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5分差で「山線」最終列車に乗り継げず…長万部の痛い「骨折ダイヤ」 接続改善で利用促進見込める!?

鉄道乗蔵鉄道ライター

 北海道新幹線の並行在来線問題で、2022年3月に廃止の方針が決定された函館本線の山線と呼ばれる長万部―小樽間140.2km。しかし、2023年に入り、深刻化するバスドライバー不足から沿線に路線網を展開するバス会社が鉄道代替バスの引き受けをできる状況にないことが表面化。バス転換協議は中断することとなった。地元新聞などが報じたところによると、協議会を主導する北海道庁は「今後は鉄道代替路線の引き受けについて、ほかのバス会社やタクシー会社にも協力を求める」という。

 2022年3月に、輸送密度が2000人を超えている余市―小樽間を含めて廃止の方針が結論付けられた際には、「観光入込数の増加や多駅化・多頻度化、あらゆる手立てを講じたとしても大幅な収支状況の改善が見込めないこと」も鉄道廃止の理由として挙げられた。

 しかし、「利用者がいないと泣き言の前にやることがあるのでは」との疑問を投げかけるのは鉄道ジャーナリストの北村幸太郎氏だ。乗り鉄でダイヤ鉄だという北村氏は、自身が鉄道旅行する際に「乗り継ぎ駅で乗車している列車の到着数分前に接続先の列車が発車してしまうという場面に何度も遭遇し悔しい思いをしてきた」といい、「こうした列車が着く寸前に乗り継ぎ列車が発車してしまう接続の悪いダイヤを図表で表すと骨折した腕や脚のレントゲン写真のように見える」ことから「骨折ダイヤ」名付け、世の中に普及する取り組みをおこなっている。

(JR北海道公開データより筆者加工)
(JR北海道公開データより筆者加工)

(JR北海道公開データより筆者加工)
(JR北海道公開データより筆者加工)

 北村氏が指摘するのは、函館駅を17時35分に発車する長万部行の普通列車と、後続の18時48分に発車する特急北斗21号の長万部駅での山線への接続だ。長万部発小樽行の最終普通列車は長万部駅を20時4分に発車するが、函館から来た普通列車は、その5分後の20時9分に長万部駅に到着し、特急北斗21号はその10分後の20時14分に長万部駅に到着する。

 長万部駅を20時4分に発車する小樽行の山線普通列車に乗車するためには、函館駅を17時52分に発車する特急北斗19号で長万部駅に19時18分に到着し46分待つか、函館駅を14時21分に発車する長万部行の普通列車で17時57分に到着し2時間7分待つかの2択となる。

 北村氏は、こうした接続の悪い「骨折ダイヤ」については「北海道各地で散見される」といい、利用したくても利用を断念せざるを得ないケースが各地で生じていることが予想されることから「列車の接続を改善するだけでも利用促進につながるのではないか」と述べた。

北村 幸太郎(きたむら こうたろう)●1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。(写真:本人提供)
北村 幸太郎(きたむら こうたろう)●1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。(写真:本人提供)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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