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【英会話】推しを声だし応援したよ で、cheer を使ったら、首を振られた。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 わたくし徳田孝一郎と申します。

 20年ほど仕事で英語を話しているんですが、今でもたまにNative English Speakerたちに、その英語、変! と言われることがあります。
 不自然な英語だったら容赦なく指摘してくれ って頼んでるせいもあるんでしょうけど、それにしてもホントに容赦なし。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を、多少脚色も加えて謎解き風にご披露して、英語を憶えていただこうというエッセイです。

cheer for ~ は ~を応援する ~に声援を送る だけど

 推し活ってわけじゃないんですが、このあいだライヴに行ってきました。You Tuber の方で、抜群に歌が上手い。私の好きなガンダムやシティーハンターの歌をよく歌ってくれるんで行ってみたんです。

 ライヴは6月で、もう声出しも解禁。もちろん、大盛り上がりで、誰かに話したくなって、友人のRichに話したんですが、その時の英語で、また、首を振られちゃいまして。
 それがこれ。

I was so surprised to see the audience cheering for her wildly.
みんな、すげえ応援してて、いやぁ、びっくりしたよ。

って言ったんですが、Rich、すぐに首を振る。

 あ、またやったかな? と思って、考えてみたんですがピンと来ない。cheer for ~ で、~を応援する ~に歓声を送る というのは間違いないんです。

 みなさん、なんでだと思います?

 ちょっと、フリーズしてしまった私を見かねて、Richがヒントを出してくれました。

 シンガーって誰かと勝負してるの? って。
 そこまで言われて、にぶい私もようやく思い至る。

 もしかして、cheer for ~ って勝負事の応援にしか使わないの? 

 って訊くと、その通りとのこと。何かにチャレンジしている人 とか、競争している人 とかを、応援、声援するときに使うんだとか。そのほかの場合に使ってもいいんだけど、ちょっとぴったり来ない感じがするそうです。おもわず、へぇ~ です。

 たしかに、チアリーディングの人たちってスポーツの応援などの場面に登場しますよね。コンサートには登場しない(登場したら、シンガーの邪魔ですものね)。ただの「応援する」という訳語だけでは判らない部分でした。

 じゃあ、私の言いたかった「みんな、すげえ応援してて、いやぁ、びっくりしたよ」をどう英語にすればいいかとRichに訊くと、

I was so surprised to see the audience singing with her wildly.
とか、
I was so surprised to see the audience let out a cheer.
とかだそうです。さすが、事実をきちんと表現するという英語の特徴を踏まえています。
 おい、ちょっと待て。cheer 使ってるじゃん! というツッコミはちょっと待ってください。歓声という意味の名詞のcheerはどの場面でも使っていいのだとか。

 面白いですね。訳語だけでは判らない、ある単語がどういう場面に適しているのか判るのは。Native English Speakerとやりとりする醍醐味です。

 夏季休暇に、英会話レッスンを始めようという方もおられると思います。Native English Speakerの講師に、伝わっても不自然なら指摘してくれって頼んでみてください。ビシバシ、英語のレベルが上がりますよ~。
 え、そんなキツイ目には会いたくない? では、どうぞこのエッセイをごひいきに。

 今回は、お土産に、cheer for ~ の本来の使い方の例文を

 England以外のチームだと、いつもサッカー日本代表を応援するよ。

 外国の方にこういわれると嬉しいですね。
 回答例はイラストの下に。

 I always cheer for Japan apart from England.
 です。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。
 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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