【駅の旅】下町情緒あふれる町の駅もラッシュ時は大混雑/東京メトロ東西線・門前仲町駅
木場~門前仲町間の朝の混雑は都内一
地下鉄東西線の朝のラッシュ時の混雑はすさまじい。特に木場から門前仲町にかけてはコロナ禍以前のピーク時には200パーセントにも達し、都内の混雑率ナンバーワンだったそうだ。10両編成の電車が2~3分おきにどんどん来るのに、この混雑ぶりには驚くばかりである。そのため、東西線の電車のドアは、ほかの路線よりも広くなっている。門前仲町で都営大江戸線に乗換える人が多く、この区間が最も混雑率が高いのだが、大江戸線が開通する以前は、門前仲町から次の茅場町までの混雑はさらに酷かったものだ。江戸川区や千葉県方面から都心に通う人の大動脈としてフル回転で機能し続けている。
壮観な深川不動の護摩祈祷はありがたみを感じる
この駅の階段を上がると、永代通りと清澄通りが交差する門前仲町交差点は、多くのクルマが行き来するが、あたりは、なんだか昔懐かしい下町風情の漂う町。駅からすぐの深川不動堂に向かう人情ご利益通りには、名物の「あげまん」や、煎餅、きんつば、鰻などの店が並ぶ。
深川不動堂は千葉県成田市にある成田山新勝寺の東京別院で、開基は1703(元禄16)年と伝わっている。本堂は2012(平成24年)に建てられた新しいものだが、その内部では、毎日9時から15時(曜日によって17時)まで2時間ごとに10人あまりの僧侶による護摩祈祷が行われている。これは誰でも無料で参列することができ、その時刻になると善男善女が集まってくる。意外に若い人の姿も多い。このご祈祷は勇壮なホラ貝の音で登場する僧侶たちが、ご本尊の不動明王の前で護摩の火をたく。太鼓を打ち鳴らしながら、大勢の僧侶たちが経を唱える様は、実に壮観である。めらめらと燃える炎の向こうにきらっと光るお不動様の目は、なんとも言えない不思議なありがたみを感じるのである。(コロナ禍により内容が一部変更されている)
富岡八幡宮の本祭りは今年も中止に
深川不動堂に隣接する富岡八幡宮では例年8月15日に江戸三大祭りと呼ばれる「深川八幡祭り」が行われる。特に3年に一度、53基の町御輿が練り歩く本祭りは圧巻だ。昨年、この本祭りが行われる予定だったが、コロナ禍のため中止となり、残念ながら、今年も中止が決定した。一刻も早く収束して来年こそは5年ぶりの本祭りを賑やかに開催して欲しいものだ。
大相撲ファン必見!境内に横綱大関の石碑
また、境内には、巨大な横綱力士碑と大関力士碑があり、大相撲ファンは必見だ。横綱力士碑は、1895(明治28)年に建立されたもので、江戸時代の初代横綱・明石志賀之助から、第72代稀勢の里までの名が刻まれている。そして、新横綱が誕生すると奉納土俵入りが行われる。大相撲は正に神事なのである。境内にはほかに、超五十連勝力士碑や、巨人力士身長碑もある。歴代で最も背の高かったのは、江戸時代の肥前生月島(いきつきじま)出身の、生月鯨太左衛門で身長が7尺6寸(227センチ)もあったという。当時、生月島は捕鯨が盛んだったため、この四股名がついた。
哀愁漂う下町の赤提灯
そんな門前仲町の裏通りは夕方になると、哀愁漂う赤提灯が呑兵衛たちを誘う。その中で創業50年の老舗の居酒屋が「だるま」。16時半の開店と同時に地元の常連客でいっぱいになる。昔ながらのカウンターに、名物のモツ煮込みなどをつつきながら談笑するおじさんたちの笑顔が並ぶ。それもそのはず、この店には素敵な女性スタッフが大勢いるのだ。早く緊急事態宣言が解除され、また、この店のカウンターで盃を交わしたいものである。