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【前代未聞】韓国語の学習者数が中国語を超える日!?

トリリンガルのトミ韓国語講師/YouTuber

今回はなんと、日本における語学学習者数に、大きな異変が起こっていることを発見しましたのでご紹介いたします!

なお、語学学習者数を正確に測定することは容易ではないため、今回は便宜上、主要な語学試験の出願者数(受験者数ではありません)をもって分析した結果をお伝えしたいと思います。

学習者数1位:英語

日本人が一番多く学んでいる言語が「英語」であることは、誰でも容易に想像がつくと思います。

それもそのはず、英語は義務教育にも入っていますし、社会人になって以降も多くの人が学んでいます。

具体的な数字も見てみましょう。

英語の主要な試験と言えば、「TOIEC」と「英検」ではないでしょうか?

例えば2019年の数字を見てみると、TOEICが約240万人、英検が約370万人となっています。

ただし、英検は出願者数なのに対し、TOEICは受験者数の数値ですので単純に比較はできません。

実際のTOEICの出願者数を受験者数の1.1倍程度だと仮定すると、TOEICの出願者数は264万人となります。

つまり、2019年のTOEICと英検の出願者数の合計は、推定値で634万人となります。

単純計算で、日本の全人口の約20人に一人は、年に1回は英語の試験を出願しているということになります。

やはり英語は、触れる機会も使う機会も他の言語に比べたら圧倒的に多いので、英語1位の座が奪われることはまず考えらません。

学習者数2位:中国語

では英語の次に、日本人の学習者数が多い言語はなんでしょうか?

それはずばり、「中国語」です!

近年では、中国に進出したり、中国企業とビジネスをする日本企業も増えていて、それに伴って社会的な需要が高まっていると言えます。

また、コロナ以前ではありますが、日本に来る観光客数も、2015年以降は中国が韓国を抜いて第1位となり、日本における中国語需要を後押ししてきたことが分かります。

その背景には、やはり中国の経済力の高まりと、その人口の多さが挙げられます。

そもそも、世界中で最も話者が多い言語が中国語だと言われています。

さらに、近年の経済規模の広がり、中国発の携帯端末やアプリなどの普及などもあいまって、中国をより身近に感じることが増えてきたのではないでしょうか?

ではこちらも、具体的な数字を見ていきましょう。

中国語の主な試験と言えば、HSKと中国語検定です。

2019年の数値を見ると、HSKは37,569人、中国語検定は31,957人となっており、合計すると69,526人が出願したことになります。

英語に比べたら100分の1程度の数字ではありますが、資格試験の出願者数としては十分に多い人数です。

やはり、日本における中国語人気は、ビジネス上の経済的な結びつきの強さもあり、非常に高いものがあると言えます。

学習者数3位:韓国語

では中国語の次に学習者数が多い言語が何かと言えば、それは「韓国語」です。

韓国はとても近い外国ですし、また韓国語と日本語は言語の作りも非常に似ていますので、韓国語学習者は昔から日本国内に一定数いました。

ただし先ほど述べましたように、近年は中国との経済的な結びつきの強さに押されて、長い間学習者数は第3位となっていました。

しかし、ヨン様から始まる韓流ブームが何度も日本にやってきて、そのたびに根強い韓国語人気を保ってきたのも事実です。

近年では、BTSに代表される世界的なアーティストが韓国から輩出されるようになり、また「愛の不時着」や「イカゲーム」のような韓国ドラマが世界的な人気を博すなど、日本だけでなく全世界的に韓流ブームが続いているのも事実です。

