【埼玉県鳩山町】あなたの家の庭にも古代の遺跡が眠っている?悠久の時に思いを馳せて鳩山窯跡群を学ぶ
「もしかしたら・・・鳩山町という地が歴史上最も存在感を発揮していたのは奈良時代から平安時代かもしれません」鳩山町の文化財保護・町史を担当されている飯塚さんが控えめに笑って教えてくださいました。
「鳩山町から、とても古くて貴重な遺跡が出たらしい。でもそれがなんなのかも、その価値もよく知らない。発掘当時は埼玉新聞にも取り上げられていたけれど、その後は話題にもなってないし、大したことないんでしょ」なんて思っていませんか。
しかしそれは大間違い!「本当かなぁ?」と思ったあなたはぜひ、多世代活動交流センター・出土品展示室へ。はーとんスクエア内多世代活動交流センターの2階にあります(松栄小学校のあった場所です)。
靴を脱いで右手の下駄箱へ。スリッパに履き替え、写真左手の階段を上がります。小学校にお邪魔するような気分です。
2階に上がるとすぐ右手に事務室が見えるので、お声がけして出土品展示室を開けてもらいましょう。時間が合えば、案内をお願いすることもできます。
いざ出土品展示室へ!鳩山窯跡群から発掘された須恵器や瓦などを中心に、時代別に展示されています。
一番出土品が多いのは奈良時代から平安時代にかけて律令制度が発達していた頃のもの。鳩山町は、当時主流だった窖窯〔あながま〕の技法で焼き物をするのに適したなだらかな丘陵地帯なので、最盛期は武蔵国中の焼き物(須恵器・瓦)制作を担うほどだったとか。
このように当時の郡名・郷名を記すことで、どこの郡・郷から依頼を受けたか分かるように管理していたそうです。鳩山町から出土されるものは不良品だったのか出荷に至らなかったものが中心というのも興味深いです。
鳩山町以外で発掘された瓦も、この白い粒(海綿骨針)によって鳩山町で作られて出荷されていたものだと言うことがわかるそう。
「鳩山町は町中に古代の窯跡が点在しています。住民のかたの庭の畑に、貴重な古代の焼き物や瓦などが普通に転がっていた、なんてこともよくあります」と飯塚さん。町内の主な施設の工事に伴い発掘調査されたものでは、鳩山中学校第2グラウンド(雷〔いかづち〕遺跡)、鳩山カントリークラブ(鳩山窯跡群)、農村公園(石田遺跡)など。雷遺跡が発見されたことにより、鳩山中学校の第二体育館の位置が当初の計画の位置から変更されたとか。
最近では、増加していた太陽光パネルの工事で遺跡が発見されると言うことが多いそうです。
このようなよく見かける鳩山の風景も、写真左手のようななだらかな斜面に窯跡が発見されます。飯塚さんにこのお話を伺ってから、町中に見られる丘の全てが私には窯跡に見えるようになってしまいました。
いつも見るこんなのどかな風景にも遺跡が眠っています。
町内には最盛期には500〜1,000もの窯があったと言われ、今もまだ確認されていない窯跡がたくさん眠っています。もしかしたら自宅の庭や畑からも古代の遺跡が出るかもしれないと思うとワクワクしますね!古代の瓦や焼き物の職人たちがどのような気持ちで、どのような暮らしをして、どのような働き方をしていたのか・・・と、当時の人々に思いを馳せれば、いつもの散歩も特別な気持ちで楽しめそうです。
歴史は苦手だと言う方も、出土品展示室で職員の方のお話を聞くとわかりやすく、身近な地域の話なので興味深く聞くことができます。6月中頃には川越からツアーのお客様も訪れるそうです。小学校の社会科見学で行くような施設だとは決めつけず、ぜひ足を運んでみてくださいね。
詳しく学びたい方は鳩山窯跡群公式ホームページを参照ください。
【イベントのご案内】
鳩山町では現在、焼き物体験の参加者を募集中。鳩山町の粘土を使って形成した作品を、鳩山町で発掘された古代の窯跡を参考に復元した窯で焼き上げます。古代の方法に習って薪で焼き上げると言う、他ではなかなかできない大変貴重な体験!飯塚さんはじめ職員の方々が寝ずの番で薪の火を27時間見守ります。未経験のかたも小学生以上でしたらどなたでも参加できるので、ご家族で夏休みの思い出作りにもぴったり。
※詳細は、広報はとやま6月号19ページをご覧いただくか、鳩山町役場公式ホームページをご確認ください。
【お問い合わせ先】
はーとんスクエア内多世代活動交流センター2階・出土品展示室
住所:鳩山町松ヶ丘4-1-1
電話番号:049-296-3862(教育委員会文化財保護・町史担当)
開館時間:9:00〜17:00
休館日:土・日・祝日、年末年始
アクセス:東武東上線高坂駅から川越観光バス。鳩山高校前下車徒歩7分
駐車場:あり
※開館日でも展示室が施錠されている場合があります。事務室にお声がけし部屋を開けてもらってください
※所要時間は1時間ほど。お時間に余裕を持ってお越しください