Yahoo!ニュース

終着駅にある北海道医療大学の移転が決定 JR北海道の札沼線(学園都市線)とはどのような路線か

鉄道乗蔵鉄道ライター

2023年9月、北海道当別町の北海道医療大学が突如として北広島市への移転を表明。2028年度をめどに、日本ハムファイターズの新球場が建設された「北海道ボールパークFビレッジ」へのキャンパス移転を行うという。

北海道医療大学は、JR札沼線(学園都市線)の終着駅である北海道医療大学駅に隣接している。北海道医療大学駅周辺には大学以外の目立った施設や住宅がほとんどなく大学移転に伴い駅利用者の大幅な減少が心配される。北海道医療大学が移転を決めた理由については2023年9月28日付記事(北海道医療大学、北広島市移転の衝撃! 懸念される学園都市線末端区間の存廃議論)で詳しく触れている。

学園都市線は札幌市北区の住宅密集地を走る。奥に見えるのは札幌駅のJRタワー(筆者撮影)
学園都市線は札幌市北区の住宅密集地を走る。奥に見えるのは札幌駅のJRタワー(筆者撮影)

JR札沼線(学園都市線)はどんな路線か

 JR札沼線(学園都市線)は、札幌駅隣の桑園駅で函館本線から分岐し、当別町の北海道医療大学駅までの28.9kmを結ぶ路線だ。北海道内では学園都市線の通称名のほうが広く知られているが、正式な路線名称は札沼線。もともとは札幌と留萌本線の石狩沼田駅を結んでいる路線で、札幌の「札」と石狩沼田の「沼」から1文字ずつが取られ札沼線と命名された。

 当初の札沼線は、桑園―石狩沼田間111.4kmを結ぶ長大路線であったが、1972年に末端区間の新十津川―石狩沼田間が、2020年に北海道医療大学―新十津川間が廃止になり、現在、営業されているのは桑園―北海道医療大学間の28.9kmのみとなっており、最盛期の4分の1近くにまで路線長が短縮された。

 国鉄時代の札沼線は、ディーゼルカーが2時間に1本程度しか走らないローカル線で、駅についても桑園を出ると新琴似、篠路、東篠路(現・拓北)、釜谷臼(現・あいの里公園)、石狩太美(現・太美)、石狩当別(現・当別)、大学前(現・北海道医療大学)しか設置されていなかったが、国鉄末期から八軒、新川、太平、百合が原、あいの里教育大と札幌市内に新たに5駅が新設され、列車本数も次第に増加。1991年には沿線に、東日本学園大学(現・北海道医療大学)や北海道教育大学札幌校が立地していることなどから学園都市線の愛称名が与えられ、八軒―あいの里教育大間では複線化が実施。うち、八軒―新琴似間では高架化も行われ、2012年には北海道医療大学駅まで電化された。

 現在の札沼線(学園都市線)は、日中は20分間隔で列車の運行が行なわれており、札幌市北区と当別町民の通勤、通学の足として重要な役割を果たしている。学園都市線桑園―北海道医療大学間の2022年度の輸送密度は14,475人だ。大学には約3,600人の学生と約800人の教職員が在籍しており、北海道医療大学の1日当たりの乗車人数は約2300人。北海道医療大学駅周辺には、大学施設のほかには民家などはほとんどないことから、大学移転により特に、当別―北海道医療大学間が閑散線区並みの輸送密度に陥ってしまうことが心配される。

終点の北海道医療大学駅(筆者撮影)
終点の北海道医療大学駅(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

鉄道乗蔵の最近の記事