木星に巨大隕石が衝突した瞬間を観測!地球を守ってくれた?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「木星に天体衝突した際の閃光が観測される」というテーマで動画をお送りしていきます。
木星の天体衝突事情
太陽系内には私たちがよく知っている惑星のような巨大な天体以外にも、無数の小天体が太陽の周囲を公転しています。
それらはたまに隕石として、他の天体に衝突することがあります。
地球に隕石が落ちることももちろんありますが、太陽系最大の惑星である木星は地球の11倍の直径がある上、地球の318倍の質量を持ち非常に強力な重力によって周囲の天体を引きつけるため、隕石の格好の的となります。
その結果木星には実に地球の2000-8000倍という頻度で隕石が落ちているそうです!
さらに木星の巨大な重力により、隕石は衝突前に加速させられ、衝突時には地球で同じ大きさの天体が衝突する場合よりも遥かに大きいエネルギーが発生します。
正確な値は不明ですが、地球から閃光が見えるほど十分に高エネルギーな衝突現象については、年間に20-60回程度も起きていると考えられています。
ですが実際は地球から見えない面で衝突が起こるなど、様々な理由によって実際に閃光が観測される頻度はそこまで高くありません。
最後に地球から閃光が確認されたのは、2019年8月と2年以上も前のことでした。
衝突した隕石の直径は12-16mほどと考えられています。
新たに閃光が確認される!
衝突で発生した閃光の明るさと継続時間から、衝突した天体の直径は20-50m程度であると考えられています。
ただし正確な値を決定するには、今後も分析が必要となります。
大きな衝突だったことから、木星の表面に衝突跡が残っている可能性もありますが、現在の所そのような跡は観測されていないことから、そもそも衝突天体が予想よりも小さく、大気の深い所まで到達できず、跡が残っていない可能性もあるようです。
また、本題には関係ないですが、この動画では衛星イオとその影も確認されています。
イオは地球の3.5分の1程度のサイズがあるにもかかわらず、木星の前では米粒程度にしか
見えません。
木星の巨大さがよくわかりますね。
シューメーカー・レヴィ第9彗星
観測史に残る木星への代表的な天体衝突イベントといえば、1994年に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星が挙げられます。
1994年7月、木星に21個もの小天体が連続して衝突しました。
この天体衝突は残念ながら地球から見て木星の裏側で起きたため直接観測はできませんでしたが、激しい閃光が地球からでも確認できるほど大規模な衝突でした。
衝突後の木星にはこのような大規模な衝突跡があるのがはっきりと確認できました!
跡にはいくつかの構造がありますが、一番大きな構造を含めると直径が12000km、なんと地球とほぼ変わらない大きさをしていたようです。
ではなぜ21個もの天体が連続して木星に衝突したのでしょうか?
実はこれらの小天体は元は一つの天体だったと考えられています。
分裂後ですら一つ当たり数百m~1kmほどあったので、元はかなり大きな天体だったのでしょう。
分裂後の天体の軌道から計算すると、元の天体は1994年に木星に衝突する二年前に、一度木星に接近していたことが明らかになりました。
その際に木星によって砕かれてしまい、分裂してしまったと考えられています。
木星にも痛そうな跡ができましたが、シューメーカー・レヴィ第9彗星にとっては砕かれた上に飲み込まれているわけなので、まさに弱肉強食の理不尽な結末です。
木星は地球を守るのか
有名な説として、「木星は身代わりになって地球を隕石から守ってくれている」というものがあります。
確かに木星には頻繁に隕石が衝突していますし、より地球に近い小天体をも引き寄せ、危険を取り除いてくれるといった側面はあります。
ですが近年、「木星は逆に地球をスナイパーのように攻撃しているのではないか」という説が登場し、木星が守ってくれているという説が覆りつつあります。
どうやら地球からはるか遠くにある、本来衝突しようのない小天体の軌道を歪め、地球方向に投げつけている可能性が高まっているようです!
現在の所木星には地球を守る側面と、攻撃する側面の両方を持っている可能性が認められているものの、どちらの役割の影響がより大きいのかははっきりとわかっておらず、今後より詳細な研究が必要とされています。
木星は果たして地球の味方なのか、敵なのか、このあたりも気になるところですね!
木星の存在は太陽系の歴史全体で見ても非常に大きいので、今後も色々なことがわかっていくことでしょう!