルではなく、各YouTuberがそれぞれ発信をする(11月から開始予定)とのことです。この各YouTuberというところがポイントです。 ちなみに英語、韓国語、中国語をそれぞれ3組が発信するそうです。「LanCul英会話」(英語)、「セロウンブログ」(韓国語)、「ろこゆん」(中国語)の3組です。

 これは、想像ですが、各言語を習得したい層は、同じ大学生の中でも微妙に異なっていそうです。そういう意味でも、これはターゲットの各種の人々に効率的にアプローチする方法ですね。

 また、フリクションの実戦的な出番の場として「間違いだらけドリル」が用意されます。これは英語、韓国語、中国語の間違えやすいフレーズが掲載されているドリルです。

 書いても簡単に消せる=間違えてもやり直せるというフリクションの製品特性ともマッチしたツールを準備することで、フリクション自体の特性を認知浸透させることにつなげているとも言えます。

語学監修インフルエンサーのひとり「ろこゆん」。
語学監修インフルエンサーのひとり「ろこゆん」。

「間違いだらけドリル」
「間違いだらけドリル」

屋外広告も大学近辺の駅に展開

 もう一つは屋外広告です。
 これは、メインのターゲットたる大学生との接点を考えてとのことらしいです。

 場所としては、関東だと新宿駅、また京王線沿線の駅、さらに関西の、大学が乗り入れる路線の駅に出稿するそうです。やはり、メインターゲットの大学生が目につきやすいようにと言うことらしいです。

広告全体のテイストはコスメ的な色合い

 広告にもターゲット層に刺さる工夫があります。ずばり、コスメ的な色味の広告になっているのです。そう言われてみれば、たしかに赤と青のグラデーションは文房具の広告と言うよりは、コスメティクスのそれのようなテイストですね。

まとめ:ターゲット層にフォーカスした本体デザインとメディア展開

 以上のことをまとめるとこのようになるでしょう。つまり、まずターゲットは若年層の女性。書く機会が減っているという仮説があったこと。
そしてボディ色なども、その層に好まれるように、本体デザイン。
 広告のテイストも、ターゲット=若年層女性に親和性の高いコスメティックのようなクリエイティブにする。

 また、SNS展開として語学インフルエンサーを3言語に渡って起用。若年層女性がよく見ているメディアからアプローチ。同時に、学習ドリルも用意して、フリクションという商品を実際に使うシーンの1つを体験してもらう。

 さらに、屋外広告を展開。リアルな場面での接点も設ける。

 フリクション新シリーズWaaiは、このような展開で、若年層女性にアプローチしようとしているわけです。

※この記事中の画像、およびサンプルは、株式会社パイロットコーポレーションにご提供いただいています。

デジアナリスト・手帳評論家・歌手

デジアナリスト・手帳評論家・歌手。著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)は日経新聞「あとがきのあと」登場ほか、大学受験の問題に2回出題。その他『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)等著書多数。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。講演等も行う。手帳ユーザーを集めた「手帳オフ」を2007年から開催する等トレンドセッター的存在。自ら作詞作曲して手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」をYouTubeで公開中。新曲「一般男性」も発表し、新知財プロジェクトも発表。人呼んで言葉のイノベーター。

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