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太陽系は今この瞬間も超新星爆発の爆風の中を通過中だった!?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「太陽系は今この瞬間も超新星の残骸の中にいた!?」というテーマで記事をお送りしていきます。

最近発生した超新星爆発の痕跡

太陽の8倍以上重い大質量の恒星は、その一生の最期に超新星爆発という大爆発を起こします。

これはたった数百日という期間で太陽の120億年の一生分に匹敵するほどのとてつもないエネルギーを放出する現象です。

このような超新星が地球の近くで起こると、高温で高速なプラズマのガスが周囲の宇宙空間に放たれ、超新星残骸と呼ばれる高エネルギーの星雲が形成されます。

Credit:NASA Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio
Credit:NASA Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio

仮に地球がこれに巻き込まれると、場合によってはオゾン層が破壊され、地球上の生命に被害を及ぼします。

実際に今から約3億6000万年前に起きた大量絶滅は、超新星爆発が原因であったと考えられています。

そしてなんと、今この瞬間も地球は悪影響がないほど希薄になった超新星残骸の内部にいるのではないかという説があります!

Credit: NASA/Goddard/Adler/U. Chicago/Wesleyan
Credit: NASA/Goddard/Adler/U. Chicago/Wesleyan

現在太陽系は、局所恒星間雲と呼ばれる直径30光年程度の希薄な星間雲の中を移動していると考えられています。

この局所恒星間雲の起源ははっきりとはわかっていないようですが、これが実は今から数百万年前に起きた、超新星爆発の残骸であるという説もあります!

局所恒星間雲が本当に超新星残骸だった場合、現在でも地球に超新星由来の元素が降り注いでいると考えられます。

中でも「鉄60」という、原子核内に陽子と中性子合わせ60個含まれている鉄元素は、超新星残骸からの影響を理解するのに非常に適しています。

まず鉄60は地球上で自然には発生しません。さらに1500万年以内にはほぼ完全に崩壊してしまうため、仮に発見された場合、比較的最近に宇宙から降り注いだものであると特定できるメリットがあるためです。

局所恒星間雲の正体

研究者たちは、過去20年間に降り積もった南極の比較的

新しい氷から、鉄60を73,000個取り出すことに成功しました。

実は鉄60は超新星由来以外の宇宙線によって、太陽系内の彗星や小惑星の表面に衝突した際にも形成されるため、それらが地球に突入してきたという現象でも地球上の鉄60を説明できてしまいます。

ですがそのプロセスだとマンガン53など他の地球上に自然で存在しない希少な元素も同時に含まれていると考えられていましたが、実際に発見された鉄60の量を説明できるほどの他の希少元素は発見されませんでした。

また、核兵器の実験によっても鉄60が形成されるようですが、その際に同時に形成される鉄55の量が非常に少なかったことも明らかになっています。

つまり鉄60を持った彗星や小惑星が突入してきた説も、核実験で鉄60が形成された説も、最近の南極の氷に含まれていた鉄60の量を説明できないため、やはりこの鉄60は現在も太陽系を包み込む超新星爆発の残骸が由来である可能性が高まりました!

太陽系は局所恒星間雲に今から1-2万年前に突入したと考えられています。なので仮に局所恒星間雲が超新星残骸であり、鉄60の由来だとしたら、更に昔に積もった、深い位置にある南極の氷には鉄60は含まれていないはずです。

今後より深い位置にある氷を調べることができれば、局所恒星間雲の正体への理解が進む可能性があります!

局所恒星間雲は超新星残骸ではない?

さらにまた別の研究者は、深海にある比較的新しい堆積物に鉄60が含まれているかどうかを確かめた所、仮にその発生源が局所恒星間雲だった場合に推定される量と同等の極めて少量の鉄60が検出されたようです。

ですがさらに今から33000年前に堆積した2か所の深海堆積物を調査したところ、どちらにも鉄60が存在していたことが確認されたそうです。

Credit: NASA/Goddard/Adler/U. Chicago/Wesleyan
Credit: NASA/Goddard/Adler/U. Chicago/Wesleyan

このチームは太陽系が局所恒星間雲に突入したのは今から1-2万年前であると考えているため、この結果は鉄60の由来が局所恒星間雲であることと矛盾してしまいます。

しかも鉄60は過去33000年にわたってずっと安定的に降り注いでいたと判明しています。

仮に局所恒星間雲が鉄60の起源である超新星残骸であれば、最も古いサンプルに急激な鉄60の増加が見られるはずでした。

この結果から研究チームは、局所恒星間雲は超新星残骸ではなく、今の太陽系は局所恒星間雲とまた別の超新星残骸の両方の中に含まれている可能性を指摘しています。

局所恒星間雲は超新星残骸であり、鉄60の由来でもあるのか、もしくは局所恒星間雲は超新星残骸ではなく、鉄60の由来となる超新星残骸がまた別に存在しているのか、その答えは今から100万年前まで遡って鉄60を探すと得られるそうです。

もし過去に遡るほど鉄60の濃度が高まれば、鉄60の起源は局所恒星間雲ではなく、さらに古い超新星残骸である可能性が高まります。

一方で過去に遡るほど鉄60の濃度が薄まれば、鉄60の起源は最近突入した局所恒星間雲であり、それが超新星残骸である可能性が高まります。

いずれにしても今後より詳しい調査が必要になりそうです。太陽系全体が今この瞬間も超新星残骸に包まれているという、ロマンがある研究成果を紹介させていただきました!

情報参考元
https://www.pbs.org/wgbh/nova/article/supernovae-iron-60/
https://physics.anu.edu.au/news_events/?NewsID=205
https://www.sciencealert.com/our-planet-is-travelling-through-the-debris-of-ancient-supernovae

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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