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【英会話】よくするよ で、often を使ったら、首を振られた。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 え~、わたくし徳田孝一郎と申します。

 元英会話スクールVice-presidentで、現在は独立して企業向けの英語・英会話研修スクールを経営してるんですが、20年ほど英語を話していても、Native English Speakerたちに、その英語、変! と言われることがあります。
 彼らには前もって、不自然な英語だったら容赦なく指摘してくれって頼んでるのもあるんですが、いやはや、ホントに容赦なしです。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている英語にまつわる失敗談を多少脚色も加えて、笑いながら英語を憶えていただこうというエッセイです。

often? それともmany?

 このあいだ友人のRichと雑談してた時のことです。まぁ、いろいろ仕事の話なんかをした後で、ふっと「なんで、西洋って自分のやり方を世界中に押し付けるんだろうね」って話を振ったんですね。

 わたし、大学で現代思想(哲学)を修めたんで、時たまこういう困った質問をする。Richは分子生物学のマスターを持ってる理系なんですが、哲学にも興味があるヤツなんで、困るそぶりもせず前のめり。ありがたい友人です。

 で、Rich、一瞬考えたんですが、さらっと答える。

西洋だけに限んないじゃん? 悲しいことだけど、人に自分の価値観を押し付けるのは人間の本能だよ。
Not only the West. Sadly, it’s a human nature that someone imposes his values on someone else.

ですって。
 まぁ、そりゃそうかと思いながら、それについていろいろ話して、Richも私もそういうのからは逃げ出したいねぇ、ということで話は落ち着いたんですが、突然、徳さん、impose で文を作ってみてよ、と即興の英語の講義が始まる。

 これだからNative English Speakerというのは恐ろしい。私は元々は英語嫌いなんで、気の休まる暇がありません。

 で、私がぱっと思いついたのは、

政府ってのはよくルールを押し付けるよね。
The government often imposes the rules on us.

という文だったんですが、Rich、思いっ切り首を振る。

 なんでだ? って思ったんですが、事実をきちんとと言われてはっと気づいた。

「政府ってのはよくルールを押し付けるよね」って日本語として普通なんですが、事実からちょっとずれてます。だから、それを直訳しちゃいけなかった。私が言うべきなのは、

The government imposes many rules on us.

なんです。政府ってのはしばしば押し付けるんじゃなくて、いつも押し付けてるものですからね(そういう権利をわれわれが信託してるからですが)。だから、「よく」の部分は事実に即して「たくさん」にしないといけない。

 一本取られたって気分でした。

 でも、このあたりの英語の事実に即した表現を好むというところは、ふわっと相手に伝えるのを好む日本語にはない点で面白いですね。普段、気づかないことに気づかせてくれる気がします。
 どうぞみなさんも英語を話すときは、事実に即した表現を。

 ちょっと謎めいた女性を、She is a witch. なんて言っちゃダメですよ。彼女が本物の魔女だってことになっちゃいますから。じゃあ、どういえばいいかと言うと? 答えはイラストの下です。

 もちろん、そんな感じ(様子)ってことですから、
She is like a witch.
ですね。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。
 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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