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反物質できた幻の「反物質星」の候補天体を新発見!?

宇宙ヤバイchキャベチ

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どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「反物質で構成された天体を新たに発見か」というテーマで動画をお送りしていきます。

反物質とは?

ESO/N. Bartmann
ESO/N. Bartmann

地球上を含むこの宇宙にあるほぼ全ての物質を構成する原子は、+の電荷を持つ陽子を含む原子核と、その周囲に-の電荷を持つ電子が存在するという構造をしています。

ですが通常の原子とは反対に、-の電荷を持つ反陽子と、+の電荷を持つ陽電子で構成される原子も存在することがわかっています。

反陽子や陽電子のような反対の性質を持つ粒子は「反粒子」、反粒子で構成される物質は「反物質」と呼びます。

Credit:NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio
Credit:NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio

そして通常の粒子と反粒子がぶつかり合うと、お互いの質量が全てエネルギーに変換され、その分のエネルギーを持ったガンマ線が放出されます。

この反応を「対消滅」と呼びます。

Credit:Springel et al. (2005)
Credit:Springel et al. (2005)

今から約138億年前に宇宙が始まった直後は、通常の物質と反物質の存在比率はほぼ等しかったと考えられています。

ですがそのまま比率が等しければそれらの物質と反物質はもれなく対消滅を起こし、全て消滅してしまいます。

現在のような通常の物質から成る宇宙が形成されるには、宇宙誕生から何らかのメカニズムで、粒子が反粒子よりも約100億個に1個という割合で多く存在する状況になる必要があったそうです。

そうなった原因は未解明のままです。

反物質でできた星「反物質星」

Credit:NASA/JSC
Credit:NASA/JSC

高エネルギー宇宙線や反粒子、さらにはダークマターなどといった宇宙からやってくる様々な粒子を捉え、その性質を理解することを目的として国際宇宙ステーションに設置されている観測機器「AMS-02」は、数年前に反粒子で形成されたヘリウム原子核、反ヘリウム原子核の検出に成功しました。

このことから、数は少ないながらも現在の宇宙にも反物質が存在していることが判明しています。

そしてこれらの反物質は独立して存在するのではなく、この天の川銀河内を含めた宇宙のどこかでまとまって存在している可能性があるんだそうです。

反物質が集まって質量を獲得すると、中心部の温度と圧力が高まり、核融合反応が始まります。

そして通常の恒星と同様に可視光線を含む電磁波を放ちます。

いわば反物質で出来た恒星(以下反物質星)です。

反物質星の候補を初観測!?

このような反物質星は、通常の恒星と同じように可視光線を放って光っているので、地球からでは通常の恒星と見分けることが難しいです。

ですが反物質星の表面にある反物質と通常の物質がぶつかり対消滅が起こった瞬間に放出されるγ線を観測することができれば、理論的にはその天体が通常の恒星ではなく、反物質星であると見分けることができるとのことです。

Credit:S. Dupourqué/IRAP
Credit:S. Dupourqué/IRAP

そこで反物質星の候補を探すため、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡による観測で得られた過去10年分のデータの中から5787個のガンマ線源を詳細に調べ、反物質星で起こった対消滅の兆候を探りました。

研究の結果、5787個のガンマ線源のうち反物質星の表面で起きた対消滅が原因である可能性があるガンマ線源が、14個も見つかったそうです!

ですがこの14個のガンマ線の発生源天体も、中性子星やブラックホールなど、すでにガンマ線を放っていることで知られている天体の分類である可能性があり、反物質星である可能性は低いと言わざるを得ません。

反物質星はどこにある?

研究チームは、反物質星が通常の恒星と同じ過程をたどって形成され、その性質も同じであると仮定した場合、具体的に天の川銀河内にどれだけの反物質星が存在する可能性があるのかをシミュレートしました。

その結果、銀河のディスクの部分では、通常の恒星100万個のうち反物質星は最大で2.5個存在する可能性があるんだそうです。

割合的にはやはりかなり少ないですね。

一方で物質がたくさん密集している円盤部分ではなく、それら銀河本体の構造を球状にふんわり包み込むハローと呼ばれる構造では、物質がほとんど存在しないため、仮にそこに反物質星が存在していても、物質と出会って対消滅を起こすことはありません。

その場合ハローにある反物質星はガンマ線を放って消滅することもなく、ひっそりと生きながらえることができます。

研究チームによると太陽系の近くに反物質星が存在する可能性は低く、国際宇宙ステーションに搭載されたAMS-02で検出された反ヘリウム原子核も、ハローにある反物質星の集団から放たれた可能性が高いそうです!

今回の研究の意義

Credit:S. Dupourqué/IRAP
Credit:S. Dupourqué/IRAP

先述の通り、新たに発見された14個の反物質星候補のガンマ線源に実際に反物質星が存在する可能性は低いです。

ですが仮にこれらが全て反物質星ではなかったとしても、今回のように実際に反物質星の可能性がある候補天体を見つけ出すことができただけでも今後の反物質星の研究の大きな第一歩となります。

そして具体的に天の川銀河内にどれだけの反物質星が存在していそうなのか、そして存在する可能性が高い場所はどこかが明らかになったことで、この宇宙にある反粒子の数の推定がさらに厳密に行われることが期待されています。

そして今回の14個の反物質星候補天体をさらに詳細に調べ、それらが中性子星やブラックホールであるという可能性を排除することができれば、その中から本当に反物質星が存在している場所が見出せるかもしれません。

今後も反物質の研究が続いていって、かつてSFの世界にしかなかった系外惑星が今ではありふれた天体になったように、反物質星もいずれはありふれた天体になるかもしれません。

そんな未来が楽しみですね!

https://journals.aps.org/prd/abstract/10.1103/PhysRevD.103.083016
https://www.sciencealert.com/these-14-milky-way-objects-could-be-stars-made-of-antimatter
サムネイルcredit: NASA's Goddard Space Flight Center

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