さらばブラタモリ 記念すべき初回・長崎など「北部九州」のロケ地を振り返る
関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。
大変残念ですが、NHK番組ブラタモリの終了が発表されました。特番としての可能性はあるようですが、レギュラー番組としては、3月限りとなります。
今回は、初回からロケ地を個人ブログに記録し、要所要所は実際に訪ねてきた筆者が、ブラタモリで印象に残ったものをメモします。
さらばブラタモリシリーズ
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さらばブラタモリ 地形の妙・こんぴらさん、四万十川など「四国」のロケ地を振り返る
北部九州地方(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分)でブラタモリ
自然や歴史が豊かで、タモリさんの出身地でもある北部九州地方では、長崎(#1、#2)、博多・福岡(#17、#18)、熊本城(#34、#35)、別府温泉(#63、#64)、関門海峡(#108)、有田焼(#116、#117)、阿蘇(#138)、島原・天草(#160)、由布院(#175)、進撃の日田(#176)、太宰府天満宮(#新春SP)、対馬(#218)、佐賀(#230)、北九州市(#249、#250)と、非常に多くの場所が取り上げられています。
映えある初回を飾った長崎 すでにブラタモリならではのクセが満載!
記念すべき、現行のブラタモリの初回が長崎編。2015年4月11日のことでした。
紀行番組ながら、タモリさんがまず訪ねたのは、長崎電気軌道の石橋電停! 観光名所のグラバー園への最寄りですが、電停そのものにスポットを当てる番組は珍しいはずです。
タモリさんが目を付けたのは、電停周辺の不自然な盛り上がり。ブラタモリが回を重ねた現在では、「微高地」は1つの有名キーワードですが、当時は視聴者も驚いたはず。なぜここは微高地になっているのでしょう?
微高地と言えば、橋、道路を埋めた、溶岩流の先端、砂丘、台地などが思いつきますが……??
正解は橋(大浦橋)を埋めた跡。戦後復興を急いだため、明治時代の橋の残がいをそのまま埋めてしまったのです。
このようにブラタモリは始まりました。
オランダ坂ではなく、相生地獄坂
長崎への旅番組なら、オランダ坂の紹介は外せないところ。しかし、ブラタモリが訪ねたのは相生(あいおい)地獄坂。
観光名所のグラバー邸への旧ルートにあたり、決してメインの観光ルートではありません。2002年にエレベーターを使ったアクセスルートが完成するまでは、観光客はこの223段の階段を登っていたのです。
相生地獄坂では、長崎の特徴である、傾斜に沿ってすきまなく建ち並んだ住宅が、手に取るように見られます。外国人居留地として開発された場所ですが、もとはどのような用途の土地だったのでしょうか?
答えは段々畑。長崎が「坂の町」になったのは、外国人が増え、住宅地が必要になったからです。
ブラタモリでは、相生地獄坂のほかに、やはり観光客は少なめのドンドン坂も紹介されました。ドンドン坂の名前の由来は、覚えていらっしゃいますか?
ドンドンと言えば、小麦粉を焼いて作る料理どんどん焼きがあり、駄菓子にも見られますが……??
正解は、脇の水路。雨水が下へドンドン流れるよう、U字型になっている部分があります。これが名前の由来です。石をくりぬいたものは珍しく、感激したタモリさんは近くで観察していました。
このようにブラタモリは、初回から定番観光地を避け、歴史や地形を考えるヒントとなる場所を巡っています。
「天然の良港」はここから
土地が足りなくなり段々畑をつぶさなければならないほど、長崎に多くの人が集まった理由は、幕末の開港にあります。
ブラタモリを見てきた人ならすぐにピンとくる「天然の良港」です。周囲を山に囲まれたすり鉢型の港は、風がなぎ、帆船を停泊させるために望ましい場所でした。
今でこそ、ブラタモリの有名キーワードの1つとなった「天然の良港」の初出は長崎です。
※ほかに船の燃料となる石炭の産出も、長崎の開港に結びつきました。
なかなか目をつけないスポット
長崎港では、三菱ジャイアント・カンチレバークレーン(造船に使用する器具)は時間を割いて紹介されました。軍艦島がよく報道されますが、世界的に注目されているのは、断然カンチレバークレーンだそう。
イギリスから輸入された国内初の電動式クレーンで、原爆でも倒れませんでした。
また、タモリさんが上陸した池島炭鉱は、2001年まで稼働していた「最後の炭鉱」です。軍艦島に比べ知名度は低く、番組放映の2015年の年間来場者数は7千人前後。しかし、炭鉱のリアルな生活が遺されている貴重な場所です。
ブラタモリの原点
このように、ブラタモリの初回・長崎編は、現在のブラタモリの原点が感じられる内容でした。
番組冒頭で、観光スポットではなく微高地に注目したことは、「高低差に注目すれば町歩きは楽しくなる」という、ブラタモリのキーコンセプトの表れと言えます。
オランダ坂ではなく相生地獄坂やどんどん坂に注目し、地形や歴史を深め、独自の建築物に目をつけたのもブラタモリらしい点でした。
そして、長崎の全てが、天然の良港と石炭(炭鉱)に集約される「結論1つ」の構成は、ブラタモリの分かりやすさと高い評価につながっています。
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