太陽系のすぐ近くで「未知の超巨大空洞」を新発見!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「太陽系の近くで宇宙の超巨大空洞を新発見」というテーマで記事をお送りしていきます。
宇宙の超巨大空洞
ESAが打ち上げた宇宙観測衛星「ガイア」は、天の川銀河に存在する星々一つ一つの正確な位置や速度などのデータを観測によって得ることで、天の川銀河の全貌や歴史を理解することを目的としています。
ガイアの活躍は目覚ましく、これまでも天の川銀河内でいくつもの新構造や、その歴史にまつわる新事実を発見し、当宇宙ヤバイchでもその功績を何度も紹介してきました。
そんなガイアはなんと恒星だけではなく、宇宙に存在する「分子雲」と呼ばれる低温で暗い塵の雲まで観測することができるそうです!
恒星間空間には何もないように見えて、実はこういった塵の雲が存在していたりします。
これまでは分子雲の地球からの正確な距離までは理解することができませんでしたが、今回の研究では99%の精度でその距離まで理解し、初めて分子雲の正確な3次元的な分布を理解することに成功しました。
本当にすごい観測技術ですね。
そうして得られた分子雲のデータによって、ペルセウス座とおうし座の方向にある分子雲に囲まれた領域に、直径が500光年にもなる「分子雲の巨大な空洞」が新たに発見されました!
英語では「Per-Tau shell」と呼ばれているようですが、この動画では「新発見の空洞」と呼ばせていただきます。
新発見の空洞内では、通常であれば存在する分子雲がほとんど存在していないようです。
空洞はなぜできた?
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームは、新発見の空洞は今から約1000万年前に起きた1度の超新星爆発によって形成されたか、もしくは600万年~2200万年前の間に起きた複数の超新星によって徐々に形成されたと考えています。
どのみち原因は強力な超新星であり、それによって発生した衝撃波によって星間物質が吹き飛ばされ、空洞の表面に押し出されているそうです。
その結果空洞表面に形成されたのがペルセウス座とおうし座の分子雲、というわけですね!
これまでこれらの分子雲は独立した存在であると考えられてきましたが、今回の研究によって同じ現象によって同時に発生した、非常に関連の深い構造であると判明しました。
現在では新発見の空洞の膨張は止まっているようです。
空洞の表面での星形成
先述の通り、新発見の空洞の表面では、かつて空洞の中心部で発生した超新星によって吹き飛ばされた分子雲が押し出されて高密度になっています。
ここで、太陽のような恒星と言う天体は、中心部が高温高圧になり核融合反応が始まるほど、ガスが高密度に集まると形成される天体であると考えられています。
つまり空洞の表面では星が形成されやすい環境となっているわけです。
研究者によると、空洞の表面では実際に数百もの星々が現在進行形で形成されているか、もしくはすでに存在しているようです。
新発見の空洞は、星の死によってまた別の星々が誕生する可能性を、実際に私たちに示してくれているわけです。