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地球をかすめた2012年の巨大太陽フレアがヤバイ…今後スーパーフレアが起こる可能性は?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「2012年に起きた巨大太陽フレア」というテーマで動画をお送りしていきます。

そして、過去に起きたどのフレアよりも強大なフレアである「スーパーフレア」が太陽でも起こるのかどうかについて、最新の研究成果にも触れていきたいと思います。

太陽フレアと地球への影響

太陽には、周りと比べて低温なために黒く見える黒点と呼ばれる磁場が強い領域があります。

黒点の磁場が変化した際、蓄積したエネルギーがその周囲から放たれる現象が、「太陽フレア」です。

爆発に伴って放出された大量のガスの塊(コロナ質量放出、CME)が地球に届き、地球を取り巻く地磁気を乱す磁気嵐を起こして、美しいオーロラを発生させたりもします。

強力な太陽フレアだと、日本国内でもオーロラが見れたりすることもあります!

オーロラの話だけ聞くと太陽フレアにプラスの印象を抱く方も少なくなさそうですが、実際は太陽フレアは人類にとって、特に電気に頼り切った現代の人類にとっては非常に大きな脅威となります。

太陽フレアによって地磁気が乱され磁気嵐が起こると、磁場の変化によって地球上の送電線などで誘導電流が発生します。

その電流が強いと発電所がやられ、大停電が起こる事もあります。

恐ろしい現象です!

Credit:NASA's Goddard Space Flight Center Video and images courtesy of NASA/GSFC/SDO これはキャリントンイベントの画像ではありません。
Credit:NASA's Goddard Space Flight Center Video and images courtesy of NASA/GSFC/SDO これはキャリントンイベントの画像ではありません。

有名な太陽フレアとして、1859年の「キャリントンイベント」というものがあります。

これは、リチャード・キャリントンという人によって観測された太陽フレアで、現在まで記録されている太陽フレアの中で最も大きなフレアです。

これによって、観測史上最大級の磁気嵐が発生したといわれています。

この磁気嵐によって、低緯度地域でも、夜でも文字が読めるほどのオーロラが観測されたそうです!

当時は現在ほど電気に頼った生活をしていなかったのでまだよかったものの、もし電気が不可欠になった現代で同じようなイベントが起きたら大惨事は免れません。

水道も止まれば、電子機器や電波も使えずただ時が過ぎるのを待つのみ…

余談ですが僕は札幌住みなので2018年の北海道大地震にて停電を経験しましたが、あれがさらに大規模で長期間起こると考えると、恐ろしいという以外ありませんね…

2012年の巨大フレアがヤバかった

そしてかなり最近の2012年には、キャリントン・イベントに匹敵する、過去150年以上もの間で最強の超巨大太陽フレアが発生していました!

幸いにもこの超巨大太陽フレアによるCMEは地球のそばをかすめただけでしたが、あと1週間早くフレアが起きていたら地球に直撃していたと考えられています。

もし現代の地球にこのキャリントン・イベントクラスのCMEが直撃した場合、被害総額は200兆円以上になると考えられ、世界的な大損害は免れません。

文明の進歩が18世紀まで巻き戻されるとも表現されます。

結果的に直撃を免れたからか当時からあまり話題になっていない印象を受けますが、たった1週間のズレが地球人の運命を変えていたのです!

本当に幸運だったんですね。

2014年の2月には、今後10年間でキャリントンイベント級の巨大磁気嵐が地球を襲う確率は実に12%にもなるという計算結果を示した論文も発表されています。

スーパーフレアは起こるのか?

これまで太陽以外の恒星を観測した結果、太陽の観測史上最大級のどのフレアよりも10倍以上も強力な、「スーパーフレア」に分類される超強力なフレアが発生する瞬間を観測することができています。

ただしスーパーフレアを発生させる活発な恒星は、若くて自転速度が速い赤色矮星ばかりでした。

赤色矮星は、恒星の中でも特に質量が軽く、省エネな恒星の分類です。

そのため太陽のように若くなく、自転速度も速くなく、質量も赤色矮星と比べるとかなり重い恒星で、スーパーフレアが発生し得るのかどうかについては、疑問が残っています。

Credit:国立天文台
Credit:国立天文台

そんな中、国立天文台などの研究チームは2021年12月10日とつい先日、地球からりゅう座の方向に約110光年彼方にある年齢1億歳の若い太陽型星「りゅう座EK星」にて、強力なスーパーフレアを観測することに成功したと発表しています!

りゅう座EK星のフレアの観測データと、太陽のフレアのデータとを照らし合わせたところ、りゅう座EK星のスーパーフレアに伴って発生した、CMEを伴う現象の一種であるフィラメント噴出によって放出されたプラズマの質量は、太陽で発生した史上最大級のCMEの10倍以上にもなり、秒速約500kmの速度でプラズマが放出されていたことが判明したそうです!

こうして太陽のような質量の恒星でも、若いうちはスーパーフレアが発生することが実際の観測によって確かめられました。

このことから太陽もかつてはスーパーフレアを放っており、地球などの周囲の惑星の環境に大きな影響を与えていた可能性が示されています。

スーパーフレアがなければ現在の地球のような環境はなかったのかもしれませんね。

そして現在の太陽でも、非常に稀ながらスーパーフレアが発生する可能性も0ではありません。

数千年に一度の頻度で発生するという説もあります。

今すぐに起こる可能性は高くないとはいえ、文明が発展した現代で強力な太陽フレアが起これば、一気に文明が崩壊することは免れないでしょう。

今後も人類は太陽フレアの脅威と向き合っていく必要がありそうですね。

https://www.nao.ac.jp/news/science/2021/20211210-okayama.html
https://www.colorado.edu/today/2021/12/09/ek-draconis
https://www.colorado.edu/today/2019/06/05/superflares
https://www.wired.com/2012/02/massive-solar-flare/

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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