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並行在来線問題で注目の山線 札幌ー倶知安方面に1往復だけ走る快速ニセコライナーとはどのような列車か

鉄道乗蔵鉄道ライター

 札幌駅から小樽駅を越えて倶知安方面を結ぶ快速列車が1日1往復だけ設定されている。快速ニセコライナーだ。快速ニセコライナーの登場は、札幌ー小樽間の快速列車の再編が行われた2000年3月のダイヤ改正だった。この改正に伴って新千歳空港とを結ぶ快速エアポートの小樽駅乗り入れを1時間当たり1本から2本に増発。それと引き換えに、札幌と小樽・倶知安方面を結んでいた快速マリンライナーを廃止し、札幌から函館本線(山線)と呼ばれる倶知安方面に直通する快速列車については快速ニセコライナーに改められた。

 当初は、日中にキハ150形気動車を使用した快速ニセコライナーの設定もあったが、2006年3月改正で廃止に。現在は、キハ201形気動車による1往復のみの運行が続けられている。

車両は札幌都市圏の輸送改善を目的に導入されたキハ201系気動車

 快速ニセコライナーとして使用されているキハ201系気動車は、札幌都市圏の輸送改善を目的として1997年3月のダイヤ改正で731系電車とともに営業運転を開始した。当時の背景として、札幌都市圏の輸送量が年4%ずつ増加しており、国鉄時代に製造された2扉デッキ付きセミクロスシートの711系電車では特に朝ラッシュ時に乗降に時間がかかり慢性的な遅延を招いていたことから、輸送改善を図る目的で3扉オールロングシートの731系電車が導入されることとなった。

 しかし、札幌ー小樽間については、電車列車に加え非電化区間となる小樽から先の余市・倶知安方面から直通してくる気動車列車が混在。電車列車と比較して気動車列車は加速性能や輸送力が劣ることから、こうした気動車列車の運行をそのまま継続すると今後の輸送改善への影響が懸念される。また、当時、倶知安方面から小樽ー札幌間には1日約3000人の入り込み客がありそのうち約1200人が札幌駅以遠までの利用で、うち700人が直通列車の利用客であった。こうしたことから通勤電車と同等の性能・機能をもち、電車と総括運転できる通勤型気動車として誕生したのがキハ201系だ。

ニセコライナーはどのような列車か

 1日1往復のみが設定されている快速ニセコライナーは札幌駅を夕方に発車し倶知安駅へ。倶知安駅で夜間滞泊した後、翌朝、蘭越駅まで回送され蘭越発の始発列車として再び札幌駅へと戻ってくるというのが大まかな流れである。しかし、車両運用の方法についてはもう少し複雑だ。

 17時49分に札幌駅を発車する倶知安行の快速ニセコライナーは、苗穂運転所より6両編成で札幌駅まで回送され、まずは小樽駅へと向かう。実際に快速運転を行うのは小樽駅までで、小樽から先は普通列車となる。なお、小樽までの停車駅は同区間の主力列車である快速エアポートと同じ、琴似、手稲、小樽築港、南小樽となる。小樽駅に到着後は、後ろ側3両を切り離す。前側3両は18時42分に小樽駅を発車し倶知安駅へ到着するのは19時52分だ。

 小樽駅で切り離された後ろ側3両は、その後、小樽駅の側線で3時間ほど留置され21時35分発の倶知安行となり22時49分に到着。その後、2編成のキハ201系は倶知安駅で夜間滞泊し、翌朝の倶知安駅と蘭越駅から発車する列車に充当される。

 翌朝、6時20分に倶知安駅を発車する苫小牧行の普通列車は、キハ201系3両で小樽駅に向かい、小樽駅では731系電車を連結。札幌までは電車と気動車の総括運転を行う。札幌ではキハ201系のほうの編成を切り離し、苫小牧駅までは731系電車3両編成が向かう。

 また、倶知安駅で夜間滞泊を行った2編成のうちもう1本は、早朝に蘭越駅まで回送され、蘭越駅の始発列車となる快速ニセコライナーに充当される。この列車は蘭越駅を6時16分に発車し、小樽駅までは各駅停車。小樽からは快速運転となり札幌駅には8時57分に到着する。

 快速ニセコライナーの走る函館本線(山線)については、北海道新幹線の並行在来線として廃止の方針が決定されていたが、深刻化するバスドライバー不足からバス転換協議の見通しが立たない状況となっている。1990年代には、山線の倶知安方面から札幌方面に直通利用する乗客の利便性を考慮して新型車両が導入されたほどであるが、こうした機会に改めて在来線の再活用についての議論が再開されることを願いたい。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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