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磁気カード時代「1日乗車券」で札幌市営地下鉄、全駅下車に挑戦

鉄道乗蔵鉄道ライター

このとき使用した1日乗車券(筆者撮影)
このとき使用した1日乗車券(筆者撮影)

 ICカード乗車券の普及により現在ではほとんど姿を消してしまった磁気カード乗車券。日本の鉄道では1985年に国鉄がオレンジカードを発売したが、当時は自動券売機に投入して乗車券を購入する金券方式のプリペイドカードで、カードをそのまま自動改札機に投入することはできなかった。

 自動改札機に直接投入が出来るストアードフェア方式の磁気カード乗車券が登場したのは1991年のこと。国鉄分割民営化によって誕生したJR東日本のイオカードがそれにあたう。イオカードの登場後、1990年代にはストアードフェア方式の磁気カード乗車券が全国の鉄道事業者に普及。自動改札機を通すとカード裏面に乗車駅と下車駅と残額が印字されるようになった。

 鉄道事業者の中には、このストアードフェア方式のカードのフォーマットを使い1日乗車券を発行していた事業者もおり、カード裏面に乗車区間の履歴の印字をためていくのが乗り鉄の楽しみにもなっていた。こうしたこともあり、筆者は磁気カード乗車券タイプの裏面印字を1日で満杯にしたいという欲求にかられ、2010年に横浜市営地下鉄で実際に実行したことは2023年2月26日付記事(磁気カード時代「1日乗車券」で横浜市営地下鉄、全駅下車に挑戦)で触れたとおりだ。筆者はその後、札幌市営地下鉄でも同様のチャレンジを行っている。

スタートは東西線宮の沢駅、午前9時

東西線8000形電車(筆者撮影)
東西線8000形電車(筆者撮影)

 筆者が、札幌市営地下鉄で1日乗車券の裏面印字満杯に挑戦したのは、横浜のチャレンジから3年後となる2013年12月30日のこと。札幌市営地下鉄の全3路線を東西線宮の沢―新さっぽろ間20.1km、東豊線福住―栄町間13.6km、南北線真駒内―麻生間14.3kmの順で全ての駅に下車し、カードの裏面印字を埋めていく。札幌市営地下鉄は、通常の鉄道とは異なり、ゴムタイヤを用いた案内軌条式鉄道であることが大きな特徴だ。

 スタートは宮の沢駅、午前9時。まずは東西線の全駅に下車しながら終点の新さっぽろ駅を目指す。磁気カード乗車券の裏面印字欄は23行×2列の計46行だ。いったいすべてを埋めるまで何時間かかることになるのだろうか。

 宮の沢駅出発後、カードを投入する自動改札機については、新型旧型の区別なく投入を行っていたが、4駅目となる二十四軒駅では新型のバーレスタイプの自動改札機にカードを投入したほうが、印字が鮮明になるということが分かり、以降は全て、新型改札機へのカード投入を行うことにした。

 以後、各駅をひたすら降り続け、19駅目となる終点の新さっぽろ駅には11時40分に到着した。所要時間は2時間40分。通常の所要時間は35分であることから、およそ5倍の時間を要することとなった。

印字が鮮明だったバーレスタイプの自動改札機(筆者撮影)
印字が鮮明だったバーレスタイプの自動改札機(筆者撮影)

午後からは東豊線へ

東豊線7000形電車(筆者撮影)
東豊線7000形電車(筆者撮影)

 新さっぽろでは駅ビル内にあるお好み焼き店で昼食タイムを取った後、13時頃に新さっぽろ駅から東豊線の始発駅となる福住駅へと向かう。福住駅までの所要時間は約40分だ。

 札幌市営地下鉄は、全路線がゴムタイヤ方式の車両で運行されていることからその乗り心地は独特だ。粘着力が高いゴムタイヤを用いていることから通常の鉄道車両と比べても加速性が高く、滑るように札幌市内の地下トンネルを進んでいく。

 筆者は、福住駅に到着後は、すぐに折り返しの電車に乗車。13時46分から東豊線全14駅に下車しながら栄町駅へと向かう。途中の大通駅では東西線、さっぽろ駅では南北線とのダブリを生じてしまうことにはなるが、各路線の駅の並び順を大切に印字記録に残したかったことから、これらの2駅でも一旦下車をして印字収集を行った。

 そして、終点の栄町駅に到着したのは15時36分。所要時間は1時間50分。通常であれば25分で到着できることから、こちらもおよそ4倍の時間を要した。

最後は南北線

南北線5000形電車(筆者撮影)
南北線5000形電車(筆者撮影)

 栄町駅到着後は、またすぐに折り返しの電車に乗車し、南北線始発の真駒内駅へと向かう。こちらも所要時間は約40分で16時20分に到着した。地上区間にある真駒内駅から外の様子を見るとあたりはかなり暗くなっていた。

 南北線は、札幌市で最初に開業した地下鉄路線で、かつ最も利用者の多い路線だ。混雑が始まる夕方の時間帯であったことから、車内は賑やかだ。ちょうど年末の忘年会シーズンということもあり、途中で降りたすすきの駅では、飲み会に向かうと思われる複数のグループが改札口付近で待ち合わせをしていた。

 1日乗車券の裏面印字は、終点から2駅手前の北24条駅で46行すべての印字欄を埋めることになった。横浜市営地下鉄のケースでは、裏面印字が満杯になった乗車カードの自動改札機への投入が出来なくなったが、札幌市営地下鉄の場合は裏面印字が満杯の状態でもそのまま自動改札機を通過することができた。

 金額式のウィズユーカードで購入した場合には、裏面の印字欄が40行に達すると自動券売機でカードの再発行を行うという手続きが取られるが、1日乗車券の場合には自動券売機で同様の操作を行っても再発行は出来なかった。

 そして、終点の麻生駅に到着したのは18時41分。南北線全駅下車の所要時間は2時間6分で、こちらも通常の所要時間27分と比較して約4倍の時間を要することとなった。朝9時に東西線宮の沢駅を出発し全行程にかかった時間は9時間41分であった。

印字限界に達した1日乗車券(筆者撮影)
印字限界に達した1日乗車券(筆者撮影)

※下記リンクで当時のブログ記事を公開しています。
▼磁気カード1日乗車券の裏面を印字で満杯にしたった()札幌市営地下鉄全駅下車奇行!
http://www.noruzo-tetsudo.site/article/458652624.html

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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