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【比較】宇宙に実在する様々な「速度」

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「宇宙に実在する様々な速度」を比較していきます。

地球の自転:0.466km/s

地球の赤道上の自転速度は、約500m/sです。

音速が約340m/sなのでこれは日常スケールでいえば非常に速いですが、宇宙に焦点を当てた今回の動画では一番最初に紹介する数値となります!

海王星の風速:約0.56km/s

NASA/JPL
NASA/JPL

太陽系で最も強い風が吹いているとして知られる海王星の風速は、実に560m/sにもなるそうです。

太陽の自転:約2km/s

太陽の赤道上の自転速度は、約2/sです。

地球と比べると数倍速いですが、後述するこれの何百倍も高速で自転することで形が変形している恒星と比べると、かなり緩やかな自転をしています。

HD 189733 bの風速:約2km/s

ESA/Hubble
ESA/Hubble

地球から63光年彼方にあるこちらの「HD 189733」という恒星系にある惑星「HD 189733 b」では、なんとガラスの雨が降っていると考えられています!

その雨は強烈な風に乗って暴風雨として吹き荒れているそうで、その風速は実に2km/sにも及ぶんだそうです!

これは系外惑星も含め、観測史上最強の風速として知られています。

木星の自転:約10km/s

NASA/JPL/University of Arizona
NASA/JPL/University of Arizona

太陽系の惑星で最も自転速度が速い天体は、木星です。

その速度は10/sにもなり、強い遠心力のために赤道部分が膨らみ、全体として少しつぶれた楕円体の形をしています。

ボイジャー1号:約17km/s

打ち上げから40年以上が経過した現在、地球から約150auも離れた場所にある最遠の人工物「ボイジャー1号」は、今この瞬間も太陽系の外に向かって約17km/sという物凄い速度で直進し続けています。

auは距離の単位で、1au=地球と太陽の距離≒1.5億kmです。

地球から海王星までで約30auとなります。

17km/sはとんでもない速度ですが、これでも地球から4.3光年ほど離れた最寄りの恒星系であるαケンタウリ系の距離に到達するまで、今から7-8万年もかかります…

地球の公転:約30km/s

水星の公転:約47km/s

地球の太陽に対する公転速度は約30km/s、太陽系で最も内側を公転する惑星水星の公転速度は約47km/sです。

アンドロメダ銀河の接近速度:約120km/s

Adam Evans
Adam Evans

地球から250万光年ほど離れた所にある巨大なアンドロメダ銀河は、天の川銀河の中心から見て約120km/sという速度で近づいていることがわかっています。

今から45億年後にはこれらの銀河は衝突するそうです!

パーカーソーラープローブ最大速度:約200km/s

NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben
NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben

太陽の探査衛星パーカーソーラープローブは、太陽の重力で落ちていく過程でどんどん加速し、太陽に最接近するタイミングでは、人工物では過去最高記録を更新する200km/sという記録を打ち立てる見込みです!

太陽系の銀河系に対する公転速度:約227km/s

NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt
NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt

太陽系全体は、天の川銀河の中心を公転していることが知られています。

VERAによる最新の研究によると、太陽系の銀河中心に対する公転速度は約220km/sと見積もられています。

これだけとてつもない速度で公転していても、銀河を一周するのに2億年以上かかる計算です!

天の川銀河はとてつもなく巨大な構造なんですね。

自転最速の恒星:約610km/s

ESA/hubble
ESA/hubble

観測史上最も自転速度が速い恒星として知られているのが、地球から16.5万光年彼方にある大マゼラン雲内にある、VFTS 102という恒星です。

この恒星の赤道上の自転速度は実に610/sにもなります!

ここまで自転が速いと遠心力で恒星の形自体が潰れるだけでなく、あまりに赤道が盛り上がりすぎて重力的拘束が弱まり、表面のガスが離れていって赤道上に円盤状の構造が形成されているそうです!

