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来春のダイヤ改正で日中の札幌駅から姿消す、「千歳行」普通列車はどのような列車か

鉄道乗蔵鉄道ライター

 JR北海道は、2024年春のダイヤ改正において新千歳空港へのアクセスを担う快速エアポート号の増発と千歳線の停車駅パターンの変更を行うことを発表した。これに伴い札幌方面から千歳線の直通する日中の普通列車は全て「北広島行」となり、札幌駅から「千歳行」や「苫小牧行」の普通列車は姿を消すことになる。一方で、新たに設定される区間快速エアポート号が日中は北広島ー新千歳空港間の各駅に停車し普通列車を補完する。今回は、見納めまで残り4カ月余りとなってしまった札幌発「千歳行」普通列車の様子を紹介したい。

札幌駅の発車標で日中の「千歳」の行先は見納めとなる(筆者撮影)
札幌駅の発車標で日中の「千歳」の行先は見納めとなる(筆者撮影)

所要時間は快速の約2倍

 新千歳空港行の快速エアポート号が12分間隔で発車するJR北海道千歳線。千歳線は、札幌と新千歳空港のアクセスを担う重要路線であり快速列車の運行本数は多いが、普通列車の本数は20~30分間隔と意外に少ない。普通列車のほうは、「千歳行」が1時間に1~2本、「苫小牧行」が1時間に1本程度運行されているが、来春のダイヤ改正でこれらの列車は北広島駅折り返しとなり姿を消す。

発車を待つ千歳行(筆者撮影)
発車を待つ千歳行(筆者撮影)

 筆者は、札幌駅を14時3分に発車する「千歳行」の普通列車に乗車することにした。この日は前日の大雪の影響で千歳線内のダイヤには乱れが出ていたが、筆者が乗車した「千歳行」普通列車は定刻通りに札幌駅を発車した。

 札幌―千歳間41kmの所要時間については、快速エアポート号の30分に対して普通列車は55分と2倍近くを要する。普通列車は、快速列車や特急列車の合間を縫うようなダイヤ設定がされていることから、途中駅での列車退避もありその分、所要時間が伸びている様子だ。

 列車は、北海道で唯一となる複々線区間を走行し苗穂、白石、平和と停車。平和駅を過ぎると千歳線は高架区間となる。高架区間からは雪化粧した札幌市内をよく見通すことができ、新札幌駅へと到着した。次の上野幌駅までが札幌市内となり、その先は北広島市となる。

北広島駅では10分以上停車

車載からは雪化粧したエスコンフィールド北海道も見えた(筆者撮影)
車載からは雪化粧したエスコンフィールド北海道も見えた(筆者撮影)

 車窓右手側に、プロ野球・日本ハムファイターズの新本拠地、エスコンフィールド北海道が見え、しばらくすると北広島駅へと到着した。北広島駅では10分間停車し、後続の快速列車と特急列車に道を譲る。この日は、筆者が乗車した普通列車が札幌駅を発車する3分前の14時に発車する予定だった快速エアポート号が10分以上遅れたとのことで、まずは遅延して北広島駅に到着した快速エアポート号に道を譲る。さらに、札幌駅が定刻14時11分発の快速エアポート号と14時17分発の特急おおぞら号に追い抜かれる。

 来春のダイヤ改正で、北広島駅で折り返しとなる普通列車は、構内配線の都合上、札幌方面行の3番ホームに到着することになり、千歳方面の快速列車に乗り継ぎをする場合には、同一ホーム上での乗り換えができなくなることから、乗り換えには跨線橋を渡る必要が出てくるという。これに対して、交通コンサルタントの阿部等氏は、苗穂、白石、平和からの利用者については同一ホーム上で乗り換えが可能な新札幌駅での乗り換えを案内するべきであると提案していたことは、詳しくは、2023年11月23日付記事(JR北海道、春のダイヤ改正で毎時6本に増発の快速エアポート その「からくり」を有識者が解説)で触れている。

【2023年11月28日19時00分 追記】記事初出時、北広島駅折り返しホームの記述に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

北広島駅で遅れて到着した快速に追い抜かれる(筆者撮影)
北広島駅で遅れて到着した快速に追い抜かれる(筆者撮影)

6分遅れで千歳駅に到着

サッポロビール庭園駅でも快速に追い抜かれる(筆者撮影)
サッポロビール庭園駅でも快速に追い抜かれる(筆者撮影)

 千歳行の普通列車は4分遅れで北広島駅を発車した。次の島松駅からは恵庭市に入り、恵み野、恵庭と停車。サッポロビール庭園駅ではまた4分停車して、後続の快速エアポート号に道を譲る。そして、長都駅からは千歳市に入り、線路は高架となる。千歳市内には降雪はほとんどなく、前日夜から大雪となっていた札幌市内とはまるで状況が違い少々驚いたが、千歳市に北海道の玄関口となる新千歳空港が建設されたのは、雪が比較的少ないということが理由だったことも腑に落ちる。

降雪のほとんどない千歳市街地の様子(筆者撮影)
降雪のほとんどない千歳市街地の様子(筆者撮影)

 千歳駅には6分遅れとなった15時4分頃に到着。札幌駅からの所要時間はおよそ1時間となった。普通列車が千歳駅に到着直後、本州方面に向かう貨物列車が轟音を立てて隣のホームを通過していった。

千歳駅で折り返しを待つ普通列車(筆者撮影)
千歳駅で折り返しを待つ普通列車(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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