ではこちらも具体的な数字を見ていきましょう。

韓国語の主要な試験と言えば、TOPIK(韓国語能力試験)とハングル検定です。

2019年の数値を見てみると、TOPIKの出願者数は27,715人、ハングル検定の出願者数は19,426人(推定値)で、合計47,141人でした。

この数字だけ見ると、中国語との差は実に1.5倍にもなります。

韓国語と中国語の学習者の大きな違いの一つに、学習動機が挙げられます。

比較的ビジネス目的の強い中国語学習者に比べ、韓国語をビジネス目的で学習している人はほぼいません。

ほとんどの人が、推しの言っていることを理解したい、大好きな韓ドラを字幕なしで聞き取れるようになりたい、といった趣味的な動機で学習しています。

その結果、韓国語学習者のほとんどが女性だというのもまた一つの特徴と言えます。

学習者数ランキングの推移

1位と2位の差も圧倒的に大きいですが、2位と3位の差もそれなりにある、というのがこれまでの日本における語学学習者数ランキングの実情でした。

しかし、実はこの状況が一気に転換するような事態が昨年起きました。

まずはこちらのグラフをご覧ください。

これは、2004年から2021年までの中国語(HSK+中検)の出願者数と、韓国語(TOPIK+ハン検)の出願者数を比較したグラフになります。

なお、一部データが確認できなかった年があるため、そこは推定値を入れてグラフを作成しています。

見ての通り、長い間にわたって、中国語は韓国語の1.5倍近くの出願者数を保持してきました。

しかしその中でも、実は様々な変化が起こっていました。

まず、2012年の8,4925人をピークに、中国語の出願者数は減少に転じます。その後、またしばらく上昇しますが、7万人を超えることはなく、2010年に68,493人と同水準に戻ったといえます。

この期間に何が起こっていたかと言いますと、HSKの急成長と、中国語検定の受験者離れです。

例えば2011年の数字を見てみると、HSKの出願者数は10,128人、中国語検定の出願者数は60,729人で、圧倒的に中国語検定が人気でした。

しかし、2019年では上述の通り、HSKの出願者数のほうが中国語検定よりも6千人近く多くなっています。

もっと言えば、中国語検定の出願者数は2011年と2019年を比べるとほぼ半減していることが分かります。

つまり中国語検定からHSKに出願者が移ってきたが、全体のパイはさほど変わらなかったことが分かります。

これに対して、韓国語の方では少し違った変化がありました。

2010年代に入り、HSKのように出願者数を一気に増やしたのがTOPIK(韓国語能力試験)です。

2011年には推定値で11,500人くらいでしたが、2019年にはその2.5倍近くになっています。

ではハングル検定はどうだったかと言いますと、こちらは確認できるデータが少なく、ほとんどが推定値となってしまいますが、ずっと長い間、年間出願者数は2万人強程度を推移してきています。

つまり、TOPIKは増えて、ハングル検定は出願者数を維持、または微減させ、トータルでは増加させてきたというのが、ここ最近の韓国語の出願者数の動向と言えます。

その結果、2010年代は徐々にではありますが、韓国語の出願者数が中国語を追い上げた、という結果となったわけです。

コロナがターニングポイント

2020年にはコロナのため、中国語と韓国語いずれも出願者数を大きく落としています。

そもそも試験を実施できなかったというのが最大の理由です。

そして、その反動は当然2021年に現れました。中国語、韓国語いずれも大幅なV字回復を遂げています。

そして特筆すべきは、なんと中国語と韓国語の出願者数が、ついに逆転してしまったのです!

具体的には、中国語が65,979人に対し、韓国語が67,864人(推定値)となっています。

韓国語の出願者数は推定値ですが、韓国語が中国語を追い抜いたのは間違いないようです。

日本において、韓国語の試験の出願者数が、中国語を追い抜くというのは、私が知る限り史上初のできごとです。

つまり、前代未聞の大事件というわけです。

この原因として考えられるのは、やはりコロナ期間中の巣ごもり生活です。

巣ごもり生活が日本中に広がり、海外からの渡航客も来なくなり、会社に行って仕事をすることも少なくなった時、人々の生活の中で接触回数が増えた言語が正に韓国語だったのです。

日本でもコロナが広がり始めたそのタイミングで、ネットフリックスに登場したのが「愛の不時着」や「梨泰院クラス」などの韓ドラでした。

また、BTSは2019年からグラミー賞の常連となり、日本国内でも常に高い人気を維持しています。

韓国映画でアカデミー賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」が日本で公開されたのも、2019年末でした。

こういった韓流ブームの波と、コロナによる巣ごもり生活が重なった結果、韓国語に関心を持つ人の数が一気に増えたと考えられます。

そしてついに、日本国内において長らく入れ替わりのなかった、語学学習者数のベスト3に、いよいよ変化起きたというわけです。

韓国語学習者を応援してきた者として、今後も推移を見守っていきたいと思います。

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韓国語講師/YouTuber

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