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小樽駅からバスで約20分の「北海道新幹線」新小樽駅 ドライバー不足の中、2次交通は確保できるのか

鉄道乗蔵鉄道ライター

 北海道中央バスは2023年12月1日のダイヤ改正で、札幌市郊外と札幌市中心部を結ぶ路線バスが中心部への乗り入れを廃止することは、記事(北海道中央バス、「郊外路線」札幌中心部への乗り入れ廃止の衝撃)で触れたとおりで、280便の路線が短縮され、この他にも札幌圏を中心に2路線50便が廃止となり、300便が減便される。

 背景はドライバー不足だが、こうした状況下の中では、2030年度以降の札幌延伸開業を目指して建設工事がすすんでいる北海道新幹線の各駅からの2次交通が本当に確保できるのかといったことが心配される。中でも、新小樽駅は小樽駅から南方向に直線距離で4kmほど離れた天神地区で建設が進んでおり、小樽駅からは中央バスの路線バスで20分ほどかかる。

天神町行のバスで新小樽駅予定地へ

新小樽駅予定地近くの天神町行のバスに乗る(筆者撮影)
新小樽駅予定地近くの天神町行のバスに乗る(筆者撮影)

 筆者は2023年10月のとある平日の夕方、小樽駅前から実際にバスに乗り、新小樽駅建設予定地を見に行ってみることにした。小樽駅前から天神町に向かう路線バスは、平日日中は30分間隔、15時から18時が20分間隔、20時から22時までが1時間間隔で運行されている。運賃は、均一運賃で240円だ。

 小樽駅前のバス乗り場は、駅前の国道5号線の路上に設置されたバス停となっている。バスの乗客は圧倒的に主婦層と高校生が多く、15時50分発のバスは20名弱を乗客を乗せて発車。国道5号線を10分ほど札幌方面に向かって直進する。そして、奥沢十字街でバスは山側に右折し、新小樽駅の建設が進む天神地区へと向かっていく。

新小樽駅に続く道路(筆者撮影)
新小樽駅に続く道路(筆者撮影)

トンネル掘削が進む新小樽駅予定地の様子は

天神町バス停の様子。後志自動車道の高架橋の手前側に道路を横切る形で新小樽駅が建設される(筆者撮影)
天神町バス停の様子。後志自動車道の高架橋の手前側に道路を横切る形で新小樽駅が建設される(筆者撮影)

 そして、後志自動車道の高架橋をくぐるとすぐに右手側に北海道新幹線「後志トンネル」の工事現場があらわれ、バスは終点の天神町へと到着した。天神町バス停の近くには後志自動車道の高架橋が設置されているが、北海道新幹線はこの手前側に道路を横切る形で建設されこの場所に新小樽駅も設置される。

 現時点では、左手側の倶知安・東京方面は後志トンネルの掘削工事が進められている状態であったが、右手側の札幌方面は更地の状態となっていた。北海道新幹線札幌延伸開業後の新小樽駅は1日1200人程度の乗降客を見込んでおり、約300台が収容可能な駐車場を設置しパーク&ライドにも対応するとしているが、観光客やビジネス客にとっての交通手段はバスがメインの交通手段となることから、バスドライバー不足が深刻化する中で新小樽駅からの2次交通通を持続的に確保することが本当にできるのかが大きな課題となる。

札幌方面はまだ更地のままであった(筆者撮影)
札幌方面はまだ更地のままであった(筆者撮影)

並行在来線の廃止でバス路線はひっ迫必至

 こうした2次交通の問題にさらに追い打ちをかけるのが北海道新幹線の並行在来線の廃線問題だ。北海道庁が主導する協議会では、長万部ー小樽間の在来線については廃止の方針を決定。新函館北斗ー長万部間についても旅客を廃止し貨物専用線とする方向が濃厚であるが、バスドライバー不足が深刻化する中で、新函館北斗ー長万部ー小樽間234.6kmの鉄道路線を廃止し新たにバス路線を設定は現実的ではなく、仮にこれだけの長さの鉄道路線を廃止してしまえば、本当に必要なバス路線でのドライバー確保もままならなくなってしまうであろう。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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