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さらばブラタモリ 番組人気の秘密が凝縮した尾道、境港編など「中国地方」のロケ地を振り返る

とらべるじゃーな!穴場ずらし旅、愛好家

関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。

NHK番組ブラタモリが3月10日「鹿児島・指宿編」で最終回となりました(特番としての可能性はあるようです)。

今回は、初回からロケ地を個人ブログに記録し、要所要所は実際に訪ねてきた筆者が、ブラタモリで印象に残った回をメモしました。

中国地方でブラタモリ

中国地方では、松江(#14)、出雲大社(#15)、広島(#48)、宮島(#49)、尾道(#73)、倉敷(#74)、鳥取(#111)、岡山(#149)、しまなみ海道(#173)、呉(#174)、境港・米子(#212)、石見銀山(#213)、錦帯橋(#252)と、非常に多くの場所が取り上げられています。

ブラタモリの真骨頂! 坂の町・尾道

全263回を数えたブラタモリですが、番組を一言でまとめると、どのような趣旨だったと言えるでしょうか? 

第1回は、長崎編でした。有名な坂の町です。ブラタモリでは1回1回にテーマがありましたが、全体の趣旨は「高低差に注目すれば町歩きは楽しくなる」ではないかと思います。

出雲大社や宮島、尾道、倉敷など、数えきれない名所を回った中国地方でも、坂が印象的な尾道編はタモリさんにとっても、思い出深い回ではないかと想像しています。

尾道を代表するお寺が、尾道の市街地と瀬戸内海を一望する千光寺(せんこうじ、尾道市東土堂町)。

通常はロープウェイで登ります。ところがブラタモリは、尾道駅から徒歩10分の千光寺前踏切からスタートしています。

途中の長い石段は様々な表情を見せ、ぜひ写真に収めたい場所が多いです。

ブラタモリが注目したのは、参道の途中にある、尾道の象徴的な絶景である三重塔(天寧寺)ではなく、千光寺の至る所にある巨大な岩でした。

尾道に多くの人が集まるようになった原点が、この巨大な岩だったとは、どういうことでしょうか?

石を切り出して、城の石垣を作ったから? あるいは珍しい鉱物が採れた……?

ヒントはこの烏天狗(からすてんぐ、山伏装束を着た伝説上の生き物)です。

この場所は、修業の場として、使われていたのです。鎖場(くさりば)も残されています。その後仏教と結びつき、お寺が生まれました。平安時代の終わりのことです。

尾道の鳩が秘密裏に行っていたこと

尾道の「巨岩」は奈良時代以前の修行の場、「千光寺」はそれと結びつき寺院が増え始めた平安時代の尾道を想起させるものでした。

では、尾道市東久保町にある浄土寺(じょうどじ)に多い鳩が、江戸時代の尾道の発展に深く関わったとはどういうことでしょうか?

鳩を見物に来た人が多かった? 何か縁起が良いものとして、高い価値を持った……?

正解は、幕府の規制をかいくぐってお寺が伝書鳩を育て、豪商が相場の情報を仕入れるのに使っていたのです。電話も手紙もない時代、様々な商品の相場の動きは、商売を成功させるには重要だったはず。

鳩は、現在で言うインサイダー取引の「運び屋」を担っていたのです。

私たちは、歴史マニアを除いて、書籍や文献から歴史を学ぶのは決して得意ではありません。

しかしブラタモリでは、巨石や寺院、鳩のような身近な存在から、長い尾道の歴史をインプットしてくれます。旅や歴史学習のあり方を変えてきた番組だったと言えるのです。

ゲゲゲの鬼太郎が生まれた背景を土地に求めた境港編

ブラタモリ米子・境港編では、境港の景色から、ゲゲゲの鬼太郎が生まれた背景を考えました。

タモリさんが訪ねた時は、ちょうど山側(島根半島側)に霧が出ていました。

「境港は町だが 島根半島は山で 海沿い以外はほとんど人が住んでいない」
「夜になると狐(きつね)が鳴いたりして 不思議な感じがしたものだ」

このように水木しげるさんも、『神秘家水木しげる伝』に書かれています。

山側(島根半島側)の地形は断層が作ったもの。この独特な景観から、ゲゲゲの鬼太郎は生まれたのかも知れません。

境港で観光となると、頭に浮かぶのは、水木しげるロードや記念館、魚市場となると思いますが、ゲゲゲの鬼太郎や地形的な背景を知ると、より興味が湧いてきます。

このほか、遺体が流れつくという、より深い要素も紹介されています(詳細はリンク先に譲ります)。

【ブラタモリ境港・米子 全ロケ地】タモリさんが鬼太郎と皆生温泉の秘密を探る#212(とらべるじゃーな!)

全国のブラタモリのロケ地は、下のページでいつでも確認できます。
【完全版】ブラタモリ 過去放送のロケ地一覧(とらべるじゃーな!)

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穴場ずらし旅、愛好家

関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビに旅の専門家として出演(2023年4月)。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住、旅行歴500泊以上。

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