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ビンデミック: 世界的なトコジラミ大流行と対策法

TOUYA化学系研究者

 世界中で問題となっているトコジラミ。最近ではフランスでの大量発生や、韓国で50年ぶりの大発生が確認され、社会的な不安が高まっています。この状況を韓国メディアは「ビンデ(韓国語でトコジラミ)」と「パンデミック」をかけて「ビンデミック」と報じており、国内外で大きな話題となっています。

トコジラミの特徴

 トコジラミは、体長5~8ミリで羽がなく、扁平・楕円形で赤褐色をしています。名前に「シラミ」が付いていますが、実はカメムシの仲間です。アタマジラミなどと比べて大きいので、肉眼で視認できるレベルです。そんなトコジラミは、昼間は暗い所(ベッドの隙間やマットレスの縫い目等)に潜んでいて、夜間(就寝時)に隙間から出てきて吸血します。人間だけでなくペット血も吸うことから、ペットを飼っている方はなお用心ですね。

トコジラミに刺されたら?

 トコジラミに初めて刺されたときは、かゆみを感じることが少なく、繰り返し吸血されることで唾液に含まれるアレルゲンに反応する抗体ができてアレルギーが起き、強いかゆみを伴うようになります。また強いかゆみを生じることから、不眠症になるケースも報告されています。

トコジラミの繁殖力と駆除の難しさ

 そんなトコジラミは、恐ろしいほどの繁殖力を持っています。雌は1日5~6個の卵を産み続け、一生の間に500個程度産卵するので、すぐに生息範囲は拡大していきます。ゴ〇ブリと同様に、一匹見つけてしまうとかなりのトコジラミが潜伏していると考えても良いかと思います。

 トコジラミの活動の中心は夏ですが、暖房されていれば冬でも活動します。また、冬になっても〇滅せず、休眠状態で冬を越して、暖かくなると活動を再開します。皆さんの健康を維持するためにも、トコジラミの駆除は大切です。

トコジラミの駆除方法と対策法

 一般的なピレスロイド系の駆除剤には耐性を持つ種も増えており、駆除は専門業者に依頼するのが最善ですが、家庭でできる駆除方法を記載します。横浜市の案内によると、トコジラミの駆除方法は以下の3つです。

1.掃除機を使用し、吸い取った後すぐにゴミを処分する。

2.スチームクリーナーを用いる(60度で10分以上の加熱)。

3.カーバメイト系の駆除剤を使用する(くん煙剤はトコジラミが他の場所へ逃げる可能性があるため推奨されません)。

 近年流行しているトコジラミの対策方法は、様々な市区町村の公式ページにて紹介されているので参考になるかと思います。トコジラミは直接的な感染症のリスクは低いものの、トコジラミの成虫を一匹、もしくは卵を一個持ち帰っただけで、大きな被害をもたらす可能性があります。旅行に行かれる方は、ぜひ私の過去の記事「トコジラミ警報!修学旅行のスーツケース選びと予防策」、「旅行者必見!被害が拡大しているトコジラミを旅行先から持ち込まない方法!」もご覧ください。

まとめ

トコジラミの問題は国境を越えて広がっており、この厄介な害虫に対処するためには、正しい知識と予防措置が必要です。間違えた知識もありふれているので、国や製薬企業といった信頼性の高い情報を参照している記事を参考にしてください。被害を最小限に抑えるために、私たち一人一人ができることから始めましょう。

化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。化学に関連する記事を書いています。

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