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アンドロメダ銀河が形成されたのはたった18億年前だった!?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「アンドロメダ銀河は地球よりも若いかもしれない」というテーマで動画をお送りしていきます。

今回は少し前ですが、2018年2月に発表された、アンドロメダ銀河の歴史にまつわる驚くべき発見について紹介していきたいと思います。

巨大銀河「アンドロメダ銀河」

私たちの太陽系が属する、2500億個もの恒星が集まった星の大集団は、天の川銀河と呼ばれています。

天の川銀河の直径は10万光年以上にもなるとされていて、現在の人類がどうあがいても抜け出せない巨大天体です。

そんな天の川銀河から250万光年ほど離れた所に、アンドロメダ銀河と呼ばれる銀河が存在しています。

アンドロメダ銀河の直径は20万光年以上あるとされていて、天の川銀河よりも2倍以上巨大な銀河です。

そして宇宙空間においては近所にあるためにお互い重力的に引き合って結びついている銀河の小集団を銀河群、さらに大きい集団を銀河団と呼びますが、天の川銀河やアンドロメダ銀河を含む40-50個程度の重力的に結びついた銀河の小集団は特に「局部銀河群」、英語で「ローカルグループ」と呼ばれています。

そんな局部銀河群において私たちの天の川銀河は2番目に大きく、最大の銀河がアンドロメダ銀河となります。

この二つの銀河は他の局部銀河群の銀河と比べてもずば抜けて大きい銀河であることが知られています。

アンドロメダ銀河の構造の謎を解明

2006年から2014年にかけての大規模な観測によって、アンドロメダ銀河の円盤内では、20億歳以上の年齢の星が、統一性を持たず、ランダムに移動していることが明らかになりました。

これはほとんどが同じ方向に公転している天の川銀河とは全く異なった性質です。

当然太陽系も他の星々と同じように銀河系中心部を公転しています。

なぜアンドロメダ銀河にはこのような現象が発生しているのかを解明するために、研究者たちはスーパーコンピューターを用いて、アンドロメダ銀河の形成過程をシミュレーションで再現しました。

その結果驚くべき歴史が明らかになりました。

今から70-100億年前、後にアンドロメダ銀河を形成する2つの巨大銀河が接近し合っていました。

大きい方の銀河は、小さい方の銀河の約4倍の質量があったようです。

そして今から18-30億年前、それらの銀河が合体し、現在のアンドロメダ銀河が形成されたとのことです。

つまり私たちが知っているアンドロメダ銀河は、太陽系が誕生した46億年前よりも後に生まれたんですね!

シミュレーションで再現された様々な構造

Credit:Richard Crisp / Observatoire de Paris - PSL / Hammer et al. 2016
Credit:Richard Crisp / Observatoire de Paris - PSL / Hammer et al. 2016

アンドロメダ銀河形成の要因となった過去の巨大銀河衝突を明らかにしたシミュレーションでは、実際の観測で明らかになっているアンドロメダ銀河の様々な細かい構造まで再現することに成功しています!

画像左は実写のアンドロメダ銀河、右はシミュレーションで形成されたアンドロメダ銀河です。

実写では銀河円盤中心部で円盤の傾きが見られます。

傾いている範囲の直径は12万光年にもなり、天の川銀河がすっぽりと入ってしまう巨大さです。

そんな巨大な銀河円盤の傾きは、シミュレーションでも見事に再現されているのが見て取れますね。

また、円盤の端の部分にある青い星を含む星が活発に誕生している領域なども再現されています。

また、2008年から2014年にかけて行われた大規模な観測では、アンドロメダ銀河の円盤全体を包み込む「ハロー」と呼ばれる球状に星が集まった領域には、巨大な星の流れが存在することが明らかになっています。

中でも巨大な星々の流れは「ジャイアントストリーム」と呼ばれています。

Credit : Observatoire de Paris - PSL/ Hammer et al. 2016
Credit : Observatoire de Paris - PSL/ Hammer et al. 2016

さらにジャイアントストリーム以外にも、円盤の端の部分にある巨大な星の塊も発見されています。

これらの構造まで、今回のシミュレーションによって再現することに成功しています!

凄まじい再現率ですね。

このシミュレーションから、ジャイアントストリームは衝突前の小さい方の銀河が由来となっていて、円盤の傾きや、その端の巨大な塊については、大きい方の銀河が由来となっていることが明らかになりました。

シミュレーションによって、銀河の構造をここまで正確に再現できたのは、史上初めてのことなんだそうです。

このような技術が発展すれば、今から45億年後に始まるとされる天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突後に形成される巨大銀河がどのような姿をしているのか、ということも正確に予想できるようになるかもしれません!

今回の研究とは別の研究では、アンドロメダ銀河はたったの20億年前に、超巨大銀河と衝突していた可能性が示されています!

そちらについては以下の動画で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

https://www.observatoiredeparis.psl.eu/the-formation-of-the.html?lang=en
https://academic.oup.com/mnras/article/475/2/2754/4839413?guestAccessKey=71064f06-7fe4-42b6-8f51-b58f80d392e0#201672677
サムネイルクレジット:Adam Evan

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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