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北海道中央バス、「郊外路線」札幌中心部への乗り入れ廃止の衝撃 運転士不足は都市部でも深刻化

鉄道乗蔵鉄道ライター

 北海道中央バスは、12月のダイヤ改正で札幌市郊外と札幌市中心部を結ぶ路線バスの札幌市中心部への乗り入れを廃止することが明らかになった。12月1日以降は、最寄りの地下鉄駅が終点となり、対象路線の乗客は札幌市中心部へ向かうためには乗り換えを余儀なくされる。路線が短縮されるのは280便にのぼるが、この他にも札幌圏を中心に2路線50便が廃止となり、300便が減便される。

 路線が短縮されるのは、清田区や北広島市方面からのバスは地下鉄福住駅まで、北区あいの里方面からのバスは地下鉄麻生駅までに短縮され、他の路線も地下鉄美園駅や地下鉄平岸駅までの運行となる。廃止となるのは札幌駅前ーJR平和駅前間と札幌駅北口ー札幌東営業所間の2路線だ。これまで清田区美しが丘からは札幌駅まで直通のバスで240円で移動できていたが12月1日以降は地下鉄福住駅での乗り換えが必要になり運賃は100円以上上がるという。背景はドライバー不足で、北海道中央バスのドライバーは約7割が50代以上。一方で30代以下のドライバーは1割未満で、ドライバーの数は年々減少している。

 この10月1日から北海道内では地方部で多くのバス路線が廃止・減便となった。北海道中央バスでは、後志地区の積丹線美国ー余別間が廃止になり、クループ会社のニセコバスでは寿都ー岩内間便数が半減された。この他には、夕張市から札幌方面を結ぶ夕鉄バスや、JR北海道発足初期に廃止されたJR天北線、JR標津線の鉄道代替バスも一部区間で廃止に。都市間高速バスの高速はこだて号も便数が8往復から4往復に半減、夜行便は廃止となった。そして12月1日からは、影響は都市部にも及び札幌市内でもバス路線の大幅な減便・廃止が実施される。

 12月1日に実施される北海道中央バスのバス路線再編の特徴は、地下鉄路線との重複区間をなくし地下鉄最寄り駅をバス路線の終点とすることだ。こうしたことから見えてくることは、鉄道を基幹路線としてバスをフィーダー路線としなければ公共交通の維持が難しくなってきているという現実だ。

 北海道内の地方部では、すでに鉄道路線の廃止・バス転換の流れも加速しており、今後も根室本線富良野―新得間81.7km、留萌本線深川―石狩沼田間14.4km、函館本線長万部ー小樽間140.2kmが廃止となる予定だ。しかし、特に2024年3月31日限りで廃止となる根室本線の富良野―新得間は距離が長く、こうした状況下で地域の基幹交通としての路線バスをいつまで維持できるのかは心配な状況だ。函館本線の長万部ー小樽間については、バスドライバー不足を背景として次にいつバス転換協議が開催できるのか見通せない状況となっている。

(了)

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鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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