太陽風:約800km/s

NASA Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio
NASA Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio

太陽から放たれたプラズマは、地球付近を最大で800km/sという速度で通過することが知られています!

これが地球の磁場や大気と作用することで、オーロラが発生しているのは有名なお話です。

移動最速の恒星:1755km/s

James Josephides (Swinburne Astronomy Productions)
James Josephides (Swinburne Astronomy Productions)

地球から29000光年ほど彼方の天の川銀河内に、1755km/sというとてつもない速度で星々の間を駆け抜ける天体が発見されています。

あまりに速いため、天の川銀河の重力を振り切って銀河外に飛び出していくそうです。

このように物凄く移動速度が速く、銀河外に向かっている恒星は「高速度星」と呼ばれ、他にもいくつか発見されていますが、S5-HVS1は中でもずば抜けた速度を誇ります。

高速度星は元々別の恒星と連星を成し、ブラックホールの重力によって連星の一方が飲み込まれ、一方が重力で投げ飛ばされた結果、現在の速度を手に入れたとされます。

S5-HVS1はいて座A*によって投げ飛ばされたようです!

自転最速中性子星:約72000km/s

Raphael.concorde/ Daniel Molybdenum/ NASA/ Wikimedia Commons.
Raphael.concorde/ Daniel Molybdenum/ NASA/ Wikimedia Commons.

宇宙最速の自転をする中性子星は、地球から遥か18000光年も彼方にある球状星団ターザン5の中にある、PSR J1748-2446adです。

他の中性子星でも言えることですがやはり異次元の密度をしていて、直径わずか30程度の球体でその質量は地球の50万倍程度にもなるんですね!

実はこの中性子星、なんと毎秒716回転もしていることが知られています!

赤道上の自転速度は脅威の72000km/s!

実に光速の24%という速度で自転していることになります。

光速:299792.458km/s

この世にある物質の速度の上限である真空中の光速は、約30万km/sです。

地球1周が約4万なので、たった1秒で地球を7周半してしまう、恐るべき速度です。

ですがそんな光速をもってしても別の場所に行くのに何万年、何億年とかかってしまうほど、宇宙は途方もなく広いんですね…

観測可能な宇宙の膨張:光速の約3倍

NASA WMAP science team
NASA WMAP science team

これまでの観測から、この宇宙にある天体は地球から遠くにあればあるほど、地球から速い速度で遠ざかっていることがわかっていて、そのことから宇宙は膨張していると考えられています。

現在の地球から観測可能な宇宙は465億光年彼方までですが、観測可能な宇宙の果ては現在光速の3倍程度の速度で地球から遠ざかっている計算になります。

ただしこれはあくまで観測可能な範囲に限った話なので、それ以遠の宇宙を含めるとどれくらいの速度で膨張しているのか、正確なことはわかりません。

インフレーション:光速の約3×10^22倍

NASA's Goddard Space Flight CenterCI Lab
NASA's Goddard Space Flight CenterCI Lab

宇宙が誕生して10のマイナス44乗秒後、宇宙の大きさは10のマイナス34乗ありませんでした。

そんな極小さい宇宙が一瞬にして人間が見える程度の大きさにまで膨張したというのが、インフレーションです。

インフレーションは、宇宙創成の10のマイナス44乗秒後に始まって、10のマイナス33乗秒後に終了したそうです。

インフレーション前は直径10のマイナス34乗cmでしたが、それがインフレーション直後、いわゆるビッグバンの時には直径1cm以上になっていたと考えられています。

以上の情報から約10のマイナス33乗秒間で1膨張したことがわかるので、ここから計算すると当時の宇宙の膨張速度はなんと光速の約3×10の22乗倍!

これが本当に正しければ、誕生直後の宇宙は、ただでさえ常識外れな現在の宇宙と比べても規格外に常識外れの現象が起こっていたのかもしれません!

元動画

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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