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ブラタモリ佐野 タモリさんが訪ねた鋳造所の未放映の秘密とは?

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ブラタモリ佐野編では、タモリさんが佐野(栃木県)の「ほしいモノ」の1つとして、鋳物(いもの、型に熱々の金属を流し込む工法)を紹介しました。

タモリさんが訪ねたのは、今は4軒しかない鋳造所の1つ、若林鋳造所(一般非公開)。

若林鋳造(ちゅうぞう)所
栃木県佐野市大祝町2398
東武佐野市駅から徒歩8分/JR佐野駅から徒歩12分
※見学希望の場合は要問合せ。鋳造の作業がない時間帯で対応できる場合あり。職人親子とご家族のみの対応となりますので、ご配慮ください。販売は、茶道具等の受注生産です(修繕も対応)。

鋳造所には、貴重な古い溶鉱炉が残されていますが、ブラタモリでは、次の3点に絞って紹介されました。

  • 鋳型(いがた、熱々の金属を流し込む型)の構造 …タモリさんが、その構造に興味を持った。
  • 豊臣秀吉が愛用した天明釜(佐野産の茶釜) …タモリさんが、毒の混入を防ぐ機能に興味を持った。
  • 加熱した鉄を鋳型に流し込む …長年一切非公開の作業だが、番組取材陣の熱意で今回のみ公開。

番組に登場した若林鋳造所の次期6代目・若林美延さんは、ほかの内容も話されているはずですが、各回の主旨と分かりやすさを重んじるブラタモリでは、カットされていたようです。

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その1つが、奥に鎮座する古い溶鉱炉。

この溶鉱炉自体、若林鋳造所内で組み上げたと考えられます。現在は、芸術品の茶釜を中心とした少量生産のため、右手にある小さな溶鉱炉で足りますが、かつては、大量の鉄を溶かし、一度に多数の鍋などの鋳物を作り上げていました。

溶鉱炉に火を入れる際には、近隣の職人も集め、多数の職人が肩を寄せ合うように作業しました。

1度火を入れると、数日は夜通し作業が続きます。噂を聞きつけた商人が、鋳造所の前に団子を売りに来ることもありました。

なお、火を入れる作業は、建物内が高温になるため、冬場など寒い時期に行われました。

もうひとつ触れられなかったのは、鋳型(熱々の金属を流し込む型)の作り方。渡良瀬川などの砂や、粘土を練って作り上げますが、砂は何と足元に敷き詰めてあるもの。

足元の砂から、新品の鋳型(手前)を作り、役割が済んだ鋳型(奥)は、折を見て壊され、足元の砂に戻されてゆきます。鋳造所の砂は、まるで代々つぎ足す料理店のタレのような存在です。

写真は、若林鋳造所所蔵の江戸時代中期の天明釜(佐野産の茶釜)です。

荒れた肌あいを持つ素朴さが、千利休の評価を受けたことは番組で伝えられましたが、若林鋳造所は、茶釜の修理もできる数少ない工房の1つ。写真は、鉄分が溶け出すなどの経年劣化により、底の部分を作り直してある作品です。

また、ブラタモリでは未紹介でしたが、若林鋳造所の若旦那・若林美延さん(次期6代目)の作品も所蔵しています。鐶付(かんつき)と呼ばれる穴の部分が、神社の鳥居のようにデザインされています。

佐野唐沢山神社 手水舎の水口(赤丸内)
佐野唐沢山神社 手水舎の水口(赤丸内)

なお、5代目の若林秀真さんの作品は、東大寺、京都大原三千院、佐野厄除け大師、佐野唐沢山神社(手水舎の水口、タモリさんが訪ねた唐沢山城の一部)、佐野金山神社など、全国各地に納められています。

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穴場ずらし旅、愛好家

関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビに旅の専門家として出演(2023年4月)。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住、旅行歴500泊以上。

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