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【旅が変わる視点】場違いな彼岸花、君なぜ東京ドームシティに咲く?

とらべるじゃーな!穴場ずらし旅、愛好家

関東圏のエモ静ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!(記事一覧)です。

感染症も少し落ち着き、活気を取り戻しつつある、遊園地などがある東京ドームシティ。若者たちのグループが、明るい話し声を響かせながら、行きかいます。

しかし、手前に違和感のある花を発見!

何と、お墓によく咲いている彼岸花です! 彼岸とは、三途の川を挟んだ向こう側。彼岸花の花言葉は、「悲しき思い出」「あきらめ」(汗)

東京ドームシティの一角にあり、アフターコロナを謳歌する若者が多い、スターバックス前だけに、強く惹かれるものがありました。いったい、誰が植えたのでしょうか?

東京ドームシティは、好きな方は何度も行く場所、そうでない方は、あまり行かない場所だと思います。しかし、「ひと」「時代」「坂道や段差」など、ギャップを探すことで、旅は何倍も楽しくなります

2つ目のギャップを見つけたのは、東京ドームシティ内にある、温泉施設のラクーア。白い三角形の建物です。

ここは、入館料が少し高いため平日はあまり混まず、受付で、会話禁止の確認があり、安心して楽しめます。3種類の本格サウナもあります。

写真 スパ・ラクーア公式サイト

黒湯(琥珀色)の露天風呂が素晴らしいのですが、静かな露天風呂につかっていると、時折、外から大きな悲鳴が聞こえてきます。ラクーアのすぐ外に、ジェットコースターが走っているのです(男湯の場合)。

悲鳴と静かな露天風呂の対比は印象深く、話題にしている人を何人か見かけました。

東京ドームシティは、基本的には、若者やファミリーのための場所です。しかし、片隅に、馬券売り場がある点も不思議。3つ目のギャップです。

地方競馬の馬券売り場もあり、平日でも、ベビーカーの親子に混ざり、ビールと競馬新聞片手のおじさんが随所に見られるのも、東京ドームシティならではの懐の深さです(汗)

東京ドームシティには、高層階からの絶景が売りの東京ドームホテルがあります。1階のカフェは穴場で、値段は少し高いですが、水の流れる庭園が美しいです。

軽食も頼むと3千円コース。昭和のよき時代の楽しみ方です。

一方、フードコートは、びっくりドンキー、丸亀製麺など、お買い得なお店が勢ぞろい。完全に平成時代のラインアップで、ここに4つ目のギャップがありました。

丸亀製麵のうどん弁当をテイクアウト。

東京ドームホテルの売りは、観覧車が見える遊園地側のビュー。しかし、自分が気に入ったのは、落ち着いたシティ側のビューです。総武線が走りますが、東京ドームシティの利用者が多い側。夜は人がはけ、不思議な静けさを感じます。

この東京ドームホテルの景観のちがいが、5つ目のギャップです。

野球やイベントのない夜は、東京ドームシティ内や飲食店もすいており、おすすめです(昼はそれなりに混んでいます)。

翌朝、東京ドームシティを散歩していると、まるで掘割(地面を掘ってつくった水路)のような場所が! 実際に水も流れています。

NHK番組のブラタモリでタモリさんがよく「坂道や段差に注目すれば、町歩きは楽しくなる」という趣旨のことを言っています。これを知っていれば、すぐに気づく違和感です。

東京時層地図より引用(国土地理院地図による)
東京時層地図より引用(国土地理院地図による)

さっそく、東京時層地図のアプリ(外部サイト、有料)を取り出し確認すると、掘割のような場所は、水路として、地図に掲載されています。

東京時層地図より引用(国土地理院地図による)
東京時層地図より引用(国土地理院地図による)

明治初期の地図に切り替えてみると、何と、ここは軍需工場(東京砲兵工廠)の跡地だったのです! 工場内に水路があり、現在の水道橋駅付近(地図右下)で、神田川に注いでいたよう。軍需工場時代の水路の名残りが、掘割状の場所なのでしょうか?

しかし、後楽園球場時代、この「掘割」は、左翼席の下あたりだったよう。すると、1度なくなった川が復活したのでしょうか? 土地は記憶している??(タモリさんの名言)

よく調べると、「掘割」の場所は、暗渠(あんきょ。地下を流れる川)になっており、その都合で、建物を建てずに、掘割状になったと思われます。暗渠は、もとの谷端川(豊島区~北区~板橋区~文京区)。

こちらのタリーズコーヒーは、軍需工場(東京砲兵工廠)の跡辺り。

平凡な場所でも、スマホ1つで楽しみが生まれてきます。主に小銃を作っていたようですが、耳を澄ますと、鉄を打つ音が聞こえてくるようです。

東京ドームシティの一帯は、軍需工場の前は、水戸藩の大名屋敷だったよう。

いずれも、庶民が出入りできない場所だったのが、いまは競馬新聞片手のおじさんから、小さな子どもまで、多くの人に楽しまれている場所だということが分かりました。

・1つ目のギャップ 遊園地前のスターバックスの若者と、不似合いな彼岸花。
・2つ目のギャップ 静かな露天風呂と、外から聞こえる悲鳴。
・3つ目のギャップ ベビーカーの親子と、ビール片手の馬券おじさん。
・4つ目のギャップ 昭和の高級カフェと、平成のお値打ちフードコート。
・5つ目のギャップ 段差から探った、掘割状の場所の歴史と軍需工場。
・6つ目のギャップ 大名屋敷と、大衆のための遊園地。

このように、平凡な町なかや、余り乗り気がしない場所でも、「ひと」「時代」「坂道や段差」などさまざまなギャップに注目することで、旅が楽しくなります

ぜひ新しい旅の形を、増やしてみませんか?

今回東京ドームホテルを訪ねたのは、 東京都民割「もっとTokyo」で、たまたま部屋が取れたから。東京ドームシティには、どちらかというと作られた観光地のイメージがあり、期待していませんでした。

しかし、数株の彼岸花に触発されて、近場への小さな旅が、味わい深くなりました。日本の彼岸花は、種子で増えることがなく、誰かが手で植えたとしか考えられないそう。誰が、遊園地のスターバックスの前に彼岸花を植えたのかは、今でも謎です。

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日帰りずらし旅は、関東 日帰り電車旅行「自然や田舎で癒される!」28選(とらべるじゃーな!)をご覧ください。

穴場ずらし旅、愛好家

関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビに旅の専門家として出演(2023年4月)。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住、旅行歴500泊以上。

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