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【英会話】研修を受けていた外国人が言ったぎょっとする一言とは?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 長い間、Native English Speakerたちと一緒に働いたり、彼らのマネージメントをやっていますと、こちらの予想しない反応に出くわすことが多々あります。

 そんな反応をなぜNative English Speakerがするのか? を解き明かすエッセイです。
 Native English Speakerの友人、上司、同僚、部下が突然できた方、彼らの日本人とはちょっと違った思考パターンを読めるようになりますよ~。おたのしみに。

 4月も中旬、新入社員の方は入社式も終わって、絶賛新人研修中かと思いますが、私が勤めていた英会話スクールは社員研修が大好きでして。

 まぁ、よくいろんな講師が来て下さって、ビジネスマナーや営業トークなどの研修をしてくれたものでした。

 当然ですが、そこにはNative English Speakerのスタッフも同席します。そのなかにDido(仮名)っていう日本語ペラペラのアメリカ人がいたんでけど、ある時ぎょっとさせられたんです。

 それはマーケティングの研修でした。なかなかに面白い研修だったんですが、その終盤、講師がいよいよまとめに入ろうとしたとき、Didoがおもむろに手をあげましてね。そこで一言、

「説明がぜんぜんわかんないから、もう一度説明してもらえますか?」

とあっけらかんと言ったんです。

 いやぁ、ちょっとその場の雰囲気は今でも思い出したくない。静かに騒然とする。
 その講師はマーケッターとしてかなり有名な方で、たくさん本も出してような人、いわゆるその道の権威。いい感じでノって話してたところを、水を差された。

 恐るおそる講師の顔を見上げたんですが、ちょっと顔が赤らんでる。
 怒っているっぽい。ひやぁ~っといやな汗が流れる。

 これはどうなるかとハラハラしましたが、さすがその道の権威は違います。嫌がらずに、もう一回説明してくれました。ちょっと困り顔でしたけど。

 あとでDidoになんであんな質問をしたんだって聞いたんですが、Didoのやつはしれっと、

「だって、話している人には伝える義務があるんだから、こっちが判るまで説明するのは当たり前のことでしょ」

ですって。

 なるほどなぁ、と思っちゃいました。

 どうもNative English Speakerって、話が理解できないとき自分のせいだと思わないらしいんです。相手の説明が自分にフィットしてない、判るように説明しろよ、ぐらいに思ってる。

 そう考えると、プレゼンやミーティングの最後にファシリテイターが、
"Does anybody have any questions?"
ってふるとNative English Speakerが一斉に手をあげる理由がよく判りますね。疑問が生じてるのは自分のせいじゃないんだもの。質問もしたくなるわけです。

相手に理解させるのは話し手の義務かぁ、結構ショックな出来事でした。

 新人研修や社員研修の仕上げにプレゼンの練習をされる方もいらっしゃると思います。

 もしプレゼン中に、Native English Speakerから質問を受けても、さっき説明したろ! 聞いてなかったのか! なんて思わずに、根気よく答えてあげてください。

Speaker's duty それがNative English Speakerのマナーですから。

 でも、ちょっとは察しろよ、って思うんですけどね、私は。もちろんNative Japanese Speakerの甘えなんだとは思いますが。

 と、こんな感じで、このエッセイではNative English Speakerたちと一緒に働きながら、今この瞬間も私の周りで発生し続けているちょっとしたエピソードを、ご披露したいと思っております。

 お気に召しましたら是非ともごひいきくださいますようお願い申し上げます。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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